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「君主論」7.側近が有能で誠実であれば

マキャヴェリ「君主論」と自分の思うところ、その7です。
 
(7)側近が有能で誠実であれば、その君主は聡明だと評価して間違いない。・・・・ひるがえって、側近が有能でなければ、どうあってもその君主によい評価を与えるわけにはいかない。彼がこの人選で、最初の間違いをしたからである。
 ・・・・およそ人間の頭には三つの種類がある。第一は、自分が独力で考えをめぐらせるもの、第二は他人に考えさせて、よしあしを判断するもの、第三に、自分の考えも働かず、他人にも考えさせないもの。すなわち、第一の頭脳がもっともすぐれ、第二の頭脳がややすぐれ、第三の頭脳は役たたない。
 
 
 会社の実体はこれほど単純ではなく、一口で有能と言っても程度は千差万別、社長が考えた結果の合否、成否も様々だ。いずれにしても、ある程度の会社になれば、全てを一人で決めるのは難しいし、時に間違いもあるから、側近の人事は極めて重要、信頼できるNO2が必須なのだ。
 
 NO2の主たる要件は、1.私利私欲がなく人として信頼できること、2.社長の意図をよく理解していること、3.社内の雰囲気、意見を把握して社長に進言できること、4.社長に言いにくい意見の受け皿になることなど際限なく、最初からそんな人はいない。だから、その立場になればそうなるだろうと見込んで選ぶのだが、なかなか難しい。
 
 私自身は50歳から2年間、大製鉄所、所長のNO2の立場だったが、合格だったかどうかはよくわからない。目立ちすぎて煙たく思われたかもしれない。
 
 53歳から新潟で8年、東京で6年、14年間の社長時代、NO2には非常に恵まれた。技術系の私を補うように、営業系、管理系で、私にないものを目立たないように補ってくれた。逆の立場だったら、自分はあれほど上手くは出来ない、失格だっただろう。
 
 67歳からの7年間、姫路の会社に勤務したが、自分の立場、ありようが難しかった。トップは2代目社長で、私は経営のプロとしてスカウトされたNO2だったが、実際には経営全般を取り仕切る実質的なトップでもあった。結局、トップとNO2を兼務し、実務も経営も幅広くこなす、スーパーマンみたいに頑張らねばならず、いささか疲れた。

 しかし、おかげで休日には京都、神戸、瀬戸内海等、各地に出かけて74歳まで関西生活を堪能することが出来たので、結果オーライだったことにしている。 

失意の官僚マキャヴェリは政治思想家に転身?

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