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最近買った本:「素晴らしき別世界 地球と生命の5億年」
最近買った本のご紹介。
「素晴らしき別世界 地球と生命の5億年」トーマス・ハリデイ 水谷淳・訳
ここでいう別世界とは遥か過去の世界という意味ですね。
何千万・何億年の昔の世界は気候も大陸配置も生物相も今とはまるで違う別世界。
舞台としては同じ地球であり、今の世界とは確かに連続性があるのですが、人間の感覚からすると永遠にも思える膨大な時間に断絶されており、決して訪れることはできない、全くの別世界。同じ地球なんだけどみんなが知っている地球とは別の地球。
そんな過去の世界の情景を、まるで行ってきたかのように描写してくれるのがこの本です。
小説のように描きだされる当時の風景や環境、生物の仕草などを思い浮かべながら、著者と一緒に旅をしましょう。
本書の大きな特徴として、生命史の本には珍しいことに現代からだんだん過去に遡っていく構成となっています。
新生代から始まり、白亜紀・ジュラ紀・三畳紀…と遡り、そのままカンブリア紀を通り越し、エディアカラ紀にまで辿り着くといった具合。
(大抵の生命史は生命の誕生から始まり、だんだん進化をしながら現代に辿り着く構成)
本書はなぜ逆の構成なのかというと、「旅は常に今いる地点から出発するもの」だから。
イメージのしやすい「最近」の世界から出発し、時空の彼方を突き進み、徐々に深まっていく異世界感。
おなじみの恐竜の世界を通り過ぎ、古生代に入る頃にはなんという遠い所へ来てしまったのかと、冒険の郷愁に駆られることでしょう。
一方で私のような古生代ファンにとっては哺乳類の時代からのスタートはかなり周り道に感じるかもしれません。
怪虫アースロプレウラや魅惑のアノマロカリスに会うには長い道のりが必要です。
(なお好きなところから読み進めても全く問題ありません。)
また、全年代を扱っているのでどうしても個々の時代のマニアックな掘り下げは少なめです。読み物としても面白いですが、興味を持った時代をさらに掘り下げて調べる、とっかかりのカタログ的な書としてもオススメです。