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「あなたの好きな食べものを3つ教えて」

2か月くらい前から、親しい人に会うたびに「あなたの好きな食べものを3つ教えて!」と聞いている。

始めたきっかけは忘れたのだけれど、好きな食べものについて語るときの幸せそうな顔を見るのがまず楽しい。そして長年の付き合いになる相手でも初めて知る好物が多々あったり、3つ挙げてもらうことでその人の嗜好の傾向が見えたりするのが面白くて、続けている。

20人に聞いたところで、いったんまとめてみようと思う。

ちなみにすべて対面で、いきなり聞いた。事前に考えてもらったり、LINEなどで聞くよりも面白い答えが得られると思ったからだ。そして答え方もその人にお任せしている(私の癖にお付き合いいただき感謝!)。

ちなみに私の好きな食べもの3つは「山椒のきいた麻婆豆腐、卵かけごはん、エンガワ」である。

🍣

~農学部の友人たち~

まず面白いのは、往々にして農学部の友人たちはほかのコミュニティの人に比べて3つ思いつくまでのスピードが早い。そのうえ、こちらが聞く前に「こんなところが好き!」と語りだす人が多いのが印象的だった。

Yちゃん:炊きたての白米、青魚の塩焼き、味噌汁
⇒見事な和食献立である。彼女は死ぬ前も「これが食べたい」と言う。味噌汁の具も、なるべくシンプルでスタンダードなものが好きだそうだ。

Mちゃん:
昔 チーズケーキ、唐揚げ、米
今 モンブラン、春巻き(しいたけ多め)、そば

⇒味覚の変化が明らかな、見事なラインナップ。スイーツ、おかず、炭水化物すべてがすこし大人な味のものに置き換わっている。

Jちゃん:カレー、煮穴子、セブンイレブンの白もちたい焼き、地元に向かう新幹線車内で食べる崎陽軒のシウマイ弁当とビール
⇒3つに絞るのは難しい、と4つ挙げてくれた。カレーは本当に好きで、こだわりのスパイスカレーを自宅で作るほど。白もちたい焼きは頑張った日のご褒美として食べるそう。そしてシウマイ弁当とビールは、シチュエーションがかなり特定されていて面白い。確かに、食において食べるシーンの影響は大きい。

Uくん:麻婆豆腐、ホイコーロー、ステーキ
⇒すべてご飯に合う食べものなので、実は彼が一番好きなのは「米」なのでは?という説が持ち上がった。

Jくん:寿司(コハダ)、中華、麻婆豆腐
⇒「コンサルのくせにMECEができていない」と仲間内でさんざん弄られた回答。それはさておき、わざわざ中華の中から麻婆豆腐を抜き出すのだから、よほど好きなのだろう。

Sくん:北京ダック、麻婆豆腐、チャーハン
⇒とにかく中華が好きなのだな。彼とはもう10年の付き合いになるが、北京ダックは全く知らなかったし、意外だった。

麻婆豆腐の支持率がやたら高い(聞いたタイミングは別々なので、ほかのひとの答えに引っ張られて…ということはない)。すごいな、麻婆豆腐。

~大学の友人たち~

Kくん:マンゴー、はまち、ビスコッティ、スイーツ部門を作っていいなら「くるみゆべし」を入れたい
⇒すごい取り合わせである。3つ目の「ビスコッティ」は全く想像だにしていなかった。しかし、様々な国で暮らしてきた彼らしい気もする。

Tくん:麻婆豆腐、納豆、ブラックサンダー、スイーツ部門を作っていいなら「ぼんち揚げ」「ルマンド」を入れたい
⇒大体の人が2つまではすぐに挙げられ、3つ目は悩むのだが、彼はこの3つを即答した。ちなみに納豆は毎日食べているそうだ。

そしてお菓子たちの「実家感」がすごい。ぼんち揚げは毎日、ルマンドは金曜日の夜に食べたいそう。なんとなく共感できるのが面白い。

Nちゃん:スンドゥブチゲ、焼き鮭、香港麺、スイーツ部門を作っていいなら「ポップコーン」「シフォンケーキ」
⇒「素朴でふわふわした食感が好きなの?」と聞くと「まさしくそうだ」という。コンビニパンで何を買うかと言われれば迷わず蒸しパン、らしい。

ポップコーンもキャラメル味などではなく素朴な塩味が一番好きで、自宅にトウモロコシ状のものを常備しており、食べたいときにフライパンで作っているそうだ。なんだその平和すぎる光景は。

ちなみに、Nちゃんまでの3人にはこの記事の会合で聞いた。そのため「スイーツ部門を作っていいなら」というのが共通している。

Mちゃん:さんま、洋梨、旬の野菜
⇒旬の野菜というのも、料理ではなくすべて素材なのも、考え方・生き方ともにナチュラルな彼女らしいと感じた。食べものの嗜好には、その人の生き方や食以外のことに関する嗜好もありありと現れるのだなあ、と感じさせられた答えだった。

Sちゃん:しめ鯖、なすの揚げ浸し、天ざる、ナチョス、梨とシャインマスカットも捨てがたい…
⇒これまでで最多である。彼女は外国に住んでいた期間が結構長いけれど、上位3つは和食だ。彼女も10年近くの付き合いになるが、天ざるが好物とは知らなかった。たしかに、蕎麦は平日の昼にサッと食べることが多いから、ごはんのお店候補にも挙がることがなかったのだ。

Yちゃん:白米、焼餃子、筑前煮
⇒焼餃子は自分で作るものが一番好きだそう。そして、筑前煮はお母さんがよく作ってくれていて、それが一番おいしいという。九州料理屋に行くと必ず「がめ煮」を頼むが、外食にはなかなかないので、自分で作ったりもするそう。

~高校の友人たち~

Rちゃん:インドカレー、ソフトクリーム、たまご料理、納豆チーズオムレツ(ソースとマヨネーズで食べる)
⇒カレーは今までも出てきたけれど、「インドカレー」と限定した人は初めてだ。そして「たまご料理」というのも初めて。彼女は食べるのが大好きで、しょっちゅうブームも変わると話す。ここ2年ほどでブームになったのは、葡萄パン、茶碗蒸し、シュトーレンらしい。

Iちゃん:唐揚げ(カリカリした竜田揚げっぽいタイプの)、西京漬、牛肉とゴボウを甘辛く炒めた料理(紅生姜と一緒に食べるともっとおいしい)
⇒彼女は料理屋さんの娘だ。ご両親の作るそれらの料理がとても好きだそう。唐揚げの中でも「竜田揚げっぽいものが好き」とか、牛肉とゴボウの料理も「紅生姜と食べるともっとおいしい」とか、食べものを大枠でとらえるのではなく【より自分の舌に合うもの】を知っているのだなあ。

彼女は「食にうるさい」人では全くなく、なんでもおいしそうに食べるし、旅先でのレストランでも全くこだわりがない。だからこの少しこだわりを感じる回答は余計に面白かった。

~私の身内たち~

私には弟と、年の近いいとこが2人いる。私といとこの両親はどちらも共働きだったため、高校に上がるまで平日は近所の祖父母宅へ帰り、みんなで夕食を囲んでいた。ほぼ兄妹同然に育った間柄だ。そんな彼らの好物3つ。

弟:唐揚げ、さんま、寿司

いとこ(姉):カレー、唐揚げ、スコーン

いとこ(弟):ホタテの干物、生のたこ、バター茶

同じようなものを食べて育っても、分かれるものだなあと思った。私を含めて4人とも内陸県で育ったが、私・弟・いとこ(弟)に「海鮮」がランクインしていたのは意外だった。私たちは内陸の生まれで、新鮮でおいしい魚にはなかなかアクセスしにくい地域だったのに。

弟といとこ(姉)とも唐揚げを挙げた。祖母は料理上手で、天ぷらや唐揚げ、コロッケなど揚げ物もしょっちゅう作ってくれた。子どもたち4人がそれぞれ「生卵をつける係」「小麦粉をまぶす係」など役割分担をして手伝った。私たちは立派な労働力のつもりだったが、のちのち祖母は「本当は私一人で作った方が楽だけど、そういう経験もさせたくてやってもらっていた」と笑っていた。そういう背景があるから、二人が唐揚げを挙げたのはなんとなく嬉しい。

いとこ(弟)のバター茶は初めて知ったが、チベットやブータンの飲み物だそう。紅茶にバター・砂糖・塩を入れて作る栄養たっぷりの飲み物で、彼は読書に夢中になることが多く、そのお供にぴったりなんだとか。

~会社の人たち~

Tさん:梨、ぶどう、もも
⇒見事にフルーツ縛りである。ご本人も「私にとって秋は最高の季節」と話していた。これまで何度も飲みに連れて行っていただいたが、まったく知らなかった。確かにフルーツを一緒に食べる機会はなかなかない。

Kさん:ビール、寿司、天ぷら
⇒お酒を挙げる人は初めてだ。「ビール」は即答、寿司と天ぷらは「しいていうなら…」というテンションだった。なぜ数あるお酒の中でビール?と聞くと「毎日呑めるじゃない」とのこと。生粋の酒豪である。

Tさん:エビフライ、ハンバーグ、寿司
⇒同僚たちから「お子様ランチじゃないですか」と弄られ、ご本人も「子ども舌なんだよな」と笑っていた。

🍰

20人に聞いてみて、「寿司」「麻婆豆腐」「カレー」の支持率の高さに驚く。「寿司」「カレー」はともかく、「麻婆豆腐」がここまで人気とは思わなかった。そして全体的に「和食」「中華」が人気だ。

意外なことに「ラーメン」がゼロ。大学の近くにラーメン激戦区があって、友人たちともしょっちゅう行ったし、みんなそれぞれ「推しのラーメン屋」があった。ラーメンは重たく感じる年になったからかしら…?

また、「ピザ」や「パスタ」を挙げた人は一人もいなかった。友人と外食するとき、居酒屋以外だとイタリアンやビストロになることが多いのだが、「あれっ意外とみんな中華とかおばんざいのほうが好き…?!」という発見。(※和食は家で作れるから外食ではイタリアンやビストロへ…というケースも多いと思うが)

エスニック系やパンを挙げた人もいない。一方で「白米」は2人いる。面白い。食の欧米化が進んだといわれるが、好物3つには「ごはんもの」「魚」を挙げる人が多い事実。

統計的に有効なデータが得られるわけではないが、とにかくこの質問は楽しい。大体の人は食べることやおいしいものが好きなので、30分くらいは盛り上がる。そして何より、おいしいものを語る人の表情を見ているとこちらまで幸せな気分になってくる。これからも、親しい人に会うたびにこの質問をさせていただこうと思う。

私の癖にお付き合いいただいた友人各位に、改めて感謝である。

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