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詩 かっくう(函館市縄文文化交流センター)

 眼下に内浦湾を望む、見晴らしの良い国道沿いの高台。自然と調和した、地上一階建てのモダンなコンクリート建築の地下にカックウはいた。そこは不思議な空間だった。必要最小限の照明がカックウだけを照らしていた。通路側の壁には学芸員が一名配置されているが、空間を演出するキャストの一員として、壁と同化するように存在を消していた。現実世界と隔絶された、深い海の中にいるような、穏やかな安心感に包まれた空間。他に観覧者もいないその時間、静かに中空の一点を見つめるカックウを、ただただ眺めていた。 深々(しんしん)と心がほどけていくのを感じた。 気が付くと、自分の目尻にうっすらと涙が滲んでくるのがわかった。 
キャストがいなかったらそのまま嗚咽してしまいそうだった。


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