差別を減らす新しい技術
VR空間でアバターにどんなキャラを使うかによって、自分自身の感じ方が変化することが知られています。
スタンフォード大学のニック・イーとジェレミー・ベイレンソンが提唱したのもので、プロテウス効果と呼ばれています。
https://www.miraimanagement.co.jp/mmedia/personneltraining-keyword/【プロテウス効果(心理学用語)】
例えば、アバターに美人を割り当てると、自己開示が積極的になり、人に近づくようになったり、
大きなキャラを割り当てると、交渉ゲームにおいて強引に振る舞ったりすることがわかっています。
自己肯定感とは、元々の性格意外にも、見かけによって大きくもなり、小さくもなったりするのかもしれませんね。
確かにめちゃくちゃ美人で、全く自分に自信がないという人も少ないように思います。
面白い使い方として、むくみが強い患者に対して、四肢が細いアバターを使うと、痛みが和らぐ人がいるといいます。
自分の中のイメージで痛みすら変わるとは面白いですね。
また、アルバートアインシュタインのアバターを使った場合、認知課題の成績が良くなるそうです。
ある実験で、カウンセラーと患者の体を相互に行き来できるという設定をすると、被験者が自分の個人的な問題を、自分で自分のカウンセリングをすることが可能になったとのことです。
つまり、自分がどういう人物であるかという思い込みにより、実際の能力が近づいていくということですね。
そうなると、自分の持っているポテンシャルとは一体なんなんでしょうね。それすらも思い込みの可能性もありますね。
僕が最も驚いたのは、
アバターを色の濃い肌の人間にすると、人種的な偏見が軽減されるそうで、その後1週間を過ぎても、その傾向は維持されたことです。
人の立場を疑似体験できるので、客観化されるみたいなことが起きるのでしょうかね。
僕は正直、差別や偏見ってずっと無くならないと思っていました。
政治信条・宗教、人種など、21世紀の今でも、それぞれの意見の違いで、罵りあう光景を見ると、自分の一旦信じたものを覆すのは、事実上無理と思っていました。
でも、アバターを変えることで、強力な偏見、信条をも変えることができるということは、
人間社会で最も調整が難しいものの一つである、固定された人の意見を変えることができるかもしれないわけです。
私たちが信じている考え方、ものの見方は、自分のうちなるものからだけ生まれるわけではなく、
外見を通して、逆向きに形作られているかもしれないという、脳の仕組みの不思議さが垣間見れました。