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最大級の警戒。

台風10号が昨夜から今朝にかけて、ウチのそばを通っていった。
強い風雨にさらされたものの、幸いわが家に被害はなかった。

これまでも台風や大雨を迎えたことはあったけれど、今回ほど備えが必要だと思ったことはなかった。県内の店や交通機関は早々に休業を決め、ニュースでもネットでも「最大級の警戒を」とひっきりなしに呼びかけられていた。

なにをどこまですれば「最大級」なのか。
「経験したことのない雨と風」「過去最強クラス」「未曾有の災害のおそれ」といった情報が目に入る中、いろいろ考えたし、奥さんと話し合ったり、大家さんに相談したりもした。

そうして備えはしたものの、いざ本番になると「なにか抜け漏れはないだろうか」という思いがよぎって落ち着かない。また「もう寝てしまっていいのか起きていた方がいいのか」といった細かい判断は、自分たちでリスクをとって決めるしかないことにも気づかされる。

だれも「絶対安全」は保証してくれない。心の奥底で「大丈夫なはずだ」と言い聞かせるしかなかったし、親から送られてくる心配のメールにも「大丈夫だよ(たぶん)」としか答えられない自分がいた。

今回は友人もウチに来て過ごしたのだけれど、彼女や大家さんといった他の人がそばにいたことは、落ち着いて対処する上でとてもよかった気がする。「最大級の警戒」はパニックになることとは違うからだ。

警戒を怠らず、しかし落ち着いて。
怖がりすぎず、かといって軽視もせず。

そんなふうに行動するには、どうしたらいいのだろう。

今日の「ほぼ日刊イトイ新聞」にこんな言葉があった。

なんでも、ゼロでないと危ないという考え方は、
不安を煽って人目を引くには都合がいいけれど、
ほんとうはその「考え方自体」が危ういです。
(ほぼ日刊イトイ新聞『今日のダーリン』より)

警戒と言われると、不安要素をゼロにしたいと思うけれど、災害時にはそんなことできない。誰も「これでいい」とは言ってくれないし、たぶん言えない。

そんな中で、なにを見て、信じ、どう行動するか。
その問いは問いのまま、残されることになった。

雨風がやんだ後、外に出ると空には青空がのぞき、気持ちのいい風が吹いていた。家のまわりの水路を詰まらせていた落ち葉を取り除くと、水はいつもどおり淀みなく流れはじめた。

それから家に戻って、ファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」をやった。いまは何事もなかったみたいな日常が戻ってきている。

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澤 祐典
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