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長秒時ノイズ低減とは何か。
いろいろと考えあぐねた結果、10分以上の長秒露光撮影をして作品づくりすることがあります。個人的に超長秒時撮影と呼んでいます。長秒時ノイズ低減という機能をオンにすると、撮影後に処理時間を食います。ちょっと調べてみたので、実際の写真とともに説明したいと思います。
長秒時ノイズとは
まずはじめに長秒時ノイズの実際例をご覧ください。13分ほど露光した海辺の写真です。これにノイズが乗っています。・・・といっても分からないですよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1700972516755-hNlyVImfi9.jpg?width=1200)
この画像の真ん中の岩の右側を1画素が区別できるくらいに拡大します。すると白や赤い点々が見え、これがノイズです。目立つものに赤丸をしました。この点々が写真全体に発生しています。ごみでは無いです。ちなみに、D800Eは有効36.3万画素で、縦方向4,912ピクセル、横方向7,360ピクセルなのでかなり拡大しないと見えません。
![](https://assets.st-note.com/img/1700973013377-N9Xx7UOD41.png?width=1200)
なお、胸を張って言えますが、筆者の作品作りにとってこんな細かいノイズは問題になりません。笑
長秒時ノイズ低減とは
各メーカーの呼び名ですが、以下の名前になっているようです。
・ニコン 長秒時ノイズ低減
・キヤノン 長秒時露光のノイズ低減
・ソニー 長秒時NR(静止画)
・富士フィルム 長秒時ノイズ低減
・パナソニック 長秒ノイズ除去
※毎度のことながら、ニコンベースで説明していきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1700983602919-i9x3BnwFIn.png?width=1200)
「長秒時ノイズ低減」についてZ8活用ガイドの言葉を借ります。
[ON]に設定すると、シャッタースピードが1秒より低速になった場合に発生する長秒時ノイズ(むら、輝点)を低減します。
ちなみにD800のマニュアルだと長秒時ノイズ(ざらつき、むら、輝点)となっています。これは機能が増減しているというより言葉遊びですかね。なお、高感度ノイズ低減という設定もありますが、本件とは別物です。
活用ガイドにはさらに以下の説明があります。
長秒時ノイズ低減処理は、撮影後に行われます。処理中は、表示パネルにJob NRが点滅し、撮影画面に[ノイズ低減処理中]と表示されます。この表示が消えるまで、撮影はできません。長秒時ノイズの低減処理を行う場合、画像を記録するまでの時間は、長秒時ノイズ低減を行わない場合の約2倍になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1700972109532-wUOrTpxjYL.png?width=1200)
後半部分の説明が分かりにくいです。次のように理解しています。詳しくは後ほど説明します。
長秒時ノイズ低減処理は撮影秒時と同じ時間だけ処理時間を要します。つまり、ノイズ低減しなかった場合に比べて2倍の撮影時間(撮影自体の時間と処理時間)を要します。
あと一つ注意したいのが、処理中は電源を切ってはいけないことです。筆者も待てなくて、電源切ったことが何度もありますが、その場合はノイズ低減の処理がされません。
処理中に電源をOFFにすると、処理は行われず、長秒時ノイズの低減処理を行う前の画像が保存されます。
長秒時ノイズと処理方法
少し技術的な話です。ネットをさまよった結果です。推測含みます。
長秒時ノイズとは、撮像素子の特性で発生するノイズであり、暗電流ノイズと呼ばれます。撮像素子が高温になるほど、つまり撮像時間が長くなるほど発生するノイズと言えます。
暗電流ノイズとは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサといった固体撮像素子において、予測不能な熱雑音により発生した、暗電流に起因するノイズである。暗電流ノイズの画像上での特徴には複数のパターンがあるが、一般的に色を帯びたもやのようなノイズとして現れ、その程度は露光時間と温度に依存する。
また、長秒時ノイズ低減はダーク補正という手法を用いています。
ダーク補正はその発生具合が露光時間、温度に依存する性質を利用して暗電流ノイズを補正するもので、具体的には、まず画像を撮影直後、同じ露光時間で遮光空間を撮影して暗電流ノイズを取得。そして元の画像からそのノイズデータを減算して補正する。
以上の通り、写真撮影後に自動でダミー画像を撮ってノイズを推定、差し引くことでノイズ処理しているようです。撮影後の処理はおそらくシャッター幕を閉じた暗い状態でダミー画像を撮影している時間が大半だと思われま
す。なるほど、以下のイラストのようにイメージしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1700991601783-FK92tTSxUq.png)
【実験】ノイズ処理の有無比較
処理の有無での比較をしてみましょう。分かりやすいように真っ暗な画像を3枚撮ってみました。
①Nikon D800E, f/11, 約13分(785.6秒), ISO100, ノイズ低減オフ
②Nikon D800E, f/11, 約13分(785.1秒), ISO100, ノイズ低減オフ
③Nikon D800E, f/11, 約13分(802.5秒), ISO100, ノイズ低減オン
①と②で同条件でのノイズの変化、③で低減処理の効果を見たいと思います。①②の順で撮影したので、厳密には②の方がセンサー温度が高いです。Lrcの800%表示で画像を見てみましょう。
①と②ではおおよそ同じ位置にノイズが確認されます。黄緑、青、赤、白と様々な色があって面白いですね。CMOSのベイヤー配列と色は関係あるのか気になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1700982497979-14DwTcsIXe.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1700982521921-x0fscVu1W4.png?width=1200)
次に③ノイズ低減オンの場合です。見事にノイズがなくなり真っ黒です。
![](https://assets.st-note.com/img/1700982672410-BLQFvhEGW3.png?width=1200)
もうちょっとオーバーにして、見ると顕著です。各画像のトーンカーブを一定量狭めて、輝点を目立たせました。
![](https://assets.st-note.com/img/1700984404101-Fjg1Pox685.png?width=1200)
このように長秒時ノイズ低減はきちんと効果があります。
まとめ
撮影者視点でこの記事をまとめますと、
撮影条件によるが、長秒時ノイズは簡単には確認できないほど小さいノイズ現象。作品によっては、ノイズ低減処理が重要でない場合もある。
長秒時ノイズ低減を処理するためには、撮影時と同等の秒時の処理時間を要する。また、処理中にカメラ電源を切ってはいけない。
以上、長秒時ノイズと低減処理についてでした。
最後に
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