「他人のことで忙しく、自分のことには手が回らないこと」や「いつでもできることを、ずっと放置しておくこと」をことわざで「紺屋の白袴(こうやのしろばかま)」という。紺屋とは染め物屋さんを指し、人の袴は染めるのに自分の袴は染めず、いつも白袴を履いていることから生まれたことわざとされている。
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先日、数年振りに母と外食をした。食後のコーヒーを一口啜り
「あら、ずいぶん苦い」と母。
自分も一口啜るが、さほど苦さを感じない。よくあるブレンドコーヒーの味だが、母にはこのコーヒーが口にあわないのだな。そういえば、朝ご飯の時に入れてくれたスティックタイプのインスタントコーヒーは、砂糖もミルクも入っているカフェオレだった。あの味が好きなら確かにこれは苦く感じる。他の飲み物か何か甘い物でも頼もうか。
「こんなに濃いコーヒー久しぶりに飲んだわ。美味しい」
え?そっちなん?
思わず母の顔を見返すと、なんとも嬉しそうな顔。なんだ、好きな味ならよかったと安心してコーヒーを啜る。聞けばこの数年、父の持病に付き合ってコーヒーを控えているそうで、朝にカフェオレを1杯だけが2人の決めごとなのだという。
我が家は家族全員コーヒー好きで、家にいる間はいつもコーヒーの薫りがしていた。朝はもちろんコーヒーの薫りで始まり、家族の誰かがお湯を沸かせば、マグカップが次々に集まって来る。コーヒーをいれてもらって各々、カップを片手に思い思いの時間を過ごしていた。
やがてカップの中の甘くて温いコーヒー牛乳は段々とミルクとお砂糖の量を減らし、芳醇な薫りの湯気を持つブラックコーヒーとなり、気づけば自家焙煎コーヒーを扱うお店で働いていた。
それなのに、コーヒー好きの母にNINOVAL COFFEE(ニノーバルコーヒー)のコーヒーを贈った事がなかった。紺屋の白袴とはこの事かと。こんなにも嬉しそうによくあるブレンドコーヒーを飲んでいる顔を見たら、NINOVAL COFFEEのもっと美味しいコーヒーを贈ったらどんな顔をするのか見たくなる。
贈るコーヒーは有機コーヒーの【NICE DAY】。良い1日になりますようにの思いを込めて。このコーヒーは濃い味だけど雑味がなくてスッキリしているし、ミルクやお砂糖を入れてもブラックでも美味しく頂けるから、好きなように飲んでもらえる。でも、大事にしすぎて酸化させないようにだけ、しっかり注意しないとね。
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紺屋の白袴と同じ紺屋を使ったことわざに「紺屋の明後日」という言葉がある。意味は「約束したとしても、その期日があてにならないこと」。
紺屋ならぬ、コーヒー屋の明後日にならないように用心せねば。
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