温泉施設で踏んだものと老いとの話


たまにいく某日帰り温泉。
ホテルに併設していて、いつも混んでなくて、
ゆったり入浴したり岩盤浴したりごはん食べて寛いだりできるので良い。

ある日、
脱衣所のトイレに入ったら
二室のうちの手前は使用中で、私は奥に入った。
そして、用を足して
個室から出て手を洗ってトイレスリッパを脱いで、いざドアを開けたら

「ぐにゅっ」という感触のモノを踏んだ。

まさか?!
いや、足元を見ると
靴下の裏にうんちがついてる……!!!
入口近くの個室の床に擦り付けたような跡が見える…隣に入っていた人の落としものだ。

すぐに靴下を脱いでうんちをさっと洗い流し、
そして躊躇したが被害者を増やさぬように、床に残っている固形物を手拭き用の紙で拭き取り、
急いで施設の人に連絡したあと、
洗面台に行き、靴下を石鹸でできる限り洗い流した。

そうこうしているうちにお掃除の人が来て、丁寧に後始末をしてくださっていた。
私、指差しながら「ありがとうございます。ココに落ちてたんですよ。拭いてあちらのゴミ箱に捨ててるのでよろしくお願いします」
お掃除の人、曇り顔「午前中はお年寄りが多いからですねえ…」とポツリ

見渡すと小さなこども客はいないし、ほぼお年寄りの客ばかりである。
自分の排泄の始末も、もはや出来てなくても、ひとりで温泉来れたんかな。ちゃんと洗って入れたかな…

ココの温泉、高齢者には市からの補助でお安く入れる制度があるらしくて、
昼間はお年寄りの憩いの場になっている。駅からの送迎車もあるし便利なのだ。
ひとりで外出できて、顔見知りと交流できる、いいことだよね。

いずれ自分も年をとる。
誰かの助けを借りるだろうし、誰かの迷惑になることもある。
そうなるまでは、
寛容でいよう、見えないところで助けよう、
などと思った