体内に化学薬品がばら撒かれる事態
体内に化学薬品がばら撒かれるケースについて最近経験しました。
医者だとみんな知っていますが、
生体の性質を表す現象として紹介します。
体内にあるものは、基本的には毒ではありませんが、そのまま剥き出しで存在すると困るものも多いです。
例えば、細胞には細胞内小器官と言って、有名なのはミトコンドリアですが、
他にもリソソームと言って、酸性になっていたり、
ペルオキシソームと言って、内部に活性酸素を発生させる酵素があるものもあります。
これらは、そのままだと、細胞の構造を壊してしまうので、膜に包まれて厳重に管理されています。
臓器レベルでも見られます。
正常な様子ではないのですが、
子宮内膜症という病気があります。
子宮には受精卵の着床に必要な、布団として子宮内膜というものがあります。
これは、ホルモンの影響によって厚くなってやがて脱落したりします、この時出血を伴います。つまり月経ですね。
この子宮内膜の組織が、別のところにできてしまうと、ホルモンの影響により出血したりします。
大体は、膜でできた袋状になって卵巣にできることがあります。
これを子宮内膜症性嚢胞と言います。
ちなみに別なところというと、どこでも?と思われるかもしれませんが、肺にもできたりします。
なんかのきっかけで、破裂することがあります。
大体は、お腹の下の方に痛みが走り、炎症が起きます。
なぜ炎症が起きるかというと、嚢胞の中には、ホルモンの影響によって、月経のような出血が蓄積されており、内部は血の塊のようになっています。
破裂すると、中身が周りの組織にとっては化学薬品のように作用し、炎症を引き起こすんですね。
https://doctorsfile.jp/medication/430/
他にも、胃酸が肺の中に入って、炎症を引き起こし、肺炎となってしまうケースもあります。
これも、化学性肺炎という名前がついていまして、生体が作り出した物質による炎症ということになります。
(高齢者の誤嚥性肺炎で多いです)ちなみに、詳しい方はご存知の人もいると思いますが、メンデルソン症候群と同義です。
前者は、子宮の中では通常見られる出血、後者は胃の中では消化に使われる胃酸とどちらも生体に必要なものですが、
適切な範囲に隔離されている時だけ機能し、別の場所にうつされると、組織を破壊してしまうケースですね。
このような仕組みのため、生体の区分(解剖、組織)が設計されてくるということですね。