Web商談会に256人が参加!10月には書店大商談会とも連携し開催へ
有志の出版社34社からなる書店向けWeb商談会実行委員会は4月5日~23日、今回で3回目となる「書店向けWeb商談会2021春」を開催した。今回は出版社を中心に玩具メーカーなど158社(前回149社)が出展、書店員など256人(前回235人)が参加した。
今回はこれまでのオンライン商談機能に加え、オンライン発注機能も追加。さらには集客数アップに向けて、著者や書店員によるオンラインイベントも多数開催した。その結果、商談回数は722回(前回は779回)、取引金額は2,636万4,390円(前回は2,043万2,238円)となった。
▲出版社と書店の商談の様子
「次回も参加したい」書店員、91%に増加
書店員など参加者からは「次回も参加したい」という声が91%と前回の81%より、10ポイント増加。事前に行った出展社に対する集客・商談ノウハウの共有や、書店等法人に対する説明会が影響していると考えられる。一方、出展社は63%と前回の75%よりも12ポイント減った。商談数の減少、システムの複雑化などが考えられるという。
次回に関しては、参加者と出展社の満足度向上を考えつつ、書店大商談会とも連携して、2021年10月に開催する予定。書店大商談会で製作するパンフレットの中に、各社の商談予約ができるQRコードを入れてもらう予定。Web商談会のイベントや出展社を紹介するページも設けてもらうという。
▲Web商談で書店にアピールする出版社
海外の書店とも商談!時差などが課題
今回の商談数の多かった出展社の上位3社は、亜紀書房(28回)、パイ インターナショナル(25回)、主婦と生活社(20回)。一方で、商談数が0回は20社と、前回の16社に続き出展社の1割以上となった。1対1の商談の中には、海外の書店との商談も。出展社の1社である日販アイ・ピー・エスが仲介となり、台湾の書店が出展社3社と、米国の書店が出展社5社と商談した。
書店からは「売れ筋商品が多数あるので今後も強く連携していきたい」「今後も定期的に開催してほしい」との声。一方で、出展社の売りたい商品と海外書店が求める商品とのミスマッチがありうることや、欧米とは時差が大きく商談を設定しにくいという課題が見えたという。
「3分プレゼン」、忙しい書店員に好評
1社が複数の参加社に対して商品説明などを行う「版元説明会」については、4社(ブロンズ新社、ニジノ絵本屋、ミシマ社、パイ インターナショナル)が計12回実施し、合計40人が参加。複数の出展社が複数の参加者に対して商品説明などを行う「3分プレゼン」(出展社1社あたり3分の持ち時間で順番にプレゼン)は、児童・芸術・人文・文芸・ビジネス・実用・理工分野の70社が合同で行い、59人の書店員が参加した。またコミック分野でも17社が合同で行い、53人の書店員が参加した。
「3分プレゼン」は録画の上、いつでも見られるようYouTube上でアーカイブ配信を実施。児童書は300回近く、コミックは200回近くが再生された。視聴者は「3分という限られた時間の中で伝えたいことをまとめてくれているので、商談するほどの時間は取れないが売り逃し商品がないかを知りたいときに便利」「イベント動画を流しつつ別作業をし、気になったタイトルはその都度注文。疑問や聞いて見たいことがあれば商談を申し込んだ」という。
初導入のオンライン書籍発注システム「BookCellar」と「一冊!取引所」の取引金額は、全出展社合計で「BookCellar」が36万2,980円、「一冊!取引所」が41万5,935円となった。
出展社横断の「合同フェア注文書」は6種作成。「一冊!取引所」の機能を利用し、オンライン発注も可能。52の出展社が計115タイトルを出品し、参加書店の10%が発注の参考として利用した。
▲受注数TOP10のタイトル
同商談会の実行委員長である三芳寛要(パイ インターナショナル代表)氏は「この商談会には新しいアイデアの孵卵場・実験場としての機能もあります。例えば『3分プレゼン』の応用編として『版元横断・書店チェーン別説明会』 のアイデアが生まれ、商談会から独立して企画が進行中です。2021年秋の開催時には今回以上に業界内の協業を進める予定です。さらにパワーアップする商談会を通じて、業界の活性化と、読者の皆様の笑顔につなげていきたい」と総括している。