2人分の人生を生きる
僕にはこの世で会うことの出来なかった弟がいる。この世に出てくる前にあの世に行ってしまったらしい。
その事を知ったのは30歳を過ぎてからだった。いつも家族でおじいちゃんのお墓参りに行くと、その帰りに別のお寺?みたいな所に寄って、何故か母だけ車から降りていき暫くすると戻ってくる。子供の頃は特に何も思わなかったがある時母と2人でお墓参りに行った時にここは何なの?ときいてみた。
母は『そうだね、あなたにもちゃんと話しておかないとね…』とこの世に現れることの出来なかった弟の話をしてくれた。
この弟が一緒にいるからなのかな、僕はたまに二重人格じゃないかと思う位に攻撃的な時と穏やかな時がある。でもどちらの性格にある時でもその姿を客観的に見ているもう1人の自分がいる。また思い立ったことはすぐにやらないと気が済まないところもある。明日になったら死んでるかもしれない、動けなくなって何も出来なくなっているかもしれない…そんなことを考え、何でもすぐにやらないと気が済まない性格なのである。
母の話を聞いて、2人分の人生を生きているんだなって思うようになった。だから例え短くても太く、毎日を一生懸命に生きようと決めたんだ。