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よく考えたら(よく考えなくても)「文脈」は唯一にして最大の営業ツールだしコミュニケーション能力そのものでもある
今は情報の価格が安くなった。情報の価格が安くなる(ほとんどタダになる)と、過当競争が生まれる。個性がなくなり、差別化がしにくくなる。おかげで今の世の中は、製品の質がいいのは当たり前で、何か付加価値をつけなければ売れない。もっというと、付加価値≒価値になりつつある。
例えば、コンビニのコーヒー。各社とも、様々な情報を駆使しして安価で美味しいコーヒーを提供している。それでも、各社の持っている情報はほぼ一緒だから、差がつきにくい。結果、どこも似たような価格、似たような味になる。もちろんサービスの品質でも差をつけられず、差別化ができない。
となると、どうするか?
差別化は、付加価値でしかつけることができない。もっというと、「文脈」でつけるしかない。
実際、例えばセブンイレブンとローソンのコーヒーでは、経営戦略の文脈が大きく異なる。セブンは、チャレンジするという姿勢だ。失敗しながらも、新しいことをどんどん試す。それに比べ、ローソンは守るという姿勢だ。チャレンジしない代わりに、現時点で最高のものを目指す。ただし、ゲームチェンジの場面が来たら、すぐに変わる。変化への対応だけは、いつでもできるように整えておく。いうなれば二番手戦略だ。
セブンとローソンの経営戦略の差は、そのまま「サーブの仕方」なって現れている。セブンはセルフサーブなのに対し、ローソンは店員サーブだ。どちらも一長一短がある。セブンは、客のボタンの押し間違いや、あるいは故意の押し間違いによるロスが生じやすい。一方ローソンは、店員に負担がかかり、レジは混雑するものの、ロスは少ない。
どちらがいいか?
これまでは、ローソンの方が良かった。店員にサーブしてもらえれば、客はその方が楽だ。ロスも少ない。しかしセブンは、チャレンジャーという姿勢を利して、新しい機器を投入してきた。新しい機器は、紙コップの大きさを自動判別するため、これまでのようなロスがなくなった。そうして、経済合理性で一気にローソンを上回った。
そういうふうに、失敗はイノベーションを生み出す。そうして今度は、セブンがローソンを逆転した。しかも、それだけではない。セブンの新しい機器は未来的で、コーヒーをサーブするのが楽しいのだ。そういう思わぬ付加価値も、そこには生まれた。
そんなふうに、経営戦略の違い——文脈の違いが、そのまま付加価値の違いとなって現れている。そして客は、付加価値の高い方へと行く。これまでだったらローソンの方が良かったが、形勢は逆転した。ローソンの文脈に、セブンの文脈が勝ったのだ。
ここで注目したいのは、セブンの逆転が、必ずしも文脈を読み切ってのことではない、ということだ。例えばセブンは、付加価値を打ち出す方策の一つとして豆の銘柄をアピールしている。しかしそのアピールは、ほとんど功を奏していない。それよりも、新機器導入という文脈の方が、よっぽど大きな付加価値を消費者にアピールすることとなっているのだ。
話は変わるが、結婚も文脈である。例えば結婚相談所に入会したなら、相談員からまずは釣書の書き方を徹底的に指導される。なぜなら、そこが勝負の分かれ目だからだ。結婚できるかどうかは、釣書の書き方にかかっているといっても過言ではない。
そして、釣書に書くことといえば文脈しかない。釣書は、いうなればその人の人生の文脈だ。だから、文脈力のある人は、釣書も魅力的になり、結婚を成就させられる可能性が高まる。その逆に、文脈力の低い人は、なかなか成果を上げられない。
そう考えると、文脈力はコミュニケーション能力そのものだ。文脈力さえあれば、説得できない人などほとんどないともいえよう。全ては文脈力にかかっているのである。
その意味でも、文脈力は誰にとっても重要だし、それを鍛えるのは、誰にとっても役に立つ。文脈力があれば、人生の全てが上手くいくというわけではないが、しかし人生の質は確実に上がる。
だから、文脈力は鍛えていくべきだ。
しかしながら、文脈力の鍛え方というのは、いまだに確立していない。近年、これほど重要になっているにもかかわらず、ほとんどの人がまだそこに着目していないからだ。
そこで、この「文脈ノート」では、その鍛え方をお伝えしていく。五月雨的に各所のスキルを上げていくだけではなく、メソッドを確立し、トータルでの底上げを目指す。
そうすることは、文脈力を鍛えるのと同時に、これからの文脈がますます重要な時代に、その人の人生のクオリティをも高めていってくれるはずだ。
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