医師から見て歯科の薬処方、検査はまとも?

THP(トータルヘルスプログラム)と題した歯周病予防のプログラムが自費医療としてあるそうです。
プログラムの中には、よくわからない検査、投薬があります。
調べた限りではエビデンスが見当たりませんでした。まともでしょうか?歯科医の方で、知見をお持ちでしたら教えてください。

THP(トータルヘルスプログラム)とは歯周病リスクを極限まで低減するものだそうです
歯周病菌による全身疾患の予防ということを謳っています。
例えば
https://www.thp-network.com/wp-content/uploads/2022/06/2022.5-THPpdf_compressed.pdf

歯科衛生士による、プラーク、バイオフィルムの除去、これはわかります。というか今でも歯科でやっています。

ただし、中に見過ごせない項目があります。

全身に散らばった歯周病菌を抗生剤(ジスロマック)の投与により、対処するそうです。

歯周囲炎に対する抗生剤の使用はガイドラインにも文献にも書いてあります。
外科処置との併用や、
歯科治療を行った時、血液を介して全身に細菌がばら撒かれることがあり、特にハイリスクの病気を持っている人だと、全身の細菌感染症になってしまい、危険なことになるので、
予防投与する時もあるそうです。(専門家へ 感染性心内膜炎などです)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31607436/
https://maruyamahosp.jp/column/1796/
https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_antibiotic_2020.pdf
基本的に予防のための抗生剤投与は、かなり限定的です。(開腹手術の際など)
無闇に投与すると、薬剤に対して抵抗を獲得し、生き残ってくる細菌が生まれるので、
後々の別の感染症になった時、抗生剤の効かない菌になっていることがあったりして、治療が極めて難しくなることがあったり、
耐性を獲得した菌が他の人にうつって、貴重な抗生剤が使えなくなり、社会全体として困るからです。

しかし、歯周病予防のための投与は、少なくとも僕の抗菌薬の知識にはありませんでした。したがって、pubmedを探したのですが、エビデンスも見当たりませんでした。(あったら教えてください。)
僕の教科書にも載っていません。

その科学的な効果や代償はちゃんとチェックされていると思って大丈夫でしょうか?まさか、評価していない、なんてことはないでしょうね。

健康な人に投与していい薬剤は極めて限られていますが。

さらに、血糖値測定なんてものも入っています。
血糖値が高いと、傷が治りにくいからだそうです

糖尿病(血糖値が高くなる病気)だと確かに傷の治りは悪いです。
まさか、血糖値が少し高めだから、傷の治りが悪いみたいないい加減な話ではないと思います。
だとすると、糖尿病の診断をしているということでしょうか?
ちなみに、全身疾患の診断は、歯科医業を超えています。

検査して、どうするんでしょうか。

このプログラムを紹介するホームページの一つでは、利用者の事例が載っており、一般的な年齢ごとの残存歯牙数のグラフ(プログラムとは関係のない疫学調査。歯を大切にしましょうという文脈で提示されている)以外に、肝心の効果を表すデータが見当たりません。
口腔内細菌の減少はエンドポイント(本当の効果)ではないと思います。名前的にも。

プログラムの中で、こうもはっきりしない説明ばかりだと、全体としての効果や副作用については十分考慮されているのかと思ってしまいます。