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2021年2月双葉町取材の記録(写真)その14/前田地区〜冨沢酒造

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<続き>


前田地区から新山地区へ

 前田地区から双葉駅へ戻る。行きとは別の道を歩く。おびただしい数の廃墟が並んでいる。どこも晒しもののように、玄関や窓が開け放たれている。避難指示解除や立入規制緩和のたびに全国から空き巣が集まってくるというが、原発事故から10年近く経った町から何を盗むというのだろう。

 どこも開け放たれているのは、空き巣の仕業もあれば野生動物の仕業もある。何にせよ、どれもが原発事故の被害である。それに比べて、きれいに片付けられ管理された東電の社宅や寮を見るにつけ、この差は何なのかと憤りを感じていた。その気持ちは今も変わらない。

この家も玄関が開け放たれていた。
解体中の家屋。土台を残してあと少しで更地に。全ては放射性廃棄物である。
遠くに見える仮置場には、真新しいフレコンバッグが見える。
放置された車両。
一見、人の住んでそうなアパート。しかし廃墟。ここも今は更地。

 真新しい家屋やアパートは、原発事故の10年〜数年前に建てられたもの。そうした家は、地震による被害はほとんど見られない。しかし原発に電気を送っていた変電所や鉄塔は倒れ、電気が送れなくなった。そこで非常用発電機が起動したものの、津波によってそれさえも失われ水素爆発へと至った。

 よく「格納容器は〇〇ガルの地震にも耐えられる」などと言われるが、原子炉だけが無事でも原発は守られない。原子炉にまつわる周囲の配管等全ての機器が地震に耐えて初めて「安全」と言えるのだ。「原発を止めた裁判長」として有名な樋口英明氏は、原発は一般の住宅よりも脆いと話すが、それはこういうことである。

放置車両。

新山地区

荒れ果てている。
手前が放置車両、奥は作業員用のスーパートイレを載せた現役車両。
窓が開け放たれたまま。
電話ボックス。あの中の空間線量は幾つなのだろうか。
解体され更地となった先に双葉高校が見える。

高村魚店

この鮮魚店を見つけた時は衝撃だった。
今は更地となり、跡形もない。どこかで生業を再開しているのだろうか。
双葉町のメインストリートの一本裏を歩く。
カレンダーは2011年3月のままだ。

冨沢酒造店

双葉町唯一の酒造、冨沢酒造。その裏通りの様子は見ての通り。

 この冨沢酒造は、アメリカ、シアトルにて再起を果たしている。日本を捨て、アメリカで事業を再開したその心情は如何ばかりか。

 いつか、冨沢酒造の白富士を呑んでみたい。

<続く>

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