編集者自身の編集後記『編集中に起こった2つの変化』編集者も波瀾万丈?!
ウルトラパワーブロガーで、今やベストセラー作家の幸坂ゆうあさんのKindleの編集後記。
今回で最終回にします。
最終回は編集とプロデュースをしていた私の身に起こった変化を語っていきます。
振り返ると、波瀾万丈のゆうあさんと関わったから、波瀾万丈なことが起こったの?なんて冗談っぽく言えますが。
Kindle編集中の約3ヶ月、人生初の出来事にぶち当たったり、いろんなことに傷ついてはコンチクショウと思ってみたり。
なかなかどうして変化に富んだ3ヶ月だった。
ゆうあさんのKindle編集中、私の身に起こった最大の変化は2つある。
ひとつめは、勤めていた会社が、ゆうあさんの誕生日に倒産したことだ。
ゆうあさんの誕生日に倒産したのは偶然だけど、ゆうあさんとメッセージしていた時に発覚してビックリした。
私は注染手拭いを扱うお店で店長をしていた。母体となっていたデザイン会社が倒産。緊急事態宣言で、実店舗が長期休業中に起こったことだった。
緊急事態宣言中でも、破産宣告が受理されると差し押さえが始まるんですね。
当然、店舗に置いてある在庫も差押えの対象。お店に置いてあるスタッフの私物の回収、テナントで入っていたので、館への引き渡し等は、店長の私がやることになった。
人生で初めて弁護士さんとやり取りしながら東京の丸の内にあるお店まで行ってきた。
この引き渡し作業が精神的にものすごくキツくて。
緊急事態宣言前の状態のままなのに、もう、ここには二度と帰ってくることはないんだと思うと、弁護士さんやフロア担当さんが居る前でも涙が止まらなかった。
大好きで仕方ないものが、一瞬で自分の世界から消える。
引き渡した後の帰りの電車は、お通夜とかお葬式の帰りみたいに、暗くて重い、何とも言えない精神状態でした。
落ち込んでいても、やることはあるんですよね。保険や年金や税金の手続きや失業保険の申請など、怒涛の勢いでこなしてました。
そして、緊急事態宣言もあって、外出もままならない中、ひたすら、ゆうあさんのKindle本の編集をしていました。
ブログの文章を使ってKindle本を作る場合、一番はじめにブログ記事を読みながら仕分けをする。
ゆうあさんのブログは、きちんと仕分けしてあって、タグ付けもしてあるので、仕分けはしやすいのですが、何せ量が多い(笑)
読み進めども終わらないゆうあワールド。
読み終わらないことに、若干の苦痛を感じながらも、読めば読むほど、心は軽くなっていったんですよ。なぜか。
途中、泣いてしまったり、思わず声に出して笑ってしまったり…
一番はじめに著者の文章に触れる時は、一番のファンとして触れると決めているので、本当に心震わせて読みました。
そして、読んでいくうちに確信しました。
「私、まだ笑えてるな」
大好きな働く場所がなくなって、大好きな人たちと働けなくなっても、私、笑えてる。
そして、ゆうあさんの文章には、人を元気にしたり、つらくてしょうがない人を笑顔にするなと確信した。
だって、私が笑えてるんだ。
これは確信できる。
自分の体験を通して感じられたので、ゆうあさんに対しても自信を持って「大丈夫」って言えたし、逆に言いづらいことも思い切って言えた。
元からこんなにもエネルギー乗ってる文章なんだもの。あとは、ゆうあさんの壊滅的な国語力によって繰り出されている謎の部分に読者が触れた時に離脱しないようにするのと、行間に隠れたゆうあさんの言葉を引き出すだけだった。
私がつらい時に助けてもらった文章を、今度は世界中に届けたい。
その一心で今回は編集した。
そして、もうひとつ。
これは今回のKindle編集中に友達からもらった、私が書く文章に対するアドバイスの延長上言われた言葉だったんだけど。
友達が放った言葉はこんな感じだった。
「ぞのちゃんの文章、面白くなくなっちゃった」
だから、読んでないし、イイねもしてくないと言われたんだよね。
お酒の席でのことだったし、たぶん友達は覚えてないと思うけど、私は結構、ショックだった。
心の中でめっちゃシュンとした。
自分の中で最大級にシュンとすると、私は口をつぐむ。
しかも相手が親しい間柄であればあるほど、シュンとしたことを隠す。
その時も場の空気を崩したくないし、自分の醜い感情を晒したくないので、サラッと流した…と思う。
私も酔っ払っていたのでよく覚えてはいないけどね。
でも、感情が揺れ動いた言葉は記憶に刻まれやすい。
その後、自分の文章について考えた。
何がおもしろくて、何がつまらないのか。
そこでいくつか思いついたことがあった。
私の文章はあまり感情を出さない。
想いを伝えていない。
本音で言葉を紡いでいない。
たぶんギリギリのところでプライドが邪魔をする。
編集する時、さんざん著者さんに本音の言葉を求めるクセに、ズルいじゃないか。
友達が言ってくれたおかげで、自分の中の「おもしろい文章」の基準がピタッと決まったのだ。
そして、吹っ切れた。
私の文章は読まれなくていい。
私の編集した文章を読んで欲しい。
著者さんと切磋琢磨した文章をおもしろいと思ってもらった方が何倍も嬉しい。
個人としての喜びより、チームの喜びの方がいいな。
そうハッキリと、きっぱりと思えた。
今回のKindle本を作っていた時に得た、一番の変化はそこかもしれない。
まっすぐ愛を注げるものを、著者さんと、読者さんと作っていけたらと思う。
やっぱりチーム戦が好きなんだと改めて気付かされた。
チームの中でそれぞれが力を発揮する。
本来、仕事ってそういうものだよね?
さて、おかげさまでKindle本の新しい企画がスタートしています。
そのあたりも次回お知らせしていきますね。
幸坂ゆうあ著
『死んだら生きれない 50円玉2つからの波瀾万丈復活逆転人生劇場!』