本読み記録#7 三流シェフ
▪️感想
・筆者は中卒で高校も進学できないような貧しい家庭で育ったが、今では日本を代表するフランス料理家になった。そこまで至れたのは、生まれ育った環境や苦しい経験があったからこそだ、幼少期から豊かな生活だったならばそこに達することは出来なかった。結局は、自分の置かれた環境や経験をどう人生に活かすかだ。同じ経験をしたときに、捉え方によって諦めることも出来るし、経験を活かして(筆者にとっては、貧しさから来る背水の陣的な状況だったかもしれないが)人生を進めることも出来る。
ユニクロでも下記のようなセリフがあった「過去は変えられない。だが、いまをどう生きるかによって過去は再定義できる。」それと同じことを筆者の人生から感じた。
・やりたくても、何も出来ない何の力にもなれないとき、その時は誰もやりたがらない雑用を進んでやるべきだ。是非やりますと自ら手を上げ、その雑用をしっかりとこなすこと。そして自分の居場所を見つける、重要なのは周りから自分が居てもいいと思ってもらうことだ。それが1年続こうが諦めてはならない、自分のやりたい事を実現するために。そうしていれば、突破口が見つかるはずだ。
▪️仕事観(抜選)
・必死だったのは、なにもできないし、何も知らなかったからでもある
・新入りに手取り足取り料理を教える時代ではなかった。先輩がソースを作った鍋を洗い場へ下げる時は、鍋の底に残ったソースを手のひらで掬って舐めて味を覚えた。膨大な雑用をこなしながら、先輩たちの仕事を盗み見て、知識と技術も自分で身につけなければならなかった。
・大切なのは目の前の仕事を、誰よりもしっかりとこなすこと。鍋でも皿でも誰よりも手早く、誰よりも綺麗に洗う。洗って洗うものがなくなったら、厨房を見回して、誰か忙しそうにしている人を手伝う。
→そうやって一所懸命に働いて、上司の目に止まるしかない。
・苦労する覚悟さえあれば、どこにだって居場所は見つかる。見つけた場所で、一所懸命にやれば道は開ける。ほんとに開けるとは限らないけど。自分にそれしかやれることがないなら、楽観的にやり続けるしかない。
みんながやりたがらない事を、機嫌良くやることだ。苦しそうにやっていたら周りだっていい気持ちはしない。だけど、誰もやりたがらない仕事を楽しげにやっている人間がいたら、少なくとも嫌われることはない。そこがきっかけに顔見知りになって、やがて軽口をいいあう仲になる。そこから始めればいい。
もしも何かやりたいことがあって、どうしてもそれができなかったら、その世界の鍋(だれもやりたがらない仕事)を探してみることだ。もしかしたら、何かのとっかかりは掴めるかもしれない。
▪️人間関係の構築(抜選)
・人付き合いの秘訣はニコニコ笑いながら遠慮なく近付く事。窮鳥懐に入れば猟師も殺さず。懐に入るのは僕の特技だ。人が大好きだから、そして人は自分を好きな人を好きになる。
・今の若い人はあまり喧嘩をしないらしい。いつも空気を読み、なるべく波風立てずに、できるだけ穏やかに生きる。喧嘩を勧めるわけではないが、喧嘩から始まる人間関係もある。毎日喧嘩しながら、僕は少しずつ一緒に働く仲間になっていった。
・こういう平凡な景色の中にすごいものが隠れているんだ。ありきたりな食材などというものはないと言われたと思った。平凡な食材の中に非凡さを見つけ出すのが料理人なのだ、と。