マンガレビュー「懲役339年」(ネタバレあり)
※この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。
なぜ「懲役399年」のレビューを書くのか
その1
もっとも大きな理由は、はっきり言ってしまうと、現状サクッと検索して出てくる記事の評価ほど、僕は面白いとは思わなかったからです。
その2
なぜnoteに書くのかというと、大手のマンガレビューサイトにも、この漫画の登録自体がなく、レビューを書くことさえできなかったからです。
その3
自分の考えをまとめるためです
一切正当性のない私の個人的な評価
★★☆☆☆
星2つくらいです。低いです。
理由① 読む前に期待しすぎた
完全に期待しすぎました。
もっとも大事な部分は最後に記載しますが、
「期待」の中には前評判も含まれます。
前評判を聞かづに読めば★★★☆☆くらいにはなってたと思います。
てゆーか正直、これにつきます。
つくづく自分という人間が嫌になります。
人が評価しているものを自分はうがった見方をしてしまうので
これは本当に正当性のない個人的な評価です。
ただ、気持ちとしては、なんかなー。って感じなのが正直なところです。
「伏線がすごい」「伏線だらけ」というレビューをよく見かけますが
これを「伏線」と呼ぶのは個人的には違うかなと思います。
「伏線」と「作者があえて謎にしていること」をごっちゃにしている人が多いのだなと思いました。
「伏線」とは、「後から利用されたときにはじめて気づけるもの」でなくてはならず、視聴者や読者が初めて「伏線」に触れた瞬間は違和感を与えないものだと私は思っているからです。
懲役399年は基本的には「伏線」として忍ばせているものはありません。しいて言うなら最終話くらいでしょうか。
この流れはきれいですし、読んでいる最中にのちにこれが作中で利用されるとは思わないでしょう。
面白かった所・好きだったところ
星は2つですが、好きなところは結構あります。
①設定
これは読んだ方全員思うかと思いますが、とにかくこの「罪を懲役という形で生まれ変わりが引き継ぐ」という設定ですよね。これはそそられました。
どんな結末が待っているのかとてもワクワクしました。
②最終話
最終話は好きでした。結構レビューとかを見ていると、この最終話が今まで主人公たちが追っかけてきた「生まれ変わりの否定」の否定になっているのではないかという意見が多かったように見受けました。
ただ、僕がこの最終話から感じたことは少し違います。
そもそも
生まれ変わりが存在するのか
出生局が生まれ変わりを本当に見つけることができるのか
国が不正に生まれ変わりをでっちあげていたという事実
この三つは分けて考える必要があります。
そもそも5代目は「生まれ変わり」を否定はしていなかったかと思います。
「信じていない」だけで「信じても別に良い」、とにかく国の不正を暴くというスタンスでした。
なのでまず、少なくとも5代目が追いかけてきたものは「生まれ変わりの否定」ではなく「国の不正を暴くこと」なので、最終話によって否定はされてはいません。
「2.出生局が生まれ変わりを本当に見つけることができるのか」については審議不明です。実際にできたのに、賄賂によって曲げてきたという可能性も作中の情報では判断できかねます。
そして、「1.生まれ変わりが存在するのか」については、最終話を見る限り懲役339年の世界では「存在する」ということなのでしょう。
その代わり、前世の徳は関係ないのかもしれません。また、死んですぐに転生するのかどうかもわかりません。また、身分も生まれもランダムなのでしょう。記憶も断片や感覚に近い極小レベルで引き継がれるのかもしれません。
とにかく二人がまた出会えたのはよかったです。
評価できなかった一番の理由
これ、転生先が本当に分かった方が面白くなるのでは?
最終話も読み終えた後に私が感じたのは、まぁお話としてはとてもまとまっていてよかったのですが、結果この物語って国のお偉いさんたちが自分たちの地位とか名誉の為に悪いことしてたので、それをとっちめてやったぜ!っていう話です。
落ちが「不正をしていた国が悪い!」では、冒頭の設定に負けちゃってると思いました。
私がこの「懲役339年」というタイトルと「罪を転生者が担う」という設定を聞いたときに求めていたものは、ちょっと違う。
そこと向き合って欲しかったなと思いました。
つまり
という事です。
この方が題材としては難しいし、状況も複雑になります。
国は不正をしていない。魔法的な力で出生局は本当に転生先がわかる。
でも、前世の記憶を持っているわけではない。
そんな世界だとしたら。
なんなら、魔力を多少持っている民なら普通に前世がわかってしまうような設定があってもいいかもしれません。
そしたら、転生したハローは迫害されるかもしれません。
こうなれば僕が期待していた問いが、読者に突きつけられるわけです。
この方が意見が分かれそうですよね。
また、この問題は「犯罪者の家族の扱い方」という現代でも目を背けがちなとても難しい問題に隠喩としてつながっていくような気がします。
この点が、もっとも残念だった点です。
最終話に出てくる少年の名前「天海央(てんかいなかば)」
そういう意味では、もしかすると作者さん的にはこの先に、そんな展開を実は用意していたのかもしれません。
ひらがなだけ見て普通に漢字にしようと思うと「展開半ば」ですよね。
著者の中では本当はもっと先の展開があったのでしょうか。
399年たった後に、また違った展開の構想があったのであれば、それは見てみたいなと思いました。
例えば・・・
時代が進み、本当に転生者を見つけ出す手段が確立された。
そして今度はかの大悪党「オレンジマン」の本当の転生者が見つかり、懲役339年を課される。
その時、シナトの本当の生まれ変わりである主人公が何を思うのか。
そんな先の展開があったら、それこそ伏線がすごすぎる。完璧な伏線がはれていると評価せざる負えないでしょう。
また、そうなれば僕はこの漫画の評価を★★★★★+★!にしてしまうと思います。