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現代日本において最も腐敗している二つの職業
ここ数年で、ぼくが「腐っている」と感じた職業は二つある。この二つの職業に就いている人は、ほとんどが腐っている。そこで今回は、なぜこの二つの職業が腐るかを解説したい。
まず、人間はそもそも「未来」に生きている。未来の予感の中で生きている。
「未来の予感」というのは、人間における「これから幸せになるか、不幸になるか」ということへのひとかたならぬ関心から生まれる。以前に聞いた示唆に富む話があって、交通事故で腕などを欠損した人は、事故直後に幸福か不幸かを問うと、ほとんどの人が「不幸」と答える。一方、3年後に同じ人に同じ質問をすると、「幸福」と答える確率がぐんと増えるそうである。
なぜかといえば、人は「未来への予感」に生きているからだ。事故直後は、「未来の生活が今より悪くなる」という予感に見ているため、不幸に感じる。一方、三年後にはすでに腕のない状態が「今」に設定されているため、「未来の生活が今より悪くなる」という予感は消失している。だから、幸福と感じられるようになるのだ。
そんなふうに、腕を欠損するような重大な事故に遭った人においても、重要なのは「これからの生活が今より良くなるか悪くなるか」なのだ。その意味で、これは人間にとって最大の関心事ともいえよう。これによってその人の幸不幸が決まるのである。
ところで、変化の激しい現代においては「未来予測」が盛んだ。特に「これからなくなる職業」という問題が大きく取り沙汰されている。だから、そこに就いている人というのは不幸だ。なぜなら「未来の生活が今より悪くなる」という予感に満ちているからである。
そして、人間が腐敗するのは、その不幸な状態を見て見ぬ振りをするときだ。いわゆる「臭いものに蓋」で、自分で自分を騙しているときである。
もし、「自分の職業がこれからなくなる」という不幸を直視すれば、それに対応せざるを得ない。だから、職業を変えるなどして、不幸はおさまる。
ところが、自分の不幸を直視せず、なかったことにしてその職業に就き続けていると、心の中は不幸なままだから、それがどんどん進行して、やがてその人を腐敗させる。
そう考えると、現代において腐敗している職業というのは、「これからなくなる職業でありながら、それを直視しづらく、その職業に留まる人の割合が高いもの」と定義することができるだろう。簡潔にいうと「転職しづらい職業」である。それが一番腐敗しやすい。
そして、「転職しづらい職業」というのは、大きく三つの特徴がある。
一、その職業に就くまでにかけた時間・お金・労力が大きい。そのため「損切り」がしづらい。
二、今時点のうま味がまだ大きい。もう没落しきっている職業なら、しがみつく理由はない。しかし今はまだ儲かるから、離れづらいのだ。
三、未来への微かな期待がある。その職業は、例えば「社会的なイメージいい」など、「もしかしたらなくならないかもしれない」と微かな期待を抱かせる部分がある。期待が全くないと、さすがにそれを直視せざるを得なくなるが、微かな期待があると、そこにしがみついてしまう率も高くなる。
この「微かな期待」というのは、「DV加害者がふと見せるやさしさ」のようなものだ。被害者は、暴力一辺倒の加害者ならすぐに別れられるが、微かな期待があると、ずるずると関係を継続させてしまう。
上記三つの特徴を有する職業は、悲惨なことにこの世の中はいくつか(いくつも)ある。これを読まれている読者の方も、パッと思いつくものがあったのではないだろうか。
その中でも、ぼくが今最も腐敗していると思う職業を挙げて、この稿を終わりとしたい。この職業に就いている人は、ここ数年ぼくが触れあった中で、最もひどい悪臭を放っていた。それにびっくりして、なぜそうなったのかを考えたところ、上記のような構造が見えてきたという次第である。
その職業とは——
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