危機に怯える精神科医と恐怖を感じない小説家②


「考えるべきことをすべて考え、やるべきことをすべてやったあとは、なにが起きようが、だれにもどうにもできない。びくびくするな。」

三体2 黒倉森林 上

揺さぶられた時に人は本性がでます。

新型コロナウイルス感染症を目の前にして動じなかった小説家の言葉を振り返り、今後さらにこれを超える脅威があったとしても、平然と幸せに暮らせるヒントを学びましょう。

コロナ禍で医療関係者も、くっきり別れました。
政府に、社会に、一般の人々に文句ばっかり発信し、人々にこうあるべきだと触れ回る人間の一方で、
率先して最前線に向かう人間もいました。

ある病院の外科出身の院長は、若い医者を差し置いて、新型コロナウイルス患者はすべて自分が診療するといいだし、実際そうしていました。

また、あるクリニックの耳鼻科医は、クリニック内を直ちに市販の空調で改造し、気流の速度まで測って、拡散しないことを確認したあと、積極的に患者を受け入れました。

ここでは、一般の方の反応で僕がとても参考にした記事を紹介しましょう。
紹介するのは、「深夜特急」という小説を書いた、沢木耕太郎さんのインタビューです。


「とても規則正しい生活ですよ。(中略)この3月以前から、ずっと同じ作業を繰り返していました。そこに、『旅』がなかったというだけ。日常は、何も変わらなかったですね」

https://news.yahoo.co.jp/articles/415bac348e6a69316ecc903f17dc363ee6e40448

新型コロナウイルスに関して、

「語弊があるかもしれませんが、ごくごくシンプルに、大したことではないんじゃないかなと思う。僕たちのように高齢だったり、もともとハンディを抱えている人が肺炎になったら重症化するのは、実は当たり前のことですよね。仮に僕が、この新型ウイルスにかかってしまい、重症化して死ぬことがあったとしても、それは病気に『縁』があっただけだと思うわけです。もちろん、罹患を避ける努力や、人に何か迷惑をかけないように心がけるのは大切なことだと思うけれども、生活のすべてを変えようという気には全然ならない。それでも、もしかかってしまったとしたら、ちょっと予定よりは早いかもしれないけど、70代までは生きることができたし、人生を十分楽しませてもらったんだから、何の文句もありません。だから、何か世界はすべて変わって生き方を変えなければ、というような話になると……そういう人がいたって構わないけど……、僕はタイプが違う、それだけのことかなと思います」

https://news.yahoo.co.jp/articles/415bac348e6a69316ecc903f17dc363ee6e40448

要約すると、今までと変わらない生活だし、別にいつ死んでも構わないくらい楽しんで生きてきたというコメントです。

①であげた医者と正反対です。

非常事態であっても、今までと変わらないんです。
今までと変わらないから、逆にその人の生き方というか、良くも悪くも魂みたいなのが見えますよね。

ちなみに僕は新型コロナウイルスが蔓延している時、インフルエンザを何十人も診療していておそらく感染していたと思うが、数ヶ月ずっと感冒状態だった時もあるし、腸炎をもらった時もあったし、医療者が感染症にかかるのは普通のことと思っていました。

慌てふためく人の姿から、普段から生き方に手を抜いている人間が、ひっぺがえされただけということがわかるでしょう。
ちなみに、デブ医者と違って、沢木耕太郎さんは体型も理想的です。

日々、人生とは何か、幸せとは何かと向き合って生きているのでしょう、そうすると自然と明日死んでもおかしくないと気づくんではないでしょうか、今の僕も全く同感です。

非常時に参考になるのは、動じない人間の後ろ姿です。

その時、だれがなにをしたのか、記憶に留めるべきですし、

小説家のコメントは、新型コロナウイルスが蔓延したからこそ、今までどうやって生きてきたか、本当の話を聞ける貴重な機会だったと思います。