
ノンアル月間 "Dry Month"
"Dry Month"--- 飲酒癖のコントロールを目指して、新年があけた一月にまる一ヶ月間断酒の決意をする人たちがいる。
一ヶ月間断酒して、そのまま完全断酒し続ける必要は必ずしもない。少しでも酒量が減ったら健康にいいよ、っていう話だから、気楽といえば気楽。
私が初めてそんな習慣があることを知ったのは、健康オタク運動狂のEx.がやり始めたからだった。Heart Rate Variabilityを計測していた彼は、Dry Monthの結果、その数値が一気に改善したことを知って驚いていた。彼はかなり飲めるほうでウィスキーの収集家だったが、私はもともとそんなに強いほうではない。夕方から夜にかけて子供たちの送り迎えがあったので、滅多に飲むことはなかったのだが、そんな話をきいて、ほー、と思った。
ところが。一人暮らしになってから、ワインだビールだシードルだと、料理に合わせて楽しむようになり、旅行先のバーでカクテルを、日本滞在中は「まずはビールから」の掛け声に慣れ、昔の私を知る友人が「飲めるようになったなぁ。飲めるようになるもんなんだなぁ」と驚く有り様。

「次はいつ、何を飲もうかな」と考えるようになったらアル中の始まり、と看護学生のムスメにぴしゃりと言われ(涙)、看護師や医者ではないが大学病院に勤める友人に「アルコールは百害あって一利なし」と言われ(涙)、自分のアルコール耐性の「向上」(?)についてちょっと考えていた。
酒は百薬の長じゃないの?とは、私の友人。
彼は人間ドックの前日以外364日は飲んでるそうだ。
恐ろしいもので、ちょっとそんな会話をtextで友達とやりはじめると、インスタやYouTubeにノンアル商品の広告が入り込んでくる。今ではもう周知の事実だが、わたしたちは携帯という媒体を通じて見られているし聞かれている。
挑戦する人がだんだん増えてきたんだろう、ニューヨーク・タイムスでも Dry Monthの効果についての記事がでる。BBCのPodcastでも取り上げられる。
「ノンアルのワインは、葡萄ジュースではありません」
酵母をつかってノンアル・ビールを造るBreweryのオジサンのコメントのあと、栄養学の大学教授が「実験をしたところ、ノンアル・ビールを一ヶ月飲んだグループは普通のビールを飲んだグループと比較したら、体内のバクテリアの種類が増えました。とても良いことです」と言っている。
ほぅ。やってみるか。
と。わたしは馴染の酒屋に足を向けて、ノンアルの棚を探した。





よくよく考えてみると。私は料理をし始める頃からなんとなく飲みたくなる。料理しながらワインとかビールってちょっとお洒落なのん。が、もともとそんなに飲めないから、空腹にアルコールを流し込むと、食べ始める頃にはもう結構酔っ払ってしまっている。
私の酒量。
ビールなら、缶ビール二本はいける。
ワインなら、グラスに二杯はいける。
食後のウイスキーなら、ロックで1~2杯は全く問題ない。
でも。一種類しか飲まない。
が。もちろん友達と二人でワインボトル二本を空けることもある。
わたしはとにかく甘くない炭酸が好きで水代わりにいくらでも飲める。ビールはあの炭酸と苦さがいいと思う。ビールで酔っ払いたいというわけではまったくない。
”解!”=ノンアル・ビール
加えて。ノンアル・カクテルのよいところは、いわゆるジュースと違って糖分やカロリーが控えてある点。健康を意識してノンアルを飲むのに、その分余分に糖分とってしまったらまるで逆効果ということを、つくるほうはちゃんとわかっているということか。Ex.のような健康オタクがやり始めたDry Monthだから、当然か。
わたしは意識的にアルコールは金曜から日曜の夜までしか飲まないようにしてたから、ノンアルだからと毎日飲んでたら意味がない。アルコールが飲みたくなるとき(=お料理しながら、食べながら)に限って、ノンアルに手をだしている。
もともと飲まないからそんな大した効果は期待してなかったが、専門家が口を揃えて言う通り、一番感じるのは夜の睡眠の質が改善したことだ。相変わらず夜中にトイレに起きてしまうのは、この年だから仕方ないし、よく眠れる人だから朝起きたときに疲れが全然とれてないなんてことはそもそもなかったけれど、ノンアル月間が進むにつれて眠りが深くなった気がする。
ちょっとびっくり。
とにかく。お料理に合わせて何を飲もうか、っていうスタイルが好き。この前も離婚した友人と言い合ったのだが、料理好きな私達がひとりになって、好きなタイミングで好きなものを好きなように作って食べられるというこの幸福感がたまらないよねって。Ex.は筋肉づくり用のタンパク質満載な料理であれば一切不満はなかったし、そもそも私の手料理が大好きな人だったけれど、とにかくこの国で育った子供たちの好みに合わせたメニューから解放されたことが、この幸福感の頂点にいる究極の理由だと思う。
一人暮らしでよくそんなもの作ってるね、と驚かれるけれど、(アメリカだから)外食するよりも断然美味しくできるし、もともと料理していると落ち着く。音楽やPodCastを聴きながらただ黙々と手を動かす時間が豊かさにあふれていると思う。

Hummus Lemon Pasta.


というわけで。料理が主で、ペアだったアルコールは、私にはノンアルでもその役割を十分に果たすらしい。
夏に引っ越していったお隣のパキスタン家族に呼ばれて、彼らの新居に遊びにいってきた。Halalを守る彼らはアルコールを一切飲まないので、ノンアル・ワインをもっていった。

翌朝はお腹が減らないので起きる気にならず、昼まで寝てたよ。
残念ながら、アレはワインとは言えなかった。なぜか酸っぱい。ノンアルで飲めるのは、ビールとカクテルだけみたい。あと二日で私のDry Monthは終わる。
YorushikaとVaundyに、米津玄師とback numberを追加。
どっちもアニメソングのイメージで、それもまたいい。今見てるのは、「葬送のフリーレン」。英語のタイトルが"Frieren the Slayer"ではなくて"Frieren: Beyond the Journey's End"になってるのが笑える。
いいなと思ったら応援しよう!
