母も全力運動会
先日、息子たちが通う保育園の運動会だった。
前年までクラス別で午前と午後の部に分かれていたプログラムが、今年は入園して初めて全クラス朝から夕方までお弁当持参の祖父母参加OKというThe!運動会スタイルに。
朝から夕方までビッシリと競技で埋め尽くされているプログラム表から先生たちの気合と熱量が感じられる。
そのプログラムの中には、各クラスから父母それぞれ4人ずつと、担任・副担任2人の計10人が走るクラス対抗リレーが入っていた。
2週間程前からリレー走者を募集していたのだが、自ら手を挙げる保護者はおらず、先生がお迎えのタイミングで声をかけていた。
私も当然お声をいただき、
「いいですよ。」
の即答で走者に決まった。
というのも、別に走るのは嫌ではなかった。
それは、中学生の頃陸上部だったという自信からではない。(もう20年以上前の話だし・・・)
この歳で全力で走ることなんてきっとない。
むしろおばさんが街を全力疾走してたらきっと怪しまれるだろう。
それがリレーという真っ当な理由で誰にも怪しまれず、むしろ応援されながら全力で走れるなんてなんだかワクワクしないか。
誰かと競い合いながら走るのはこの先なかなかない貴重な機会だと思い引き受けたのだ。
そして迎えた当日。
走る順番は直前に決めた。
私は5番目、ちょうど真ん中だ。
観覧場所には次第に人が集まり、大きな活気とちょっとした緊張に包まれる。
第一走者は各クラス担任の先生。
スタートラインに立つと、全員の注目がそこに集まる。
合図と同時に走り出した。
さすが先生方、普段から子供たち相手に動き回っているからか足取りが軽く速い。
2人目、3人目とバトンが渡され、チームは4位(最下位)で約半周ほど距離を空けられたまま私の番になった。
バトンを受けて、いざ疾走。
思ってたより足が上がらない。
腕も振れない。
これが歳か。
それでも全力で走る。
今持っている力を全て出すのだ。
遠くに走っている走者を追い越してみせる。
そんな野心を剥き出しに走った。
1周80m程と聞いた時は長くて途中で息が上がらないか不安だったが、走ってみるとあっという間で。
気付けば次の走者へバトンを渡していた。
私の今年最初で最後の全力疾走が終わった。
チームは最下位だったけど、子供たちに母の本気の勝負姿を見せることができてよかった。
「全力を出して勝て」
「全力を出して負けろ」
陸上部の顧問の先生が言った言葉を思い出した。
当時はその言葉の意味がよく分からなかったけど、今になって分かる。
3日経っても筋肉痛は治まらないが、来年も走りたいと思う。