卵巣セラピー①: ビタミンDは日本人女性の妊活に大切です
ビタミンには、A、B、C、D、E、そしてKがあります。
それぞれのビタミンすべてが大切な役割を担っているのですが、どれも重要ですから、気をつけましょうといわれると、ちょっと大変です。
今の日本人の生活習慣・食生活を考えた場合、そんなにビタミンに神経質になる必要はないと思います。
ただし、ビタミンDを除いては。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の形成、成長、修復に大切な栄養素であることが以前より知られています。
骨は、リンやカルシウムなどの原料から造られますが、腸管からその吸収の手助けをするのがビタミンDなのです。
ビタミンDは3つのルートから体の中にインプットすることができます。
1つ目は、食物からです。ビタミンDは、しいたけ、キクラゲなどのキノコ類、シャケ、カツオ、マグロなどの魚介類に多く含まれています。
2つ目のルートは、ビタミンDは、ビタミンAやCと違い、体内で合成されるのです。そのためには十分日光に当たり、体に紫外線を浴びることが必要です。
そして3つ目のルートは、サプリメントによって摂取することができます。
近年、妊活におけるビタミンDの重要性が指摘されるようになってきました。
ビタミンDは卵子の成熟にとても重要な役割をします。
したがって、不足すると当然のことながら妊活に影響してきます。
日本内分泌学会では、血中ビタミンD濃度が20ng/ml以下をビタミンD「不足」、21-29ng/mlを「不十分」、30ng/ml以上を「十分」量と定義しています。
当院に通院されている女性のビタミンDの値を測定して驚くのは、半数以上の女性がビタミンD「不足」の状態にあるということです。
妊活におけるビタミンDの重要性が注目されるようになったのは、体外受精が普及したことによって、より詳しく研究されるようになったからです。
ビタミンD濃度の高い女性ほど、体外受精の妊娠率が上昇していることもわかってきました。
また血中のビタミンD濃度が高い女性は、AMHの値も高いこともわかりました。すなわちビタミンDを十分に補給することは、卵巣予備能の低下を予防できる可能性を示しています。
不妊症の原因となる子宮内膜症や多嚢胞卵巣症候群(PCOS)の人は、血中のビタミンDの濃度が低いことが知られています。
また、月経前にみられる気分の変調は、ビタミンDの摂取により改善が期待できます。
ビタミンDは女性の骨代謝にも密接に関係しています。
紫外線対策ということに女性は気を使いますので、このことがビタミンD不足の原因になっているのかもしれません。
ビタミンDが不足すると、骨形成がうまくいかず、骨粗しょう症にもなりやすいのです。
若い生殖年齢にあるうちは、骨量の問題はさほど表面化しませんが、女性が閉経すると、骨粗しょう症の患者さんが増えるのはそうした背景もあります。
閉経して女性ホルモンの分泌が低下すると、骨量が低下してくるのです。
ですから妊活にとどまらず、女性の長いライフスパンを考えた場合、ビタミンDと仲良く付き合っていくことは、とても重要なことなのです。
幸いなことに、ビタミンDはサプリメントで容易に摂取することができ、それによって多くの場合、低ビタミンD血症の状態は改善します。
「不妊ルーム」では、ビタミンD不足の女性に、ビタミンDサプリメントの摂取を勧めてみたところ、妊娠される方が着実に増えてきました。
また、ビタミンDは、男性因子にも関係しています。
精子の運動能力を高め、精子の細胞内へのカルシウム吸収を促すことで、精子の受精能力が向上することが報告されています。
男性もビタミンD濃度を測定し、不足していれば補充することで精液所見の改善が期待されます。
さらに、国立ガン研究センターの報告では、血中ビタミンD濃度が上昇すると、全体のがんに罹患するリスクが低下することが示唆されました。
健康のため、ご夫婦でビタミンD摂取をこころがけましょう。
しかし、ビタミンDにも適正量がありますので、医療機関でビタミンDの測定検査をおこなってもらうことがなによりも大切です。
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