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口呼吸と鼻呼吸ーマスク着用の害①

「正しく鼻呼吸すれば病気にならない」今井一彰 著ー(福岡みらいクリニック院長)
抜粋 ① 【過去に標記の題名で投稿した記事の修正版です】。
 
免疫は、自己治癒力を発揮するシステムです。この免疫に異常やトラブルが起きると、関節リウマチ、アトピ性皮膚炎、花粉症、気管支喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病などの免疫性疾患をはじめ、さまざまな病気を引き起こす。
 
*口呼吸は咽頭や口腔に病巣感染を引き起こし、免疫異常をもたらし、さまざまな免疫性疾患の発症の一因となる。別の何かが代償してくれません。
 
*全身の血液循環の良し悪しの鍵を握っているのは、毛細血管、最小静脈、最小動脈などの末梢血管の血行です。なかでも手足など末端の末梢血管の血流は、全身の血流の良し悪しに大きく影響し、決定づけている。【毛管運動は効果的】。
 
*日本人の90%は口呼吸の習慣。
 
*口呼吸は上記の症状以外に尋常性感染、うつ病、化学物質過敏症、ドライマウス、慢性副鼻腔炎、歯周病、いびき、睡眠時無呼吸症候群、などの病気の発症に関連。

臨床経験から言えることはこれらの病気の人の90%以上が口呼吸の習慣。口呼吸が関係する中心的な病気は、免疫性疾患やアレルギィーです。
 
*口呼吸は、口の中が乾燥するために、唾液による殺菌・消毒作用が不十分になり、悪玉菌が繁殖しやすくなる。咽頭、喉には舌扁桃、口蓋扁桃、咽頭扁桃などのリンパ組織が輪のように並んでいます。

リンパ組織は免疫組織です。口呼吸は始終病原体が侵入し、リンパ組織自体が悪玉菌のたまり場となり、充分に働けなくなる。免疫作用の低下。
 
ワイダエルのリンパ輪―リンパ集団の輪、これは細菌やウイルスが肺(気道)や胃腸(消化管)に侵入するのを防ぐ免疫の第一関門。リンパ組織の感染の代表的なものに、扁桃病巣感染。

この病巣を感染源として、関節や腎臓などのように離れた部位に、二次病巣として関節リウマチや腎臓病などを発症するのが病巣感染症です。
 
*口呼吸と病巣感染、口呼吸の習慣があると鼻や口から病原体が侵入しやすくなる。唾液が少なく乾燥しているので病原体が繁殖しやすい環境。

病原体を迎え撃つのが、顆粒球(殺菌の役割を持つ好中球など)という白血球の一種が増え、扁桃リンパ組織に集まってくる。
 
*この顆粒菌は病原菌だけでなく、常在菌とも反応する性質があり。常在菌とは病原性を示さない細菌。ビフィズス菌、乳酸菌、大腸菌、表皮ブドウ球菌。常在菌がいる粘膜に顆粒菌が急増すると激しい反応を起こす。化膿性の炎症が起きる、(急性肺炎、急性虫垂炎)。

口の中で起こりやすいのは、歯周炎や口内炎で扁桃炎も同様。顆粒菌の大集団は悪玉菌を処理する際に、武器として活性酸素を大量に発生させる。発生した活性酸素は、体内の酵素が処理するがあまりにも大量だと処理が追いつかず、すべての活性酸素を消し去ることは出来ない。

炎症部に出る膿は細菌との闘いを終えた顆粒菌の死骸。
 
*病巣感染はどうして起こるのか。よくわかっていませんが、炎症部位に発生する大量の活性酸素も大きな原因になっているのではないかと推察される。

過剰な活性酸素が、血液やリンパ球の流れに乗り、全身に運ばれて、いろいろな組織を傷つけ、病気を引き起こすもとになる恐れがある。
 
*問題になるのは、リンパ組織に感染が起こった場合です。病巣感染があると、慢性的に炎症が起こり、微小な炎症病巣であっても、からだに大きな影響を与え、さまざまな病気を発生することになる。喉のリンパ組織のどこに炎症が起きているか特定できません。

しかし、口呼吸を直すと、これらの病気の症状が改善してくることから、慢性微小炎症が関係していることは確かです。そしてこの炎症が取れると、病気は改善してきます。
 
*虫垂炎も口呼吸でなりやすい 日本人は14人に1人、罹患する割合は7%。関節リウマチの人の3割以上が盲腸の既往があります。

一般の人と比べると約5倍。この体質は生まれつきのものと生活習慣に分けられるが、後天的なものが大きいと思われる。
 
*共通する生活習慣は口呼吸の習慣で病巣感染と炎症が引き起こされる。関節リウマチ、中枢炎、アトピー性皮膚炎も原因の根っこは同じ。
 
哺乳類は鼻で呼吸するのが自然の摂理。

言葉を獲得したため食道と気道が交わるようになった。呼吸する際、鼻だけでなく口も空気の入り口として使うことが出来るようになった。
 
*鼻から吸った空気は、鼻腔の内側にある繊毛と粘膜により濾過され、ここで第一のブロック、鼻汁に混じって排出される。次に上咽頭という重要な器官で鼻腔を突破した異物は、ここでほとんど捕捉される。この上咽頭と咽頭のリンパ組織が気道への異物の侵入を防ぐバックアップ。

鼻呼吸していれば、喉を痛めたり、病原菌の侵入を許したりする恐れは小さくなる。

【既に述べているが、タバコの直接影響はあるかどうか置いておくとして、科学的な二次的影響は専門家でも疑問視している人たちがいるが、口呼吸していない限り、鼻呼吸であればタバコの煙の悪影響(あるならの話であるが)は問題外であろう。慢性閉そく性肺疾患(COPD)はタバコが原因ではないと判明。詳細はこのリンクで「マスクによる自死の時代 : ガンだけではなく、一酸化窒素不足によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)まで今後増えてしまうかもしれないことを科学誌ネイチャーに掲載された日本の研究で知る - In Deep」消毒剤や漂白剤がCOPDの直接的な原因。研究は看護師などの医療機関のスタッフに何故この種の病気が多いのかが契機になり調べた結果、彼らはタバコは吸わない。マスク着用で一酸化窒素が口呼吸では作れないのが原因、哺乳類は鼻呼吸でなければならない。

https://indeep.jp/insufficient-nasal-breathing-brought-by-the-face-mask-society/  ついでにこれも読んでいて損はないです。

私は自分でも友達と、小規模の社交ダンスパーティを細々と運営しているが、ミキシングの時の消毒剤は置きません。また、置いてあるパーティはなるべく避けるようにしています。何も知らないダンサーがシッカリ殺菌したと、善意でホールドするグリップは私の健康を実は脅かすかも知れないのです。またその会場の空気中には揮発した第4級アンモニウム塩などの成分が漂っています】。
 
*口呼吸すると、口から入った空気が口の中の水分を奪いながら、冷たいまま肺の中に入る。空気に湿気が少ないと、肺胞の粘膜の働きが悪くなり、鼻呼吸に比べて酸素の吸収量が減ってしまう。冷たく乾いた空気は咽頭や喉頭を通りますが、粘膜を痛めてしまう。

口の中が乾燥すると唾液による殺菌・消毒作用が不十分になり、悪玉菌が繁殖しやすくなる。唾液には消化酵素のほかに抗菌成分や免疫物質も含まれている。

免疫は低下、風邪をひきやすくなる、咽頭炎、へんとう炎にもかかりやすくなる。異物をブロックするはずのリンパ組織自体が悪玉菌のたまり場になる。
 
*口呼吸は精神的なストレスだけでなく体にストレスを与える。人間は口を閉じることによって、体の機能が正常に働くように出来ている。食物を噛む時も口を開けて噛むわけではありません。

口を閉じて噛むことによって体の機能が正常に働くように出来ています。口を閉じて噛むことにより、舌を十分に使い、それによってまた、唾液の分泌が促される。口を閉じることによって、また脳へスムーズに血液が送られる。
 
*口呼吸の習慣は、アレルギィーや自己免疫疾患をはじめ、じつにさまざまな多くの病気の発症や症状悪化の一因になります。

病気によって発症のメカニズムはそれぞれ異なりますが、一言に集約すれば、体にストレスがかかるからです。
 
当然ですが、口呼吸が習慣の人は、そのことに気づいていないので、その重要性を認識出来ません。体に何か不調があるときは、まず、口呼吸を疑ってみることです。

風邪をひきやすいのも、インフルエンザにかかりやすいのも、主な原因は口呼吸にあります。鼻で呼吸すれば、鼻がウイルスの侵入を防ぐし、口から感染するおそれはありません。
 
*口の中が乾くドライマウスの人が沢山います。口の乾き、つまり水分を欲するのは口の中が乾燥し、潤いが失われるからです。口に潤いをもたらすのは、水分ではなく唾液です。

水分を摂りすぎると、唾液が薄められ、口の中はますます乾燥してしまいます。
 
口呼吸の習慣を直す3つの方法 ①よる寝るときサージカルテープを口に縦に張る。②片方だけで噛むのでなく両方の顎を使い噛む。③ガムやグミを噛んで、咀嚼筋を鍛える。
 
鼻呼吸か口呼吸かは舌の位置が決める。 鼻呼吸が出来るか否かは舌の位置が鍵を握っている。正しく鼻呼吸している時は、舌の表面は、全体が「硬口蓋」にぴたりとついている。

舌の表面全体が硬口蓋にぴたりとついていると、口の中の空間は容積が最小になり、上下の歯の噛み合せもしっかりしています。

舌は、この状態で口の中の空間を狭めて、殺菌や消毒に必要な唾液が蒸発しないようにしているのです。口の中が潤いを保っていると免疫の作用もうまく働きます。口呼吸は唾液を蒸発させてしまいます。

 
*舌は舌筋という筋肉で出来ています。筋肉ですから弱くなることがあります。筋肉が弱くなると舌を閉じた際、舌は硬口蓋でなく、上の歯の裏側につくことになります。

つまり、舌の位置が段々と下に下がってくるのです。それはわずか1センチ程度のズレですが、しかしその違いが健康を保つか、それとも病気になるか、その分岐点になるのです。
 
*ただし、舌の表面全体が硬口蓋にぴたりとついている、完全に正常な人はめったにいません。ほとんどの人は(90%)舌先が歯の裏側についている。

ですから基準としては舌の一部分が硬口蓋についていれば良いと判断しています。
 
*いびきの原因も舌の位置の低下にある 舌が本来の位置に収まっていればいびきをかくことはありません。「あいうべ体操」をするといびきが消えたぐっすり眠れるようになったといいます。

鼻炎で鼻がつまりいびきをかくのは別。鼻炎を治すことが先決ですが、口呼吸の習慣がある場合は口呼吸も関係してきます。鼻で呼吸するようになると、鼻の通りがよくなり、鼻炎が改善し、いびきも治ります。

睡眠時無呼吸症候群も口呼吸の癖を直すと改善してきます。その他に歯ぎしりも口呼吸が原因として関係しています。口呼吸をしていると、睡眠深度が浅くなるため、歯と歯が接触して歯ぎしりが起こるのです。
 
*睡眠時無呼吸症候群は気道や鼻に病気がある、肥満の人に多い。もう一つに原因として就寝中の口呼吸です。仰向けに寝て、しかも口を開けて寝ると、舌や軟口蓋が沈下し、気道が塞がれるからです。血圧や血糖値も高くなりやすい。

なぜ、高血圧や高血糖になりやすいのかというと、睡眠が妨げられることから交感神経が興奮するためとか、酸素不足が挙げられています。背後に炎症があります。
 
*糖尿病については、歯周病があると糖尿病が悪化します。それが口呼吸の癖を直すと、歯周病が改善して来ますが、それに伴って糖尿病も良くなってきます。歯周病と糖尿病の関係には、唾液の分泌が介在しています。
 
*うつ病も口呼吸と深い関係 うつ病は心の病、心の風邪といわれますが、これもまず、体の使い方を誤るところが病気のスタートです。口呼吸と舌の位置と使い方の問題です。

うつ病の人は口を閉じた時の舌の位置が下がっています。また、姿勢が悪いのも特徴です。それが「あいうべ体操」を行って、口を閉じた時の舌の位置が上がって来て、鼻呼吸が習慣になると、鬱気分が解消して来ます。

そして視線も高くなり、姿勢も良くなります。このことから舌は情動にも大きく関係していると、私は思っています。過呼吸症候群の人は口は鼻と違い、空気を沢山出し入れできます。

だから過呼吸になります。鼻で呼吸するのが習慣の人に過呼吸症候群は見られません。
 
*口呼吸は歯並びを悪くする 口呼吸していると食べものを飲み込むとき、舌で前歯を押すように飲み込む癖がつきやすくなります。

このときに生じる力によって、歯並びが乱れいわゆる出っ歯になったり、上下の噛みあわせが合わなくなったりします。このことは多くの歯科医が指摘しており、明らかです。
 
*ため息は口呼吸と病気の始まり ため息をつくと運が逃げるとか、命を削るとかいいますが、ため息をつくだけで病気になります。ため息は、口呼吸が癖になるきっかけになるからです。

ため息を頻繁につくようになると、舌の位置が下がり、口が自然に開いたままになって、口呼吸の癖がついてしまう。舌がしっかり硬口蓋についていると、ため息はでません。なぜなら、口の中に隙間がないからです。

舌の位置が下がっていると、顎が開きやすくなり、がぜん、ため息が出やすくなります。ため息をつくことは慢性的なストレスが関係していると思われます。ではどうすればいいか。「ストレスと口呼吸は一体になっている」と考えるといいでしょう。

ため息をつくこと自体がストレスを増幅させます。悪循環に陥るのでそのマイナスの循環を断ち切るためには口呼吸をやめるのが一番の方策です。ため息をつきそうになったら、すかさずその息を鼻から出すのです。名づけて「鼻ため息です」
 
おしゃべりな人、いつも笑っている人、マスクをいつも装着している人は口呼吸になりやすい。【マスク着用の効能は風邪をひいている人が、他の人にうつさないためのマナーといわれていたが、今のマスクは性能が良くなったのか?うつされないように着けているのではないかと思われるくらいの多くの人が着けている。マスクをすると鼻の粘膜の機能が劣るのではないかと思う。冷温浴や裸療法の考え方と同じ】。【この本の抜粋はコロナ前です】。
 
*鼻が詰まっていれば、口で呼吸します。だから口呼吸が身につく場合があると考えるのは、理屈に合っています。ところが逆に、口呼吸の弊害で鼻づまりが起きている場合があります。

私はむしろ、鼻づまりの原因は口呼吸にあると解釈すべきと思います。口呼吸から鼻呼吸に変えたら、鼻炎の症状が解消する患者さんが多くいます。鼻炎は口呼吸が原因の場合もあるのです。鼻づまりや鼻汁と口呼吸はセットにして考えることが求められます。

なお、鼻の病気の中で、慢性鼻炎は、口呼吸をもたらす最大の要因です。きちんと治療して、鼻で呼吸が出来るようにすることが必要です。
 
*職業によっても口呼吸の傾向 保育園や幼稚園の保育士や先生のように、絶え間なく連続して、大きな声でものを言う場合、その傾向が強くなります。鼻と口の両方で呼吸することが身につき、癖になってしまうのです。

アナウンサーなどしゃべることが職業の場合、このリスクから免れません。特に早口でしゃべることが求められると、どうしても、鼻だけでなく、口でも呼吸することになってしまいます。
 
運動やスポーツも口呼吸の原因になる 運動をしていて呼吸が苦しくなると、鼻だけでなく、口を使って呼吸をします。持久力を必要とする運動はどれも、運動中、競技中は口呼吸になります。それによって、口呼吸が身につき、癖になるリスクをはらんでいます。

水泳は口呼吸を強制するのか、それとも口を閉じることが身につくのか、それはともかくとして、口を閉じれば喘息はよくなることは間違いありません。
 
その他、口呼吸のリスクがあるのは、太極拳、吹奏楽、プロの歌手、カラオケが趣味で毎日歌う人などは口を開ける機会や口から息を吐く機会が多いため、口呼吸になるリスクがあります。
 
*動物は(哺乳類)ふつう、うつぶせに寝ます。人間も哺乳類の一員だから、本来はうつぶせに寝るのが正しい、との意見の人もいます。この場合、本来の意味が曲者です。

人間が他の動物と同じように四足歩行のままであれば、うつぶせ寝が自然にかなった寝方でしょう。しかし、進化の過程で、体の構造も変わって来ました。他の動物と決定的に違うのは、直立二足歩行するようになったことです。そして、首のつき方も変わりました。

動物の首がうつぶせで寝るのに適しているのに対して、人間の首は仰向けに寝るのがふさわしいつくりになっているのです。口呼吸していると舌筋が衰えているため、仰向けに寝ると舌が沈下して気道がふさがれてしまいます。その結果、いびきをかいたり、睡眠時無呼吸症候群になったりするのです。
 

②に続く

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