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日記 2024.8.24(土) 大好きを集める旅。

あっという間の8月だった。梅仕事を終え、お別れやお盆休み、学校の課題。わたしにしてはかなり大きく動きまわった月になった。まだまだ動けそうな気もするけれど、ゆっくり休みたい気持ちもある。旅の計画を立ててみようかな、でも8月いっぱいは走り切りたいからそれからでもいいかなとぼんやり考える。

この三ヶ月間の学校での時間。たくさんのことを同時に考えること、やっぱりわたしには向いていないのだなとよく分かった。シンプルなものが好き、頭の中も、家の中も、持ち物も、行動も、ごくごくシンプルが好きなのだということがよく分かってきた。無職になり、ものを減らすことで自分が見えてくるというわたしのやり方はわたしには合っていたのだろう。たくさんのものを手放してきた。わたしにはそんなにたくさんのものは必要なさそうだということを確認できた。再び自分の世界に戻ったら、またシンプルに暮らしてみたい。

昨日産直市場に寄ったら新生姜を見つけてしまった。初夏と秋に出回る新生姜の旬は実は秋なのだそう。夏の新生姜はハウス栽培がほとんどで露栽培は9月、10月が旬になる。へー、知らなかった。またこれから紅しょうがをたっぷりと漬けられると思うと嬉しくなってくる。9月、10月はいつもそんなに調子が上がらないから紅しょうがをたっぷり作って備えよう。まもなくなくなりそうな初夏に漬けた紅しょうがを食べながら、秋の楽しみを広げていく。

朝起きてお化粧をするまでの流れが素早くて好きだ。ささっと済ませておきたいことは流れるようにやる。あと今日は洗濯がしたい。天気予報も見ずに洗濯機を回す。シーツも洗ってさっぱりしよう。まだ曇っているけれど今日はなんだか晴れのような気がする。天気も予報ばかりき頼らず感じてみる。空を読めるようになりたい。

朝ごはん、どうしようかと冷蔵庫を開ける。いまはパンもないし、でも少しなにか食べたい。家のすぐ近くのパン屋さんに行ってみることにした。朝食べるパンを朝買いに行くというのはなんだかわくわくする。こんなふうに気楽に気まぐれに動くとわたしが喜んでくれる。わたしは思いつきの楽しいことが大好きなのだ。

パン屋さんでは薄皮の自家製あんのあんぱんと、この間買ってすっごく気に入ったライ麦などいろんなものが入った茶色いパン、全粒粉の丸パンを買った。帰ってさっそく丸パンをかじる。やわらかくむちっとした食感が美味しい。ここのパン屋さんの生地が大好きだ。薄皮のあんぱんもすごく美味しくて思わずにっこりになる。

お昼からは渡部萌さんの展示が青山であるようなので行ってみることにする。先日山形まで展示をみに行こうか迷ったくらいだったのでこんなに近場で開催されると思うと嬉しくなる。いても立ってもいられなくなり、展示初日に行ってみることにした。

お昼ご飯は食べてから出かけたいのですこし早めに準備する。稲庭うどんにすることにした。おつゆに大根おろしを入れよう。ザワークラウトにミニトマトを加えて黒酢で和えたものを添えよう。頭の中に献立らしきものを思い浮かべながら手を動かしていく。何品かの料理を同時にぱぱっとつくるような器用さはわたしにはない。できるだけひとつひとつの工程に集中できるような順番でつくっていく。
稲庭うどんとザワークラウトの黒酢和えのお昼ご飯はすごく美味しかった。細麺で平べったい稲庭うどんはつるつると食感も気持ちがいい。大根はしっかりと辛味があってよいアクセントになってくれた。やや失敗気味のザワークラウト、黒酢で和えたら生き返ったように美味しくなった。黒ごまと黒こしょうも入れたら見た目はすごいことになったけれどちゃんと味は美味しかった。また作ろう。

今日のお昼ご飯。

お昼ご飯の後はやはり眠たくなる。土日くらいはお昼寝してよとわたしが眠りに誘う。目がとろんとしてくる。やっぱり平日は気を張っているのだろうな。眠たくなったりはしない。眠たくなるのは安心できている証拠。素直に従おう。

気持ちよく眠った。朝は曇っていたけれど太陽が出てきて陽射しがある。洗濯物はもう乾いているかもしれない。準備をして出かける。
電車を乗り継ぎ表参道へ。汗が吹き出るような暑さ。今日は湿度も高い。
展示の場所は何度か行ったことのあるbuikさんのすぐ近くだったので近くまでは迷わずに進むことができた。informationと書かれた白い看板を見つけて階段を上がると涼しげな暖簾が下がっている先に扉が。やや入りにくかったが勇気を出して扉を開けた。

informationさんの入り口。

白い室内に木のテーブル。テーブルや棚、本棚に置かれた渡部さんの作品。どれも見た目が可愛らしく思わず笑顔になる。CURATOR'S CUBで最初に渡部さんの作品をみた時の興奮はいまもずっと残っている。そばに置いておきたい、すぐにそう思った。前回作品を手にしなかったことを後悔していた。今回はもしいい出会いがあれば、と思いながら作品を愛でていく。素朴な素材をこんなにも洗練された姿に仕上げられるのはすごいなぁ。洗練されているけれど温かさがあってほっこりする。そのバランスの取り方がすごく好みだ。
今日は渡部さんも在廊されており、涼しげな浴衣姿で迎えてくださった。クルミ樹皮の作品についてお話を聞くことができた。クルミ樹皮の割れやすさを補強するために裏側に和紙も使っておられるのだそう。表側のクルミの樹皮色と裏側の黒の組み合わせがすごく美しい。渡部さんの親しみのある話し方、控えめなやさしい口調に引き込まれる。すこし会話をさせていただいただけでもう彼女のことを大好きになってしまった。
わたしが到着したのは14時過ぎくらいだったろうか。すでにたくさんの作品が誰かの元へ旅立ったあとだった。気に入った作品はその場で持ち帰ることができるというのは嬉しい。アケビのカゴもいつかほしい、蓋つきの入れ物もいいな。どれもこれもいいなぁとみていると、奥の棚の上にちょこんといたクルミ樹皮の作品が目に入った。正方形のような形で楕円の口のもの入れ。そのまま飾っても、中になにか入れても、花器を入れてお花を飾っても良さそうだなと感じた。この子が欲しい。
今年はわたしがいいと思ったものを買っていいということに決めている。持ち物をたくさん手放して部屋の中はすっきりしすぎるくらいになった。今度は本当に好きなものを集める番。渡部さんのもの入れを、わたしはそばに置きたいと思った。

きれいないちょう色の薄紙にやさしく作品を包んでもらった。ご本人にありがとうございますと伝えて外に出る。うれしい、うれしい。大好きなものを集める旅、まずは渡部萌さんのもの入れを迎えた。
buikさんでパッションフルーツのチーズケーキを買って帰る。夢みたいな気持ちでふわふわしながら休日で混み合う街の中を帰る。もうしっかり満足しているので途中寄り道しても何にもときめかなかった。

こんな気持ちで買い物をしたのは何年ぶりだろう。家に帰り薄紙をめくり、渡部さんの作品と再び対面した。樹皮の表面の手触りが心地いい。毎日触れながら暮らせるなんてしあわせだな。やっぱりわたしは自然の中にあるものに触れるとほっとするようなところがあるんだろう。毎日毎日触って抱きしめて大事にしようと思った。

飾るというよりも毎日使いたい。なにかいい使い道はないかなと考えつつ、今日は枕元に置いて一緒に眠ることにした。この樹皮作品の一番気に入っているところはにおいだ。自然のにおい、人の手で作られたにおいがする。何度も鼻を近づけてにおいを嗅いでいる。深くやさしくほっとする。枕元に置いていてもほんのりと香りが漂ってくる。こんな気持ちになれるものをわたしもわたしのためにつくっていきたい。そう思った。

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