ぴかぴかの入園準備。
”ぴかぴかの一年生” でおなじみの(いまはおなじみではないのだろうか)小学館『小学一年生』には入学準備号というガイドブックがあって、小学校に入るにあたっての心得や勉強することなどについて書かれているという。
昨日、保育園でもらった書類はまさに「入園準備号」という感じだった。新規入園者のための説明会。途中入園なので話を聞いたのはうちだけだったけれど、見学の時には通されなかった応接室に入り、当日までに準備する持ち物や提出書類などの説明を聞いた。
僕は応接室の丸テーブルでつたい歩きをする赤ちゃんの相手をし、説明の理解は妻に任せた。急な気温低下のせいか、ハレの日なのに二人とも体調が悪く、やや朦朧としながら話を聞いた。「いっぱいやることがある」というのが精一杯の理解だった。
一夜明けて今日、その入園準備号を開き、入園当日までに必要な作業を紙に書き出す。新しい銀行口座を開いたり、たくさんの書類を書いたり、給食袋や通園バッグなど買ったり作ったりするものもある。こりゃあ忙しくなりそうだ。
中には「なまえを書く」という項目もあり、ちょっと心がはずむ。なんだかものすごく親っぽい。このために新しい油性ペンを買ってこようかと考える。
いくつかの書類を書きはじめたり、職場に連絡したりしていると「本当にはじまるんだなあ」という実感が湧く。これまでとは全然違うステージのはじまり。その引力ともうちょっとこうしていたい惰性とが綱引きしている。でも、先に進もうとする力の方がずっと強い。こんなにやることがあるのも久しぶりなので、必要以上に張り切ってしまう。
一つ一つ、丁寧にこなしていけば、やがて入園の日が来る。
昨日は赤ちゃんが通うクラスルームにも入った。4か月のとき、外から諸先輩方を眺めて
と、驚愕していたあの部屋だ。
赤ちゃんはその部屋に入るなり、すぐに声をあげて遊びはじめた。さっさと僕たち夫婦のそばを離れ、階段を上り下りし、遠くの壁までハイハイして、バレリーナの練習用みたいなつたい歩きの棒につかまって「あー!」と叫んだ。子どもプラザに頻繁に行っていたからか、まわりの子たちとも自然になじんでいる。
その間、僕たちは担任の先生と入園に向けての確認を行っていた。赤ちゃんの最初の「せんせい」。透き通った雰囲気のすてきな方だった。この先生に見てもらえるのはよかったなと思った。
昨日は体調が悪すぎて味わえなかったけれど、元気になって振り返ると「あそこにほんとに入るんだなあ」という感慨が湧く。そしてそれは外の窓から眺めていたのとは違い、目の前にある入学準備号の書類の束や持ち物づくりの作業を経た後のガチの現実なのだ。夢想は消え、ずっしりとした重さやゴリゴリとした質感があり、疲れも伴う現実がやって来たのである。
そうして「さあ、はじまるぞ」と作業に着手した今日、赤ちゃんは朝の散歩から帰って以来、ずっと寝ている。赤ちゃんは赤ちゃんなりに入園準備をしているのかな。
ぴかぴかの保育園児とぴかぴかの親、どちらも一年生。
そんな僕たちの保育園が、来月はじまる。