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*全梨がブシャった本の話*

ずっと前に買ってあって、積読本になってた「ふなふな船橋」(吉本ばなな著)をとうとう読んだにょ。

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もうタイトルと表紙を見ただけで、なんとなく(どころじゃないね)察しがつくと思うけど、このお話の中には梨の妖精が登場します。それも、かなり重要なキャストとして。

私はばななさんよりも、梨の妖精に惹かれて購入したんだけど、うん、内容も結構好きだったな。

主人公の花ちゃんは世間的に見ると、不幸な境遇で育っているけど、そのことを過度に引きずっていたり、他者からの同情を得ようとしたりする訳でない。でも心のどこかではいつも引っ掛かってるんだよね。自分は他の人とは違う、と。

それを正すかのように、老舗のお蕎麦屋さんの後継である男性と付き合って、自分が今まで大切にしてきたものーそれは本であるとか、お母さんと別れる時にもらった梨の妖精のぬいぐるみであるとか、自分の力で手に入れた今の仕事であるとかーを全て捨てて彼のサポートをすることを当然のように受け入れようとする。

ところが彼はあっさりと別な人を好きになり、花ちゃんと別れてしまうの。

彼と別れた後に、不思議で意味深い体験をする花。そこで一役買うのが梨の妖精だっていうのも、またいい感じ。

そして、「複雑な事情を抱えているのは自分だけではない」ことを知るんだ。

人は不幸な目にあったり、病気になったりすると、「どうして自分だけがこんなめに・・・」って考えがちだけど、冷静に考えれば、誰だって笑顔の裏に色々なことを秘めている。表面だけ見て、人を羨んだり、憎んだり、蔑んだりせず、梨の妖精のように明るい笑顔で生きていきたいって、そう思った。

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