やっぱり、デデデン!デデデン!にワクワクする【SAW X 感想】
久しぶりに当たり回でした。4までの話を覚えていればついて行けるのでオススメです!
シリーズファンです。
過去作の評価としてはこんな感じ。
名作 1
良作 2 6
凡作 3 レガシー
駄作 4 ファイナル スパイラル
ゴミ 5
見ての通り、大半がイマイチといった所。ただ"面白い"と"好き"が必ずしもイコールにならない、不思議な愛着は持っています。
例えば、私のお気に入りキャラはホフマンだ。クソゲーしか作れない所と、所々詰めの甘いポンコツっぷりが可愛くて。そのため5クライマックスのドヤ顔はシリーズ1好きなシーンだし、6,7でボロを出しまくってアタフタする様はもはや愛おしさすら感じる。他にも、スパイラルのジグソウフランチャイズ化エンドは、世界観の拡張として良い試みだなと感心させられました。………まぁ映画として面白くはなかったんだけども。
逆にシリーズの核であるジョンは、シリーズ追う毎にどんどん株が下がっていくのが複雑な所。何なら嫌いなまである。なーにが生きることに感謝じゃい。メイン被験者の試練の為なら第三者を平気で殺す時点で信念なんてありゃしない。初被験者のセシルだったり、6の保険会社員だったり、どう見ても私怨で被験者選んでるのもクソ。レガシーでゲーム設計にミスがあったからって被験者蘇生してるけど、それならアマンダやホフマンのクソゲー監修まで徹底しないと筋通らねえだろアタオカジジイ!
……そんな様々な感情を孕みつつも、期待を込めて劇場に足を運んだ。
───鑑賞後───
久………しぶりの良作では!?
まず語りたいのがストーリー構成。過去作とは異なる切り口で描かれていて非常に新鮮だった。
例えば、本作は全編通してジョンの視点から物語が進行する。余命残り僅かで絶望している所から始まり、どんな病でも治せる医師団に縋るも騙され、いつものゲームスタートという流れ。
その中のジョンは、同じく大病を患った人々に同情を向けたり、偶然知り合った少年の自転車を直してあげたりと、優しい老人の一面が垣間見える。
要はジョンの"人間らしさ"が強調されているワケだ。この殺人鬼ジグソウとのギャップを生むアプローチは、これまでとは違ったジョンの魅力を引き出す演出として、上手く機能していたと思う。
……まぁ結局後半で悪趣味デスゲーム始めるからあんまり意味ないんですけどね。
あとは詐欺グループのボスであるセシリア。彼女のキャラが立ちまくっていたお陰で、物語が大いに盛り上がっていたと思う。
例えば、合間合間にジョンへ交渉を持ちかけたり、仲間のゲームが進行する中、冷静な指示を下す様は、強キャラの風格。
それだけで十分肝が据わっていて関心させられるのだが、バレンティナの腸を引き出してロープ代わりにしたり、パーカーを利用して形勢逆転を果たすという前代未聞の快挙を成し遂げたりと、歴代で一番ぶっ飛んでいた被験者と言えよう。おかげでジョン自身がデスゲーム装置に苦しめられる貴重な絵面も見れたので大満足。
まぁ「セシリアに逆転されるの込みで計画内なんだろうなー」とは早めに察せるんだけどね。
セシリア「お前がジグソウなんやろ?」
ジョン「………🥵」アタフタアタフタ
の件とか大根芝居過ぎたし。ただカルロス君が巻き込まれてからの動揺っぷりが良いミスリードになっていたので良し。
そしてシリーズの目玉であるデスゲーム要素。こちらも過去作に引けを取らないレベルのゴア描写がしっかり用意されており、見ごたえは抜群。どれも医療モチーフという事で、ビジュアル的な統一感があるのも良かったね。
とりあえず、各ゲームの短評を書いていきます。
【指ポキしなきゃ目玉吸引ゲー厶】
ポスターのインパクトに反し、意外と地味だったな。スイッチ捻れば勝手に折ってくれる分、難易度は低いし。しかもジョンが妄想したゲームってだけで実際はやってないというね。これポスター詐欺では?
【腕の肉剥がなきゃ爆発ゲーム】
まるでセルフケバブ。赤黒い血が絶え間なく溢れる様は目を背けたくなりましたね。てかよく2個目行けたなディエゴ。腕の痛みでまともに動かせなさそうなモンなのに。
【脚切り落として骨髄注入しなきゃ首チョンパゲーム】
糸ノコギャリギャリだけで痛いのに、更に傷口へ管通さなきゃ行けないというね。まぁここまでは納得なんだが、骨髄が器に抽出されるまで、そこそこ時間がかかるのはゲームとして欠陥では?だってジグソウの理念踏まえたら、管ぶっ刺した時点で十分試練を満たしているじゃん。なのに早めに覚悟して脚切らなきゃそれまでの痛みが全部無駄になるのは理不尽にも程があると思う。
【脳味噌取り出さなきゃ顔面丸焦げゲーム】
個人的に、本作No.1グロ。あんなん頭にドリルぶっ刺した時点でショック死するだろうに、更に脳味噌を引き千切らなきゃいけないとか正気の沙汰じゃない。
ただこれも、脳味噌を測りに置いてからのラグが長いからクソゲー認定。仮にクリア出来たとしても、社会復帰はどう考えても無理だよね。
【手首足首砕かなきゃ放射線浴びまくりゲーム】
前2つと比べたらまだマシな方。ただあんな短い間で肌が爛れまくってるから、「あの空間にいた他の人間にも被害及ぶのでは?」と違和感。ジョンが「今すぐ病院に行けば助かる」とか言ってたけどホントかぁ?
【レバー引いたら血ガブ飲みゲーム】
衛生面で今後が不安になる。本来の予定だったらアマンダとジョンでやるつもりだったかな。他のゲームよりは苦痛度が低めなので、ジョンの自分に対する甘さを再認識した。あとカルロス君が自分から浴びに行く健気さが好き。
【毒ガス部屋でサドンデスゲーム】
ただの取っ組み合いで駆け引きの面白さは特に無し。ノーコメント。
【腹引き裂きゲーム】
本編終了後のおまけ的な立ち位置。多分助かる道用意されてないよねアレ。どちらかと言うとホフマンが出てきた衝撃の方がデカかった。老けすぎてて一瞬誰だか分かんなかったけど。せっかくなら本編で沢山活躍して欲しかったな。
………全部で8つか。結構多かったな。
今作のゲーム全体に対する感想としては、「ハナから殺す気満々やん」といった印象。成功率半分くらいだったけど、みんなよく粘った方だわ。ジョンは「これは報復ではない」とか言ってたけど、過去作より殺意高めなの、こっちは知ってるんだからな!
あと病気が治った途端、ジグソウを辞めようとしたのもモヤモヤする。3でティモシーヤングに仕掛けた、首180度曲がる装置のスケッチを破り捨てる件の事ね。
ぶっちゃけジョンがデスゲームやる理由って、「俺が辛い思いしてるから、同じ苦しみをお前らにも味わわせてやる!」ってのが本質じゃん。そこに「生きる事に感謝をー」だの「殺人は嫌いですー」だのそれっぽい理屈並べて正当化してるだけで。
だから自分の寿命が延びた途端、ジグソウを続ける事に迷いが生まれる。他者を道連れにする動機が無くなるから。
………やっぱジョンってクソだな。血ガブ飲みゲームで、そのままくたばってくれれば良かったのに(タイムパラドックス)。
総括「いつものSAWが帰ってきた!」です。過去作と多少異なるテイストだったものの、SAWシリーズ本来の良さは損なわれていなかったので、ファンは是非劇場へ。
最後に、本シリーズの今後の展望について語らせて欲しい。
正直、ジョン主体で物語を作るのはそろそろ限界だと思う。役者の年齢的にもね。今作とか、時系列上は1と2の間なのにアマンダとか老けすぎてるし。
個人的には、4以降の"誰がジグソウの跡を継ぐか路線"で、何とか話を続けて欲しいんだよね。……まぁ今まで尽く失敗してるから印象は良くないけど、それはやり方の問題だったと思うのよ。上手く調理すればジョンを超えるジグソウが生まれる物語も創れる気がするんだけどなー……。
複数のジグソウ同士で、お互いに作ったゲーム攻略し合うのとかどうだろう?実際に動くのはいつも通り一般人の被験者なんだけど、彼らにゲームをクリアさせるために、ジグソウが無線越しにアドバイスしたりしてさ。
……まぁどんな続編が作られるにせよ、引き続き追いかけるつもりです。ソウ11も楽しみに待ってます。
余談。
セシリア「ご職業は?」
ジョン「建築士と………趣味を少々」
……いくら建前とはいえ、人の命弄んどいて趣味呼ばわりかい!