【小説】夜10時23分
両親は優しい人たちだと思う。家族にご飯を食べさせるために働き、時間通りにご飯を作り、掃除も洗濯もちゃんと毎日する。わたしが手伝おうとすると、
「いいよいいよ」
と、言って笑う。それでも何もしないのは居心地が悪いので、両親が家にいない時や、わたしが彼らの視界に入っていない時に、こっそり掃除機をかけたりお皿を洗ったりして、あとで
「やっといたよ」
と、声をかけると、彼らはまた笑って、ありがとう、と言う。いいよ、と断られても、無理やり仕事を見つけて、やる。こうやってわたしは、この