見出し画像

【歌詞考察】『俺はインパクト!』

免責事項
本稿の内容は素人の考えであり専門性はありません。

1. 概要

子供の頃やっていたゲーム。


▲『がんばれゴエモン〜ネオ桃山幕府のおどり〜』コナミ, NINTENDO 64

その中の、あるシーンに挿入されていた曲。
久しぶりに聴いたら良い曲だった。
歌詞に分かりやすく「エンジン」でなく、あえて「ダイナモ」を選んだところに感動した。
皆様も聴いてみてください。という布教。

2. 歌詞を考察していく

2-1. 曲の情報

曲名『俺はインパクト!』
作詞・作曲:ゴエモン制作委員会
歌:水木一郎
テレビゲーム『がんばれゴエモン ネオ桃山幕府のおどり』の挿入歌

2-2. 物語での流れ

この曲は、インパクトという巨大ロボットの話だ。

ゲームの物語では、ゴエモンという男がとある事件を解決するために日本各地を冒険している。
その道中で、強大な敵に立ち向かわなければならないときがある。そのためにゴエモンはインパクトを呼び出して搭乗する。

▲ゴエモン

事件解決のためにお城に聞き込みに行ったらお城が粉々に破壊されていた。
ゴエモンは懐から取り出したホラ貝を吹いた。すると……

▲緑色の光の帯が差してきた

ここから挿入歌『俺はインパクト!』が流れ始める。
これが、これから歌詞考察していく曲だ。
ここでは歌詞を考察していくだけなので、興味がある方は検索して聴いてみてほしい。

▲ゴエモンが謎のデカい奴の口に吸い込まれていく
▲「インパクト」という巨大ロボットだった

ババーン! めでたい! という感じが全面に押し出されているのが味わい深い。

▲インパクトの右目に搭乗したゴエモン

インパクトの顔を見て欲しい。

▲インパクトのお顔

とにかくインパクトがある。
何というか、貼り付けたような笑顔だ。
実際、作中ではインパクトの表情が変わることはない。
このロボットには表情機能がないようだ。
でも首は360°回転する(?)

2-3. 歌詞の考察

歌詞・1番

ここからは歌詞を順番に考察していく。
枠内は引用した歌詞だ。

歌詞
(ダダッ!ダーッシュ!)
燃える太陽 背に受けて 行くぞ発進

解説

太陽に背を向けて勢い良く発進しているようだ。
◆夜の方向へ向かっている
◆太陽を背負っているのかもしれない

太陽とは?

地球上の全ての活動の源だ。
そのことから太陽崇拝が生じた。
太陽は正義や善のような絶対的なものを象徴するようになった。神と言ってもいいかもしれない。

夜とは?

太陽に照らされていない領域のことだ。
前述の太陽の意味を踏まえると、”太陽に照らされていない領域”というのは、「正義や善が不在の闇の領域」という意味を持っていると考えられる。敵と言っても良いかもしれない。

インパクトの「発進」とはどのような行動か?

発進というのは、戦いへ赴くということだ。
この行動は、太陽という大きな存在に自分も融合しようという方向とは逆方向の行動か。いや、これも広い意味では融合かもしれない。
違いは、”恩恵を受ける側”でなく”恩恵を与える側”ということか。

「太陽の光を背負って夜を照らしに行く」という行動は、「正義を背負って悪を滅ぼしに行く」という意味を持っていると考えられる。

「発進」は誰の意志なのか?

「行くぞ」という歌詞から意思を感じる。
これはインパクトというロボットの意志なのか、パイロットのゴエモンの意志なのか。シンクロしているのか。
少なくともゴエモンの意志ではある。なぜなら、彼の冒険の目的が悪の撲滅だからだ。

問題は、ロボットの意志でもあるのか? ということだ。
だとしたら、”機械を擬人化している”ことになる。

歌詞
マシンが唸る
俺は機械だ鉄人だ (ヘイッ!)
いま 解き放てよ 鋼の魂

インパクトは生命体として描かれている

インパクトはロボットであり機械だ。
「マシンが唸る」のも「機械の鉄人」というのも単に”機械の話”として解釈してしまえる。

しかし、「鋼の魂」という歌詞は”機械の話”では解釈し切れないと思う。
なぜなら、「魂」と言われれば”生命的な話”だと考えるのが素直だからだ。「唸る」という表現も生命的なニュアンスを持っており、インパクトが生命的なものであることを補強しているように思われる。

よって、”機械を擬人化している説”がほぼ確定した。インパクトというロボットは擬人化されて、意志を持った生命体として扱われている。

※脱線:擬人化は日本に独特の文化だと聞いたことがある。八百万の神様みたいな思想が基盤だとか何とか。本当だろうか。

「鋼の魂を解き放て」とは?

後半の「鋼の魂」を「解き放て」というのはどういう意味か?
これは、これからする行動(=発進の理由)は”単なる機械動作”を超えて、”魂による活動”ということかもしれない。

フワッとした概念をどのように定義するか?

要注意なのは、「魂」はフワッとしていて定義困難な概念ということだ。同様に、前述の「正義」(=太陽)も定義困難な概念だ。

これらのフワッとした概念がどのような形を持つのか?
この後の歌詞に期待だ。

歌詞
(行くぜー!)
BREAKDOWN!
悪いやつらをぶち壊せ
必殺必殺限界パワーだ
百裂パンチ

解説

「BREAKDOWN」というのは「壊す」という意味だ。

壊す対象は「悪いやつら」ということらしい。
壊す手段は「必殺必殺限界パワー」によって繰り出される「百裂パンチ」という技だ。

ちょっとダサいのが良いところだと思う。

正義とは?

前述したように「太陽の光を背負って夜を照らしに行く」という行動から”正義”という概念が垣間見えた。
「悪いやつらをぶち壊せ」というのが正義なのかもしれない。この曲のこの段階においては。

歌詞
俺はGORGEOUS
ああ インパクト

解説

「GORGEOUS」はゴージャスだ。「きらびやかで素晴らしい」といった意味だ。「サイコーだ!」って感じなんだろうか。

自己陶酔っぽさ

「ああ インパクト」という歌詞から自分の世界に浸っているような印象を受ける。
「ああ、俺ってサイコーだぜ!」
どうしてそう思ったのだろうか。

仮説:「俺」=「サイコー」な理由

次のような感じではないだろうか。

「俺」
=「機械の鉄人」&「魂」
=「限界パワー」
=「百裂パンチ」という技
=「悪いやつらをぶち壊す」
=生きる意味
=「サイコーだぜ!」

生きる意味という麻酔

生きる意味という言葉が出てきた。私としては自然と出てきたという感じだ。

では、生きる意味というのはどのようなものなのか?
私見では、”生きる意味”というのは”物語への没入”だと思っている。
物語は物質的な存在というより認識的な存在だ。人間が人間のために創り出した概念だ。例えば、神とか宗教とか、「私は綺麗好きだ」といった自負とか。これらは物語という形式だと思っている。物語というのは虚構であって、本質的には”嘘”と同質のものだ。
物語への陶酔によって、人間は推進力を得ることができる。
「嘘も必要だよね~」みたいな話だ。

「俺」は誰か?

インパクトというロボットなのか?
操縦者のゴエモンなのか?
両方かもしれない。

歌詞
(ダダッ!ダーッシュ!)

走っている。あるいは走るために自らを鼓舞している。
曲はここから間奏に入る。

歌詞・2番

歌詞
(ダダッ!ダーッシュ!)

走っている。
間奏の間、ずっと走っていたのか?
それとも、走り出すことができたところなのか?

歌詞
青い海原 駆け抜けて
走れ、全開、

また走っている。

海とは?

海は大地とともに地球に含まれている。
「母なる大地」と言ったりするように、地球は母性の象徴だったりする。
太陽が父性の象徴で、地球が母性の象徴といった構造が見え隠れしているような気がする。

歌詞
巨体が叫ぶ
俺のハートはダイナモだ (ヘイッ!)

重要な違和感

「俺のハートはダイナモだ」とあるが、「俺の心臓はエンジンだ」の方が素直ではないだろうか。子供にも分かりやすい。子供はゲームのメイン層だ。
どうして分かりにくい言葉が採用されているのか。作者のミスだろうか。
思うに、ミスではなくわざとだ。私はこの表現「俺のハートはダイナモだ」に重要な何かが、作者の意図のようなものが表れているように感じた。

ダイナモとは?

機械部品だ。最近ではオルタネータと呼ばれることが多い。

例えば、ロボットとして車を考える。
車を動かすのはエンジンだ。
では、エンジンを動かすのは誰なのか。
それはバッテリ(=電池)だ。
では、バッテリを充電するのは誰なのか。
それがダイナモだ。
ダイナモはどのようにバッテリを充電するのか。充電のための電気はどこから生み出すのか。
それはエンジンからだ。

循環構造

ダイナモは、”エンジンを動かすための部品”であると同時に、”エンジンによって動かされる部品”でもあるということだ。
ダイナモがエンジンを動かし、エンジンがダイナモを動かす。ダイナモとエンジンの因果関係は、このような相互循環構造になっている。

「ハート」とは何か? が提案されている

ロボットと人間に対応関係がある。
インパクトとゴエモンの対応関係と言い換えてもいい。

「ハートっていうのは、ロボットにおけるダイナモみたいなもんだよ」という主張が含まれていると考えることができる。
対応関係から、「ダイナモ」が分かれば「ハート」も分かるという構造だ。

対応関係
ロボット         ~ 人間
機械の身体     ~ 身体
車輪                ~ 脚
モータ            ~ 筋肉
エンジン        ~ 心臓
油圧回路        ~ 血管
コンピュータ ~ 脳
電気回路        ~ 神経
電気               ~ 電気
バッテリ        ~ 元気の源
ダイナモ        ~ ハート
鋼の魂            ~ 魂

前述の「ダイナモ」の性質を人間の側に輸入することで「ハート」の性質を得ることができる。

ダイナモの性質
エンジンを動かすための部品”であると同時に、
エンジンによって動かされる部品”でもある。

ハートの性質
心臓を動かすための何か”であると同時に、
心臓によって動かされる何か”でもある。

これは、この歌詞が「ハート」についての提案をしていると考えることもできる。
この曲は、「ハートとは何か?」という質問に答えようと試みている。「ハート」の性質が言及されている。

「ハート」とは何か?

「ハート」の性質は分かったとしよう。
しかし、依然として「ハート」という言葉は漠然としている。
「ハート」という言葉によってこの曲が指し示そうとしている対象は何なのか?
心? 魂? 意志? 心臓は違いそうだ。
「魂」という言葉は既にこの曲に登場している。
「魂」と「ハート」が同じものを言い換えただけなのか、それとも別の概念なのか。
これは、今のところハッキリさせることはできないが興味深い印象だ。

歌詞
今 輝かせろ クールな瞳

瞳とは?

心において重要な対象だ。まなざし。
まなざしを向けられること、向けること。
私たちが意味を構築するために必要なイメージだ。

歌詞
(行くぜー!)
BREAKUP!
群がる敵を打ち砕け
必殺必殺最強パワーだ
ボヨヨンキック!

解説

「BREAKUP」というのは「ばらばらにする」という意味だ。

ばらばらにする対象は「群がる敵」ということらしい。
ばらばらにする手段は「必殺必殺最強パワー」によって繰り出される「ボヨヨンキック」という技だ。

1番の「百裂パンチ」に比べて、ダサさがパワーアップしている気がする。良いと思う。

歌詞
俺はCHARMING
ああ インパクト

技のダサさもチャーミングという感じがする。

(ダダッ!ダーッシュ!)

隙あらば走る。というかずっと走っているのかもしれない。
気持ちが走っているという感じかも。

3. 感想

子供向け作品を作るのに大人が手を抜かない感じ。
とてもいいと思いました。

お読みいただき、ありがとうございました!

歌詞・3番:まだ書いてません

ここからはまだ書いてません。
気が向いたら追記します。

歌詞
愛と勇気の名にかけて
なぜに戦う力の限り
俺の体は超合金 (ヘイッ!)

今 立ち上がれよ 大地を蹴って

歌詞
(行くぜー!)
BREAKUP
熱い血潮を呼び覚ませ
必殺必殺爆発パワーだ

鼻から小判
俺はFUNKY
ああ インパクト

(ダダッ!ダーッシュ!)

ここで歌詞は終了となる。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!