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京都の料理旅館

 先日終活の真似事で、過去の書類を整理していたら、
京都の旅館の領収書が出てきた。
平成5年5月5日と書かれているから、1993年46歳の時だ。
二人で行った初の京都旅行だったので
記念品つもりで保管していた。(らしい)
妻殿が京都の紹介本を見てここ泊まりたいとのことで、
高台寺に近い料理旅館を予約して2泊した。
 
 初日、三十三間堂、清水寺から東山を歩いて、旅館に到着。
玄関に入ると、ひっそりとして何気にいわくありげだ。
2階の広々とした和室の続き部屋に案内され、他に客はいない。
普通の家庭より、やや大きめと行った程度の風呂に交代で入り、
浴衣でくつろいでいると、部屋に食事を運んでくる。

 名の知れた老舗の料理旅館だし、料金も料金だから、
どんなものかと期待していたが、
残念ながら我々の舌には合わなかった。
全体に、手が込みすぎ、味がぼけている・・・ように思う。
最後の果物までもが、熟しすぎて柔らかめだ。

 食事が終わると、ごゆっくりお過ごしくださいと、
係の人が階下に降り、広い2階には我々だけが残される。
泣いても、わめいても、ご自由に、との・・・ようだ。
勿論、当ペアはそんなことはせず、大人しく布団に入り、
良い子の早寝・・・だ。
一見さんお断りの看板に釣られたのだが、
目的を間違えたのかもしれない。

 ただ、5月の京都は素晴らしく、知恩院北門、
石造の疎水路、新緑に囲まれる銀閣寺、日差しに輝く竹林、
などなど、3日間貪欲に歩きっぱなしで足が痛くなった。
 
 その20数年後、姫路に転居し、頻繁に京都を訪れることになった。
その際は、片泊まりの宿に一泊し東山を散策するのが定番。
片泊まりの宿は、夕食がつかず、朝は女将特性の朝食、
これに女将の無駄話が加わる。高くはない。
冒頭の料理旅館も今は片泊まりの宿になっているとのこと。
諸々を考えると、さもありなん・・・なのだ。

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