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2018年12月福島、悲しく青い、広い空

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<続き>

帰還困難区域を出た…と言っても同じ道。ただゲートを抜けただけだ。
道の脇には墓地が見える。帰還困難区域の墓地から集落を見下ろすご先祖様は、どう思っているのだろう。

前回も訪れた社に着く。ここで敷地内に入ろうとしたところ、豚のような鳴き声と走り去る足音がした。
昨日の猪との遭遇のこともあり、今回はこれ以上中に入ることはやめた。

前回10月はこの先の帰還困難区域ゲートからここまで歩いて来た。今日はこの交差点で右折することにする。

交差点を右に曲がると長い道が出てくる。

ここでふと後ろを振り返ると、最初に僕を追い越していったパトロール車が交差点の場所でこちらを窺っていた。どこかに隠れて僕を待ち伏せしていたらしい。怪しまれて当然だろう。駅から既に5kmほど。こんなところを1人で歩くバカはおそらくいない。

(空は抜けるような青)

(帰還困難区域入ってすぐの鉄塔の写真など、この美しい空をぜひ作品にしたいと思った)

高瀬川。向こうの山の手前に見えるのは、フレコンバッグの塊。10月にすぐ脇を歩いたばかりだ。その先は帰還困難区域。美しき汚染された大地。なんたる皮肉。

常磐道近くには別のフレコン置き場。ここも10月にすぐ脇を歩いたばかり。フレコン置き場に詳しくなってきたw

(さらに歩く。空が広い)

(ここは今も稼働してるのだろうか)

ここも10月に歩いた場所。この辺は戻っている家が数軒ある。空間線量は0.4〜1.0μSv/h。
この手前で、2人のおじさんが立ち話をしていた。どこからともなく歩いてきた僕に驚いた様子だった。とりあえず頭を下げた。

ひと山越えようと坂を登り始めると、さっきすれ違ったおじさんのうちの1人が軽トラで走ってきて、赤い花のあたりで道をふさいだ。

少し身構えていると、おじさんが降りて話しかけてきた。
「あんちゃん、何してんの? 散歩?」
「取材です」
と答え線量計とカメラを見せる。
「絵を描くための取材です。来年金沢21世紀美術館で“もやい展”ていう福島をテーマにした展覧会があって…」
するとおじさんは
「絵描いてんのかあ」
ニコッと笑い、
「あっちの家でおらっちの息子が花作ってんだ。東京にも出してんだよ。今度来た時はそこも見でってくれよ」
そう言って自分の家の小屋へと歩いて行った。

もしまたここに来ることがあれば、声をかけてみようと思った。

(田尻方面へ向かう。あの団地は前回訪れた場所だ)

浪江日立化成従業員駐車場。手前の団地はもしかすると社員寮だったのかもしれない。

「家畜伝染病予防のため無断立ち入りを禁ず」
一瞬牧場かと思ったが、「豊橋飼料」ということだから違うだろう。
当然廃業。今どこで何をしているのだろう。

(立派な木)

次の目的地、大和電線工業株式会社福島工場に到着した。

<続く>

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