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嬬恋村の野菜

 昨年の夏に引続き、旧い友人のA君から嬬恋村の有機野菜が送られて来た。段ボールを開けると、キャベツ2玉、トウモロコシ5本、トマト5個、ミニトマト一袋が入っている。いずれも一つ一つが大きく、とても二人では食べきれない。キャベツ一つとトウモロコシ2本、その他を少々抜いて、そのまま長男宅に送った。転送した。
 
 送り主のA君は高校の同級生、大学は私が理系、彼が文系で別の大学だった。私はまあまあ真面目に勉強したが、彼は真面目とは言い難く、女性関係が派手で次から次へと忙しかった(らしい)。時々パーティーをするので出席してくれと連絡があった。会費で稼いでいたらしく、自民党より進んでいた。
 
 学校を卒業すると、私は地道に鉄鋼会社に就職し、彼もそれなりの会社に就職したが、数年で退職して、父上殿の建具会社に入社した。予定通りだったらしい。私生活では相変わらず、女性関係が激しく、いつもそれなりの誰かと深く(?)付き合っていた。私とダブルデートをしたこともある。私が25歳で結婚すると、彼も追いかけるように翌年26歳で結婚した。かれの妹殿に言わせると、たまたまその時に付き合っていた人と結婚しただけ・・・と言っていた。
 
 彼とはその後もつかず離れず、気長に付き合っている。私が61歳で新潟から東京に戻った時からは、他の高校同期2,3人と一緒にゴルフをすることが多かった。彼は名門小金井ゴルフ倶楽部の会員、流石に代々の経営者だ。その頃、彼の父上殿が亡くなられ、相続税の支払いが大変だったが、数年かけて何とか払ったとのこと。リーマンショックなどで会社経営には苦労したようだが、なんとか無事に乗り越えたらしい。
 
 私が7年間勤務した姫路の会社を退任して東京に戻ったころ、彼も会社の代表を長男に譲り、暇になったらしい。昨年は彼と奥様が人形町に来て、芳味亭で一緒にランチをするなど、相変わらず付かず離れずの付き合いを続けている。
 
 送られて来た野菜は成程、美味しかった。大玉のキャベツは一枚一枚がしっかりと歯ごたえがあるし、トマトは真っ赤に熟しているが適度な硬さを残し、みずみずしい。彼は、東京は暑いので8月いっぱいくらい嬬恋村にいると言う。我々にも来ないかと誘われたが、嬬恋村には地下鉄がないから行かないのだ。

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