下駄で歩くとわかる歩行の原点

下駄で歩けるかで、歩行が自然かどうかのチェックすることができます。

下駄で歩けなくなった経験から歩行に目覚めた話を紹介します。

友人と平日の夜、着物でレストランで食事をしようということになり、

和服は持っていましたが、プラスチックの安い雪駄だったので、下駄をはきましたが、

なんと10mくらいで靴擦れが酷すぎて歩けなくなりました。


歩行は、細かいフェーズに分けると、筋や腱の作用がたくさんあります。

大雑把にいうと、かかとが地面に設置して、足を中心に、足全体が棒のようになって、振子運動をします。
左右の下肢は、交互に振子運動を繰り返すことで、体全体が上下して、位置エネルギーを蓄積して、放出(前方方向の推進の運動エネルギーに変わる)し、前に進むようになっています。


https://www.ayumieye.com/reverse-pendulum/

足の形も歩行に最適化されていて、衝撃をうまく吸収し、効果的に前に蹴り出すことができるようになっています。
(専門家向けとして、アーチ構造やウインドラス効果)

下肢が接地して、体が前に進むと、接地した下肢は後ろに置かれている構図になります。
こうなると、股関節は後ろに伸びる(伸展)ので、大腿骨の内側について、腰椎と橋渡ししている腸腰筋という筋肉や腱が伸ばされるので、後ろ足が地面から離れた瞬間に前に蹴り出しが起こります。

このようなシステムによって、かなり効率的に前に進むことができます。

かなり効率的と言いましたが、エネルギーのロスがわずか、つまり、推進するのにわずかなエネルギーしか生じないため、めちゃくちゃ燃費が良くなっています。

ただ、素人は見た目にはわかりづらいですが、歩行の実態がこのようになっていない人も多いです。

下肢の蹴り出しは、筋肉や靭帯のばねで起こるものですが、
下肢前面の筋肉を使って、ヨイショっと足を持ち上げ、前に進める人も多いです。

こうなると振子運動のような軌道を描く前後方向への自然な蹴り出しが起きにくくなり、
泥の中を進むみたいに、足を上げて一歩を踏み出すようになります。

また、足の蹴り出しは、足全体が固くなることで、地面を蹴る床反力で後ろへの推進力を生み出します。

足全体の固さ(アーチの硬さ)がなく扁平足だと、後ろへの推進力も乏しくなります。

足を上げることによる鼻緒の靴ずれと
推進力をうまく使えないことで、なおさらこの悪循環が助長されていきます。
で、歩けなくなりました。
家から出て10mで立ち往生して、帰宅することにしました。

最初に下駄での歩き方を教えてくれたのは、パーソナルトレーナーでしたが、

重心が先行してその結果として足がついてくるような感覚になり、

特に最後は親ゆびの付け根が地面に引っかかって押し出される感触があります。
重心は、親ゆびの線上に流れていくようになります。

こういう歩き方に変えた直後から、歩行速度、歩幅がどっちも増大しました。
さらに、エネルギー効率が良くなり、歩くのが速くなったのに楽になりました。

その後、歩行と足の作用を勉強し始めて実践しました。また別の機会に紹介しますが、その過程で、扁平足を治しました

下駄は、もう一ついいことがありました。

スニーカーと違って、クッションがないので、下駄の板を介して、地面の反力を最大に使えます。
この感覚が自分にとって、歩行の学習につながりました。

自分の体にとって最も自然な歩行に変えると、全く楽に早く歩けます。