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散歩にゴーの日

二人の話しに、業を煮やしたハイ・ホー婆。

チョットォ、お喋りはその辺にして荷物を受け取って頂戴!!

鍵男だってさ、井戸端会議ばかりで、またスグ、寿命が来ちまうよ!!


鍵男はほうほうの体で出て行った。そして米子はこのハイ・ホー婆さんとこれ以上関わっていてもこの世界からは出られないと思い、部屋を出て行こうとした。


するとまた、ドアをノックしたモノが居た。米子がドアを開けるとそこには暗い目をした小男ディアボロが立っていた。


ディアボロ

ボンジョルノ!!お嬢さん!!


ディアボロは陽気な声を上げて両手を広げた。米子は、瞳は暗いのに高い声を出して明るく振る舞う男に胡散臭さを感じた。

 

米子

あらまぁ、どちら様?

ハイ・ホー婆さん、お知り合い?


いや、知らないよ。

今日は忙しい日だね。

アンタはどちら様?


ディアボロ

はい、ワタシは旅のモノでして、辺りを散歩中、仲間とはぐれてしまいました。

そうして歩いていましたらこの家が

目に止まったものですから…



また、余所者かい?

アンタは疫病神の誤嚥じゃあ、ないだろうね。

だったら、ご遠慮しておくれ!!



ディアボロ

とんでもありません!!

ワタシの体を見てやって下さい。

小柄でしょう?

ワタシ、コビッドなんて言われています。


ふ〜ん、じゃあ、

あの汚らしい肺炎球菌太の仲間じゃないだろうね?

この村によそ者が来るなんてあってはならない事なんだよ。

あ〜、もう、なんでもいいから、二人まとめてとっとと、出て行って!!

ハイ・ホー婆はそう言って男の顔を見た。男は困ったような表情を浮かべながらも、とろけるような笑顔を見せた。男が被っている侯爵用のコロネットがキラリキラキラと光った。


婆はいっとき、自分がゼイゼイせず、それよりも重かった足が軽くなったような錯覚を覚えた。


つづく









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