介護離職を決心してから離職するまで
今回は、介護離職をする時に感じたことをまとめました。私は、過去に介護休業経験があります。介護休業制度は、基本的には2親等までに適用されず、今回の私の介護では、適用外でした。私の経験が皆様のお役に立てば幸いです。
介護離職を検討されている方へ
介護離職を他責に捉える人は、今より不幸になると思います。
介護離職を自責に捉える人は、今より幸せを感じる時間が増えると思います。
私が介護離職をしようと決意し、実際に介護離職をしてみて感じたことは、下記の通りです。
介護と仕事の両立が辛くなってくる
だましだまし介護と仕事を両立していた頃、私は、週に1~2回は出張をこなす業務に従事していました。介護でさまざまなトラブル対応をしている中、後ろ髪を引かれる思いで出張に行くことは、私には辛い日々でした。
「この出張は本当に行かなくてはいけないのだろうか」
「社内会議のためだけであれば、オンライン会議でよかったはずなのに」
と負の感情が芽生えるようになります。認知症が進行する家族との時間は有限なのに、どうして、自分は出張先にいるのだろう・・・、時間の使い方を間違えている気持ちが日に日に強くなりました。
介護休業、休職を検討する
私は、以前、介護休業を経験したことがあります。
介護休業の制度では、上限の93日間の休業が認められていて、私は運よくその期間で復職することができました。
育児休業でも傷病休暇でも、休職・休業を経験された方なら理解して頂けると思いますが、休職・休業を選択する場合、必ずキャリアがストップします。そして、それは、お休みしている期間分のキャリアがストップするわけではありません。年度単位でいうと、賞与に影響は出ますし、複数年単位でいうと、昇進・昇格にも影響が出ます。
中途半端な休職・休業をする気持ちになれなかった
所属部門に相談すれば、管理部門への配置換えなどして頂けたと思います。
人事に相談すれば、退職をせずとも、介護休業の特別措置、または休職をさせて頂けたと思います。
ですが、一時的な救済措置をして頂けたとしても、復職した際、その恩を返すことが難しいかもしれない、と感じました。
私には、まだ今後、介護しないといけない家族が最低2名いますし、これから増えるかもしれません。
新卒からお世話になって20年弱。今後もお世話になるのであれば、中途半端な働き方をするために、職場復帰するのは、申し訳ないと思いました。
また、そのように考えなくて済む働き方もあるのでは?と考えました。
退職金を頂けるのであれば、当面の生活には困りません。
まずは、家族の介護に専念し、それが落ち着き始めたら、
これからの自分のワークライフバランスを見つめ直したいと思うようになりました。
そして、会社を辞めることを決めた途端、すごく気持ちが楽になりました。
改めて、キャパオーバーだったのだと実感しました。
退職準備=やるべきことが山積み、かなりの時間を有しました
退職の仕方にもよるかと思いますが、けっこう時間を取られました。書類・手続き関係(退職後の役所への手続き含む)はもちろんですが、退職のご案内、ご挨拶時の御礼の品を購入したり、お手紙を書いたりなど、時間をかけて、退職に向けた準備をしました。退職日の前日は、明け方まで、準備に時間を有しました。
「プロパーで長い間勤めたのだから、最近よくあるような、メールだけの挨拶で済ますことなく、最終出社日を周りに知らせて、綺麗に辞めるように」
と上長よりアドバイスを頂きましたので、自分の考え得る限りの綺麗な辞め方を心がけました。
退職理由をどこまで伝えるべきか
私が勤めていた会社は、人間関係をとても大切にする社風であったことから、退職することを早めに多くの方にお伝えすると、有給休暇取得期間(約1~2カ月)がすべて送別会で埋まってしまう人がいるほど。
そして、かなり噂が回るスピードが速いです。
「慎重に伝える内容と時期を考えなくては」と考えるようになりました。
必要最低限の方、15名弱に介護離職する旨を報告し、その方々には、しかるべき時が来たら、多くの方に退職のご案内をしますので、それまでは口外しないでほしいとお願いをしました。
それでも、翌週には、OBの先輩から
「辞めるんだって?次はどこ?」という連絡が来ました。
退職理由は「一身上の都合により」が一般的かと思います。
私も最初は「一身上の都合により退職する」と伝え始めました。
すると、思いのほか、やり取りに時間がかかりました。
「どこに転職するの?」・・・しません
「ご飯食べに行こうよ」・・・そんな時間があれば辞めません
質問に答えること、お誘いをお断りするのが、大変でした。
ですので、社内の方にも社外の方にも「家族の介護と相続に専念するために退職する」旨、お伝えしました。
結論としては、その方がその後のやり取りがスムーズで良かったです。
介護離職を伝えた時の周囲の反応
温かいお言葉とそうでないお言葉、さまざまなお言葉を頂きました。
こういう時に、人間性が出るんだな、と非常に良い勉強ができたと感じています。一部抜粋して、お伝えします。
温かいお言葉、そうでないお言葉
温かいお言葉
「家族か仕事かで、家族を選択したあなたは、人として正しい、尊敬する」
「相談してほしかった、辞めないでほしかった」
「どうか自分の幸せも考えてほしい」
「落ち着いたら、会社に戻ってきてほしい」
「落ち着いたら、どういう形であれ、また一緒に仕事がしたい」
「なにか困ったことがあったら、いつでも連絡してきなさい」
「一緒に仕事がしたいので、早く個人事業主になってくれ」
そうでないお言葉
「介護は子育てと違って何も残らないよ」
「介護なんかで辞めるの、もったいない」
「本当はどこかいいところに転職が決まっているんじゃないの?」
「相続で10億円くらいもらえるの?そうでなかったら、割に合わないよ」
「退職挨拶、色々な役員のところにばかり行って、俺のこと忘れてただろ」
「役員が手紙もらって喜んでたよ、字がうまいって言ってたけど、前にも手紙書いたの?」
介護離職のメリットとデメリット
介護離職のメリット
・頭の中の容量が増える
「仕事」「会社」をスポッと消すことができる
・介護や相続に向き合う時間が増える
退職後、数カ月間は、スケジュールがパンパンでした
・自身の人生を見つめ直す時間ができる
自分が死ぬことを意識しながら人生設計を本気で考えるようになった
介護離職のデメリット
・退職のご挨拶には、それなりに時間とお金がかかる
辞め方次第だと思いますが、綺麗に辞めるためにはウェイトが高い
・退職してやるべきタスクがある
保険や税金関連の手続きは時間と頭を使う
・失業保険では生活ができない、一気に貯金がなくなる
社会保険料、国民年金、住民税が非常に大きな負担
・社会復帰できるか不安になる
最後に
介護でお悩みのことがあれば、お気軽に連絡ください。
最後は自己責任にはなりますが、この記事を読んでくださった方がより良い決断ができることをお祈りいたします。