ペンギンたちの夜間飛行
手首を切ろうとカッターの刃を当てた時、真衣は「やっぱり痛いのは嫌だ」と諦めてしまった。死んでみたいと思ったけれど、それはよくよく考えると「今すぐ逃げ出したい」という衝動だ。ここからいなくなることができれば、家族から遠ざかることができれば、真衣はきちんと生きて行けることに気付いた。
だいたい上手く自殺できたとして、過保護で共依存を望んでいる母親は絶望して後追い自殺をするかもしれない。天国があるのかどうか知らないけれど存在していたとして、すぐに涙の再会になってしまう可能性があ