おしゃべりな手話をするオッチャンは、いまも元気にしているだろうか。
以前ウチによく来てくれてたお客さんで、近所の障害者支援センターに毎週来てて、施設内のレクリエーションルームで賭け麻雀とかしてたオッチャンがいたんだが、なんだかすごく印象に残ってる。
(いまはそれ禁止になったらしくて集まっていない模様)
なんて言うんだろ?聾者で耳が聴こえないだろうなってのは分かるけど、もう、とにかくもうお喋りなんだよ。ずっと喋ってるんだよ、手話で。ニコニコしながら。
手話同士の会話をパッと眺めても、そのオッチャンだけが明らかに手話が忙しい=よく喋る。
シャア・アズナブルじゃないけど常人の3倍早く動けるというか、ニコニコしながら楽しそうに手話でずーっとシュバババババッ!って両手を動かしてたなー。
実際に人の良さそうなオッチャンだったから、手話しながらちゃんと笑いもとるというか、冗談言ってるなーってなんか分かる。普通の会話なんだよなあれ。無口というか寡黙な感じがする方の手話って、やっぱり大人しいし、返事とか相槌のみで手もゆっくり動かしてる。結局のところ性格なんだなー。俺も簡単な単語ぐらいの手話は覚えてみようかなと当時思ってたな。
2011年の震災後、3ヶ月ぐらい経ってからまた来てくれて、当時あの頃って誰でも、
「お前のところはどうだった?住んでるとこは?家族は?知り合いは?」
っていう話をまず最初にするってのが基本的な挨拶だったんだよね。
津波は勿論のこと、その近辺のこと、住んでた建物の被災状況とか地震保険とか。福島側に近づけば近くほどそっちの(福島第一な)心配も当然あったし。勿論それは今も変わらずにある。
俺は手話も何も出来ないけど久しぶりのオッチャンは、それでもいつも通り身振り手振りでなんとか会話をしてくるんだ。
身振り手振りのジェスチャーで俺が理解できた言葉は、
家、、、もう、、、全〜部、、、、流された、、、悲しい、、、
だった。オッチャンもニコニコしながら泣き笑いだった。
「あー、、、」って顔しか俺も出来なかったなー。
まあ死んでないだろうし、今も変わらず元気だろうし、変わらずにニコニコしてパチンコ屋とか行って周りにお喋りな手話をしてるんだろうなーと目に浮かびます。