メタモルフォーゼの縁側を見て
なにわ男子の高橋恭平を目当てに見に行ったのですが、想像以上にとても素敵な作品だったので感想を書きたくなってしまいました。
たくさんネタバレがあるのでまだ見ていない方はご注意ください!
あらすじ
映画を見て何度も涙が出てきたのは初めてです。登場人物みんながとてもやさしくて、いとおしくて、自然とみんなを応援してしまう作品でした。今まで見てきた作品の中で一番優しい気持ちになれる話でした。
明るい人に対する劣等感
「優しい気持ちになれる」と言ったとたんマイナスな話で申し訳ないです。うららの明るくてかわいいえりに対する劣等感、とても身に覚えのある感情で、どうしても文章にしておきたくて。
まず序盤、友達に囲まれている英莉と一人でノートの隅に落書きをしている自分とを比較してしまうシーン。髪のはねを気にしているところがとてもリアルでした。
英莉がBLにはまるシーン。ずるいって思う気持ち、とても分かります。同じ部活にいました、似たような子。みんなから好かれていてだれとでも仲良くなれるような明るい子が「BL好きなんだよね~」と公言してみんなにおすすめするの、そうなんです、「ずるい」って思っちゃう。
自分は「引かれるかもしれない」って思ってひた隠しにしているのに、あの子はライトに公言して受け入れられていてずるい。かわいいなら趣味はショッピングとかカフェ巡りとかかわいいのでいいじゃん、私の逃げ場に入ってこないでよ~って、劣等感というか、なんていうか。
自分の様な日陰者がBLを好きって言ってもだろうねって思われたりひかれたりするのに、あのこだったら個性とかギャップになってしまうし、さらに「じゃあ私も」ってさせてしまう人望の差というか、同じコンテンツを好きだからこそ顕著になってしまうのがね~~~。(多分当時そこまで考えていなかったのですが)
留学のために頑張っているのも目標がない自分と比較して劣等感を感じてしまうんですよね。友達もあまりいない、夢中になれることがなくて時間がたっぷりある私よりも部活も友達も充実している子の方が目標が明確で努力していたんですよね、そのへんのこと思い出してキリキリしていました。
そういう時「すごい人はもともとすごいんだ」って割り切ってしまうけど、でも本当は努力していて、そこもなんだかリアルというか。成功する人は、確かに要領とかはいいかもしれないけど、その結果を出すまでの努力は人一倍しているんですよね。自分が小さく感じるやつです。
最後のお母さんの言葉にすごく勇気をもらえました。心が軽くなった気がします。
ドラマのような展開はない
高橋恭平が引いたりからかったりするんじゃなくて当たり前の趣味として受け入れているところ。
留学した子が優しいところ。オタクばれしてからかわれたり即売会でばったり会ったりしないところ。
雪さんと突然別れることはないところ。
なんだかドラマのようにハラハラ気持ちにさせないところが、実際にあった話をのぞき見させてもらっているような気持ちになりました。
話としては実は英莉がいじめっ子だった、とかの方が、うららの葛藤は見えるかもしれないです。でもそれだと脚本通りにキャラクターが動いているようで。そうなんです、この作品はキャラクターがそのまま動いているような感じがしました。話の流れに合わせてキャラクターが当てはめられているのではなくて、キャラクターが思い思いに動いていて、それをそのまま見せてもらっているような。だから登場人物ひとりひとりに感情を動かされてしまったのでしょうか。
高校生の頑張っている姿
私はまだ22歳で、世間一般から見れば十分若い部類にはいるのですが、もうすでに若い人たちが頑張っているのを見ると涙が出てきてしまいます。
不器用ながらももがいて進んでいっているのを見ると、自然と頑張れ、と思いますし、私もパワーをもらえますね。
また芦田愛菜ちゃんは子役のときからずっと見ている子なので、(みんなの子供だよね、もう。)「マルモリのダンスをしていた子が高校生の役を演じて、こんなに立派に大きくなって…。」という気持ちもあり、尚更泣けてきました。
作品を作り上げたのに結局出すことができなくて泣いてしまうシーン、抱きしめたくなりました。頑張ったね、十分頑張ってたよ。漫画を描いているときは「楽しくはないですね」って言っていたのに、出来上がったものを見て「楽しかったな」というシーン、本当に好きで。どうして好きなのかわからないのですが、こうやって作品を作ることにはまっていくんだなあと感じました。(部活めちゃくちゃきつかったけど、大会がおわってやり切ったときの達成感を思い出して懐かしく思いました。)
創作物のパワーも感じました。一つの作品が誰かを勇気づけたり人を繋げたりする。
好きな気持ちをぶつけた作品って本当に心を動かされるよね、すきのパワーってすごい……。
いつまでもときめきを
私は小さいころ、25歳以上の自分を想像することができませんでした。おばあちゃんはおばあちゃんだしお母さんはお母さん。私がいつかお母さんやおばあちゃんと同じ年齢になることが想像つかなかったのです。
また、小学生のころからネットを見ていたので「25歳以上はババア」のような強い言葉も浴びていて、尚更「若くなくなった自分の存在意義ってなんなんだろう」と思っていたのです。
ですが、最近、歳をとるのも悪くないな、と思い始めました。年齢が上の人と話す機会も増えて、その人はその人でとても楽しそうなのです。
そんな気持ちを改めて、このお話で強く感じることができました。私は「年相応」という言葉をよく使ってしまうのですが、「おばあちゃんがBLを好き」というのは多分「年相応」ではないと思います。
でも、おばあちゃんは新しいものを見てときめきを感じて、「この続きを読むために長生きしよう」と生きがいになっている。ときめきというのは何歳になっても得られるものだし、それに年齢の壁はないのだな、と感じました。
「もう大学生ではないのだから、年相応の格好をしよう、年相応の趣味を作ろう」と身構えるのではなく、自分のときめきに正直に、人生を楽しんでいきたいと思いました。
人と話したくなる
年齢の違うふたりが友達になるのがとても素敵でした。おばあちゃんと孫のような関係ではなくて友達だったんですよね。
お互い遠慮せず趣味が一緒で気が合ってたまたま年齢が離れているだけの友達。
友達というと同年代を思い浮かべてしまうのですが、友達を作るときに年齢で区切ってしまうのもったいないですね。幅広い年代の方とおしゃべりしたくなってきました。
演技力の高さ
こんなにたくさん心を動かされたのは登場人物の演技力の高さによるものだと思います。
芦田愛菜ちゃん本人はあんなにきれいでかわいらしくて聡明な印象なのに、うららはどこかあか抜けない女子高生で、どうしてそう見えるのかとても不思議でした。歩き方・立ち方、髪型が違うのはわかるのですが、顔までなんだか垢抜けなく感じるのです。(かわいいのに)
表情?メイク?かわいいのに垢抜けない子ってどうやってつくるの??
女優さんって見た目だけではなくてオーラまで演技していて、それを習得するまでにどれだけ時間がかかったんだろう、と感じました。
雪さん役の方はもともと知らなかったのですが、人と話すことが大好きでかわいらしいおばあちゃん、とても素敵でした。近所にいてほしい。楽観的に見えて包容力のあるおばあちゃん、救われます。
高橋恭平、いい子役がものすごく似合いますね。いい子がにじみ出てます。いい子だもん。
明るいグループにいるけど誰とでも分け隔てなく話せる、彼女をめちゃくちゃ大事にする男、高橋恭平。押しつけがましいやさしさじゃなくて、当たり前だと思っているやさしさ、近くにいてほしいですよ。ちょっと自信なさげになっていたところも高校生らしくて応援したくなりました。
自分の中で芦田愛菜ちゃんはmotherあたりで止まっているので、高校生役をしている愛菜ちゃんを見るとすごく違和感がありますね。大人っぽくなったね、とはおもうものの、高校生といわれると「そんな大きくなったっけ!???!!」となってしまいます。高橋恭平と4歳差なのですが、もっと離れているように見える。
今日見て急いで感想をまとめたのであまりまとまってないですが、書きたいことは多分かけたと思います。
本当に素敵な作品で、出会うことができて本当に良かったです。高橋恭平がでていなければ見ることがなかったと思うので素敵な運命でした。うちの地域では今週の木曜日で上映が終わってしまいます。寂しい。
創作をしている人、目標を見失っている人、人と話すことにつかれた人に見てほしい作品です。(私です)
この世にこんな素敵な作品がたくさんあると思うと長生きしなきゃなと思いますね!!!!!