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社交ダンスは下半身だけで踊らない

ダンスは下半身だけで踊らない。上半身も使い、身体全体で踊る。
 
 
ダンスは足でだけで踊ると思っている人は初心者。ベーシック・フィガーの足型を覚えた人は、更にヴァリエーションに行く前に、上体の表現を学び、それが下肢と上体が一体となった踊りをする。

ヴァリエーション無しでも、これだけで十分に通じます。あとはひとつひとつ難しいステップを足していけばいいのです。
 
孫と一緒に公園でキャッチ・ボールをしていた頃を思い出します。これと全く同じことをすればいいのです。まず、ボールを上手に捕れないのでゆるいボールを投げますね。必ず身体の正面に投げてあげます。この段階がダンスでは初心者相手の踊りです。勿論、コンタクトは右対右で組んでいます。
 
20年前以上に社交ダンスを習った殆んどの人は、足型が出来たらここから先がなくもう「ダンス卒業」で踊っているのです。色々な人が色々なダンスのスタイルや目標を持って踊っていることは認めます。今ここでは話題にしているのは、ある意味では「理想的な」踊りです。或いは上級者の踊りです。
 
身体にトーンをつくり、それを維持するのは基本的には変っていません。しかし、その上に「ホールドを固めて踊る」「鉄壁のホールド」で踊るなんてないのです。じゃあ無いなら身体を緩めていいのかと言うとそれは違います。ホールドを固めると言うと、勘違いが多いのは硬直させてしまう。踊っている間に硬直する女性は多いのですが、緩めてと言いますと緩めるので自分の状態をコントロールは出来るのです。でも自然と硬直している理由が分からないのでしょう。
 
表現は難しいのですが、多分、ホールドの形を作ったら、周辺の筋肉の力を抜くという動作がないのではないか、と思います。そして骨格だけでホールドを維持すること。ずっと筋肉を固めたり硬直させたりするスポーツはない、ということは覚えていて欲しいと思います。

例えば、私は30年ぐらいテニスをしていましたが、グリップの握り方はコンチネンタルとかアメリカンとかボールの飛ばし方によって握りを変えるのですが、それを教わったからといっても手とグリップの握りは凄くソフトでなければなりません。

サービスの時はスナップを利かせるためにグラグラの手首に軽く小指から薬指中指をひっかけているだけ。親指とか人差し指はあまり使わない。ソフトなのです。インパクトの瞬間にギュッと握るのです。

緊張弛緩が筋肉にないと酸素も栄養も行き届きませんので効率的な動きなどできません。
 
上手な人のコンタクトもソフトです。ホールドも僅かに服が触れているくらい。ダンスは二人でするので自分の動きが相手に影響します。だからコンタクトした時にどのくらいの技量か分かると言われます。

兎に角、「鉄壁のホールド」など無いのです。作ってはいけないのです。昔はそれで教えていたので先ほど20年以上前にダンスを始めた人はそのように習っていたのでしょう。どんなスポーツでも筋肉を緊張させ維持し続けて行うスポーツはありません。
 
ですから、ホールドをソフトにつくり、それを骨格だけにして形を維持する。つまり、万歳した形で両腕を上げ、そのまま下ろし、両肩は肩甲骨に乗っている形にしたら背中側の筋肉で支えるようなイメージを持ちます。その後が重要です。このホールドは上半身のダンスの動きと同じように動かすのです。
 
下肢だけでダンスをしないと書きましたが、身体全体を使うのです。先ほどのキャッチボールに戻ると、子供も成長してくるとキャッチボールが成立してきます。

投げるボールも私の近くに投げることが出来るようになります。今までは明後日の方角に投げていたので、何回も私が取りに行くのが大変です。最後の方はお前が取りに行け、となりましたが、徐々に上手になって来ます。
 
そこで少し間隔を空けて投げる練習になります。この場合、今までのキャッチボールでは身体は正面を向いたまま投げてます。もしかしたら下からボールを投げてます。

遠くに投げるには、或いは速く投げるには、上半身を使わなければならないと覚えさせます。私がやっていればそのように子供も真似をします。ですから正対した手投げから上半身を使って、下肢も使って、ステップした投げ方になります。殆んどの社交ダンサーは、ここが欠けているのです。
 
上半身の使い方は横向きにしますね。この「横向き」の動きがないのです。ダンスは「正対」で止まってしまっている人が多いのです。振りかぶって遠投の形を作らなければいけないのです。これが上達者とそうでない人の踊りの一番目立つところです。

こんなことそれなりのスポーツを若い時からやってきた人は自然に覚えます。運動原理は同じなのですから。テニスのサービスでも最初はお題目を打つように正面を向いてしまいますが、上達するにつれ横向きになります。
 
ダンスは身体が先に動くと言います。これは色々な意味がありますが、ここではステップを踏む前に上半身の動きが必ずあるということ。いきなりステップ、じゃないのです。

左右の方が、下方に動いたり、上方に動いたりの動きと言ったら良いのでしょうか。そして筋肉は緊張弛緩しているのです。これがピッチャーが投げる前の動きと同じなのです。ほとんどの日本人は野球というかソフトボールなどの経験があるのでその動きを想像してください。
 
ダンスの動きは大きく、スピーディに滑らかに踊ると上達者に近くなる。この動きは三つとも一緒にくっついて連携していると思うのですが、この動きを作るには上半身の動きを作ること。その動きはステップの前につくること、と今話しています。

投げる前にこの上半身の動き。ステップする前にこの上半身の動き、がある。簡潔に言えば、横向きの動き、ダンス風に言えばCBMを強く出すかどうか。
 
今の競技選手の動きは昔の競技選手の動きより、ダンススポーツになってから、顕著な上半身の動きになっています。

社交ダンサーが、それもおじいさん、おばあさんがこんな動きを使いなさいと言っても無理かもしれませんが、自分の出来る範囲で、控えめでも良いから使えば、少しは違ったダンスになるのではないかと思います。

動画なら1990年代のチャンピオンのヒルトンやシンキンソン、ウッドからミルコ・ゴッゾーリ、ウィリアム・ピノからアル—ナスなどの時代変化で踊り方がスポーツ的になって来ています。飛行機が旋回する時の翼の動かし方のような動きが顕著です。
 
これを私たちは、まともには肉体的に出来ないので、少しは控えめに真似事でもいいから、今の踊りのコンセプトを理解して踊れば、控えめですから少なくとも社交ダンスが芸術的な雰囲気を持ってた踊りの1990年代の踊りに近くなる?のではないかと思っています。
 
ホールドは絶対に固定しない。左右の肩甲骨を動かし身体全体で踊ろう。上半身が動けば下半身は条件反射的に動きます。
 
以上です。
 

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