『さいたま国際芸術祭2023』が凄すぎた件~なぞのスケーパーに普通じゃないファッションショー、他にはない不思議空間~
【1】さいたま国際芸術祭2023とは
埼玉県の「旧市民会館おおみや」で行われている芸術祭で、ざっくり言うと
<現代アートの展示+ホールでの演劇・音楽等のイベント+スケーパー>
なイベントです。
特にこの「スケーパー」が独特で、ここでしか味わえない不思議極まる空間がありました。
あまりにも面白かったので、私はフリーパスを使って3回行きました…。
特に面白かったポイントを以下に挙げていきます。
※芸術祭は埼玉の様々な場所で行われていますが、本記事で扱っているのはメイン会場「旧市民会館おおみや」についてです。
【2】スケーパー……??
このスケーパーというのが凄い独特で、私は日常の風景を少しだけ異化させる存在(人や物)と捉えました。
そして、見た人は不思議な気持ちになったり、インスピレーションを受けたり、そこに意味を見出そうとしたりする……そんな新感覚なものでした。
ちなみにこんなサイトもありました。
(梨さんみたいな仕込み…)
私が見つけたスケーパー(私がこれはスケーパーかな?と思ったもの)にはこんなものがありました。
展示通路の廊下に落ちている片方の黄色い靴下
(なんでこんな所に落ちている…?)
夕方、いい感じに夕日が当たる場所に置かれたほうき
落下防止の網の上にある野球のボール
現代アートが展示された展示通路なのに、台所用洗剤とかが置かれたまま
会場の外で、白い砂を箒で集めたり、ふるいにかけたりと謎の行動をしている人たち
その他にも、
いかにも清掃業者という格好で、ガラスのすみっこだけを念入りに拭いてている人
同じ清掃業者の人?が休憩室でアメリカの政治情勢か何か?について話し合っていた
「関係者以外立ち入り禁止」の仕切りをハードル走の要領で飛び越えて走り去っていく人
会場の出口でやたらと長いアンケートを取っている人たち
会場の壁際で椅子に座ってワイングラス片手に白ワイン(中身はただの水かも)を飲んでいる人
なんかを目撃しました。
メインの現代アートの展示のそばでいろんなことが起こっている、探せばいろんなことが見つかる不思議空間で、とても面白かったです。
帰り道も、なんならその後もずっと、何かを見ては「ひょっとしてあれはスケーパーなのでは?」と思ったりして、違和感に敏感になりました。
【3】ホールの横から舞台の裏に回れる通路
メイン会場に入って進んでいくと、ホールの横から舞台の裏に回れる通路があります。
これが凄くて、ホールでは市民団体のイベント(演奏会とか)や、演劇のリハ、映画の上映などが行われていて、その最中に舞台の裏まで回って見ることができるという…。
ホールで演劇のリハをやっている最中に、舞台の裏に回ってその様子を後ろから見るなんて、そうそうない不思議な光景が見られました。
【4】準備から撤収まで観られるファッションショー
会期中にはいくつかの目玉イベントがあったのですが、その中で「ファッションショー」を観ました。
まずは開演前、上記の「ホールの横から舞台の裏に回れる通路」から、ファッションショーの準備状況を見ることができます。
ファッションショーで着られる服が準備されているのとか、その横に出演者への指示の掲示があるのとか、出演者の方々がメイクをされているところとか、スタッフがケータリングの飯を食べているところとか……生の準備状況がありありと見られます。
一般人にはそうそう見る機会のないもので、とても新鮮でした。
そして開演。開演なのですが、しばらくは舞台上で準備が続きます。
舞台上が控室になっていて、メイクを施されて準備が終わった方々は思い思いにくつろいでいます。
準備が終わった後、出演者の方々は一旦捌けました。その後、なぜか一般人っぽい人々が列をなしてステージに上がってきて、客席にスマホを向けて写真を撮ったりし出します。
これ何の時間だ?って不思議に思いましたが、しばらくしてこれを思い出しました。
反転してこっちがショーになっているってこと!?
会場に入っていたカメラが客席側も結構撮っていたのはそういうことかと、合点がいきました。
さすがにそれで終わるなんてことはなく、ちゃんとファッションショーが始まりました。
舞台が控室、「ホールの横から舞台の裏に回れる通路」がランウェイになっているようです。
会場の作りが生かされた、かっこいいショーでした。
そして、その後はショー用の口紅を落としてもらってお疲れーみたいな感じで帰っていくところとか、撤収までを見られました。
イベント名はシンプルに「ファッションショー」だったのですが、全然普通じゃない、準備~ショー~撤収のすべてがメインなファッションショー??を楽しみました。
『さいたま国際芸術祭』なんて地味な名前の割に、もの凄く尖りまくって面白いイベントでした。
個人的には、怪文書展『その怪文書を読みましたか』に少し近いテイストを感じましたね。
(怪文書展からホラー要素を引いてスケールを大きくした感じ)
今回ディレクションしたという「目[mé]」のことは今後もチェックしていきたいですね。