Maker Faire Tokyo 2022 に出展
Meridian計画。
"締め切りは進捗の母"という界隈では有名な諺があります。
特にこれといった期限の定まっていない自主プロジェクトは、締め切りがないため基本的に進捗しません。逆にあえて発表の機会を設けることで、強制的に進捗的なものを生み出すことが可能です。
ということで、9月3日、4日のMaker Faire Tokyo 2022 に出展させていただきました。過去のMFTには子供連れで観覧したことはありましたが、出展は初めてです。
きっかけはVRホビーロボット集会です。
VRホビーロボット集会はVRChat上でロボットの情報交換会を行ったり、NISOCON-VRというVR上でのロボットバトルイベントを主催している団体です。何かVRらしい出し物を…ということで、その出展の一角をお借りしてMeridianの実機展示を行うことになりました。
どう展示するか
そもそもMeridianは内部的なシステムであるため、展示がMFTに相応しい内容だとは考えていませんでした。ですので展示には少し工夫が必要そうです。
話せば長く範囲も広いMeridianの仕組みと概念。ものづくり系の方が多く来場されますが、その興味範囲や専門分野によって響くポイントはだいぶ変わってきます。また、一般の方から見ればMeridianのインフラのような話はかなりマニアックで地味。面白いものではなかろうと思います。
そこで今回はアピールのポイントを割り切ってみました。
デジタルツインというシンプルな訴求で、実物のロボットと画面のロボットがシンクロする様子をデモ展示することにしました。
ロボット実機とディスプレイを置いて何が起こりそうかをわかりやすく。
安全対策としてロボットのこまめな消毒はもちろん、来場者がロボットに触れても怪我をしないよう角を削って丸くしたり、サーボのパワーが物理的に制限されるよう、本来12Vのところを5Vしか入力せずに駆動させるなど万全を期しました。
Unityの画面表示はパワポのようにボタンで切り替えができるようにし、状況に応じた説明画面が出せるようにしています。
(…とさらっと書いていますがUnityに詳しくないのでこの準備はけっこう大変でした。)
ミニゲーム
メインの展示はデジタルツインたまいれというゲームです。
ロボット実機の動きがシミュレーターに即時反映されることを利用して、シミュレーター内だけに現れる仮想のボールを、仮想のフープにシュートするというゲームです。ちょっと素朴すぎる気もしますが、家庭用のゲーム機でもゲーセンでも味わえない操作感覚のパズルゲームになったと思います。
(画面がカクカクしているのはたぶんwifiの都合。ぬるぬる動く楽しさを体験してほしかった!)
説明の流れ
このゲームをキャッチとして、来場者の興味に応じて、段階的に深く説明していく感じにダイアログを設計してみました。
想定した話の流れはだいたい以下のとおりです。
① デジタルツインたまいれの試遊。シンクロの面白さを楽しむ体験。
② アバターの動作をロボット実機ににストリーミングするデモ。
③ 無線式であることや、今回開発した箇所などシステムの説明。
④ それが実はいままで世の中になかったことや難しかったことの説明。
⑤ この開発で今後どんなことができるようになるかの説明。
⑥ この実物を見た方がインスパイアされたことのヒアリング。
⑦ 来場者が近しい研究をされている方の場合、その課題。
⑧ 提供できるソリューションと、ニーズや要望のヒアリング。
⑨ 使用ボードやMeridim90配列などのマニアックな技術情報。
対面で丁寧に話せる機会なので、来場の方の興味に合わせて話すことでき、むしろこの複雑な概要を説明しやすいと感じました。ふだんロボットなどを作られている方かどうかのヒアリングもできますし、その方の興味領域や専門分野とMeridianがどういう化学反応を起こせそうかなども伺うことができるという面からも非常によい機会でした。
中盤の⑤以降はほりぽんさんがタブレットで持っていた応用研究のビデオがかなり効果がありましたが、こちらの体制の不十分であまりお見せできなかったのが残念でした。改めて内容をご紹介させていただければと思います。
出展の問題点
ロボットの展示はどうしても準備物が多くなりがちです。作業量が増えるだけではなく、本番で確実に動作させるために数日前から状態をキープさせておくといったことも必要になります。
その間はプロジェクトの開発がどうしても滞ってしまいます。ここが一番の課題です。この問題を解決するには、全く同じ開発環境が2セットあればOKですが、個人ではなかなか厳しいです。デスクトップ機で開発していたものを微妙に環境の違うノートブックに移植するというところだけでも、かなりの時間を費やしました。
大変だったけど面白かった
ふだんTwitterで見かける開発者やクリエーターの方とたくさんお会いすることができるのがお得でした。イベント用の名刺や缶バッジを作ったり、頒布用の物品を準備するのもたまにはいいものです。なにより「やった感」が出ます。
ちなみに冒頭の「締め切りは進捗の母」というフレーズはいま検索したら特にヒットしなかったので、有名な諺ではありませんでした。そもそも自分で適当に作った言葉だったかもしれません。
謝辞
VRホビーロボット関係のみなさん、ブースにお立ち寄りいただき説明を聞いてくださったみなさん、ボードをお買い上げいただいたみなさん、そして特に今回の展示実現に多大なる技術協力やアドバイスをいただいたほりぽんさん、キルロボさん、みっちーさんはじめ開発ご協力者のみなさん、同日にRSJ2022で「MeridianとChoreonoidの連携」として学会発表を達成されたぷくたいさん、お疲れ様でした&ありがとうございました!
このあと
次の発表は10/19のROSCON JPになります。
今回の展示で気付いた点もたくさんありますので、また具体的に開発を進捗させていきたいと思います。
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