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[読書記録] これは日本語か

あの『ラガナ一家のニッポン日記』の著者が、大学生へのアンケートをもとに、現代日本語文法と国語教育の課題を愛惜こめて提起する感動的な本格日本語論。

Amazonより抜粋

[2008-05-24]
外国人による日本語の話はいつ読んでも面白いですね。

この本は、20年以上前と少し古い本なのですが、大学生への日本語のアンケートを元に、日本語文法と国語教育の課題について書いてあります。このアンケートの答がバラエティに富んでいるという部分が、『日本語には規範となる文章がない・または教えないので乱れているのかどうか』について書いてあって、非常に興味深かったです。

日本語は特異だというのが一般的な認識ですが、確かに西洋の言葉と文法体系が大きく違うため、日本に居住する西洋人の多くが日本語を満足に使いこなせず、また何言語を話せる人でも、新聞や雑誌などを読まず、書き言葉を全く無視したまま、ただ周囲の人の話を聞くだけで正確に話せるようになるのは難しい、とこの著者は言っています。

また、世界の先進国の言語と違って、起源・系統が明らかにされていないということが、日本語の特異な点だと書いてあります。でも、先進国に限定する必要はないかなと思います。そして、他の言語に似ている点もたくさんあり、例えば、細かい敬語表現があるのは日本語だけではないそうです。

言語学の授業で、言語学者は各人が使う文法が正しいかどうかの判断はしないとか、言葉は常に変わるものであり、その過程で「言葉が乱れている」という論争が起こると教授が言っていましたが、それでも、国が規範文法となるものをしっかり教えないために、アンケートの解答がこれだけバラエティに富んでいるのであれば、国の言語である日本語の教育について、もう少し考えていく必要があるかと思います。

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