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ウクライナ政府関係者による瓦礫処理の研修を受け入れました
2024年1月29日。
朝早くからウクライナ国旗を片手に、日工社員は走り回っていました。
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この日は、JICAが企画する「ウクライナ政府関係者向け瓦礫処理研修」の
受け入れ日。
実は日工は、日本政府のODAを通してウクライナ政府にKLEEMANN社製自走式破砕機とスクリーンを合計15台提供することが決まっています。
ウクライナでは戦争で発生した莫大な量の瓦礫処理が課題になっており、
破砕機が必要なのです。
▼破砕機の引き渡しの様子を報じる現地メディア
「提供された破砕機を効果的に使っていくために、日本のゲンバを見て、運用方法を学びたい」
こんなリクエストがあり、千葉県柏市でアスファルト合材工場と中間処理工場を運営する東京石油興業株式会社様のご協力のもと、ウクライナ政府関係者による視察団(以下、ウクライナ視察団)の研修対応にあたることとなりました。
研修内容について
研修の主目的とは?
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今回の研修の主目的は以下、2つです。
①自走式破砕機の実機見学、オペレーション方法の確認
②瓦礫(アスファルト廃材、コンクリート廃材)のリサイクルに関する知見の獲得
ウクライナ視察団にご見学いただいた東京石油興業株式会社様ではアスファルト合材工場の他に、アスファルト廃材、コンクリート廃材を処理する中間処理工場を運営しており、中間処理工場において日工が国内総代理店を務めるドイツ・KLEEMANNの破砕機が稼働しております。
これらの廃材を破砕・篩い分け処理をした後、どのように活用しているのか?
廃材処理のフローと工場の概要について、東京石油興業株式会社様よりご説明いただきました。
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①アスファルト廃材(道路工事で発生したアスファルト塊)
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破砕機&スクリーンで処理された後、アスファルト合材工場へ運ばれ、いろんな処理を加えたあと、再生アスファルト合材としてもう一度道路に還ります。
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(豆知識)
道路舗装に使われているアスファルト合材は、ほぼ100%リサイクルされています🌟
アスファルト合材のリサイクルは諸外国よりかなり進んでおり、日工はこのリサイクル処理の技術を得意としています(^O^)
②コンクリート廃材(解体工事等で発生したコンクリ塊)
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破砕、篩い分けの処理をした後、再生骨材(建設資材)として建設会社に販売します。主に路盤材として使われております。
戦争や災害などでインフラがダメージを受けた際、自走式破砕機を現場に持っていけば、災害ガレキを処理しつつ路盤材を生産できるという一石二鳥な使い方ができます🌟
このように、廃材(瓦礫)を処理してインフラ材料としてリサイクルする
技術や知見をウクライナ視察団の方々にも学んでいただきました。
実機見学の様子
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座学を終えると、予め用意しておいたヘルメット、つなぎ、安全靴、さらにはトランシーバーも身に着けていただき、いざ工場へ。
お天気にも恵まれ、1月にしては気温も高く見学日和だったかと思います。
アスファルト廃材の処理ライン、コンクリート廃材の処理ラインの順で見学を行いました。
東京石油興業株式会社様はもともと定置式破砕設備をお使いでしたが、最近KLEEMANN製品(自走式)に更新いただき、効率アップにつながったそうです◎
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プラントのフロー、廃材や製品について実物を見ながら学んでいただきました。
東京石油興業株式会社様にお使いいただいている破砕機と同じ機種を日工からウクライナに提供するため、機械の運転方法についてもご案内しました。
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アクティオ様にハツリロボットの展示もご協力いただきました。
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質疑応答、視察団コメント紹介
見学終了後、会議室に戻り質疑応答タイムとなりました。
約30分の時間を設けましたが、時間いっぱいまで積極的な質問がなされました。
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質問の一例
Q:機械はいつも何名体制で動かしているのか?
Q:材料の投入はだれが行っているのか?
Q:連続で最大何時間稼働できるのか?
Q:1時間あたりの処理能力は?
Q:燃費、ランニングコストは?
このようにオペレーションに関する質問や、機械のスペックに関する質問が多く、これからウクライナで運用されるのだなぁと実感が湧きました。
最後に、視察団の一員であるオデーサ市議会経済開発部 部長 ロゾフ・アンドリイ氏にコメントを頂戴しました。
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戦争による爆撃が今でも続いており、人々が住んでいるコンクリートの建物など、25万戸が破壊されており瓦礫が増え続けている。
今日の見学会は、まさにそのような瓦礫処理に役に立つと考えており、JICA、及び、日本政府の支援に大変感謝している。
今回の見学で印象的なのは、アスファルト瓦礫をアスファルト合材の材料として再利用する等、廃棄物をインフラの材料に活用していること。
また、KLEEMANN製品の1時間あたりの処理能力を聞いて、これならスムーズな瓦礫処理ができると確信した。
毎日増え続ける瓦礫の処理は、普通の方法じゃ間に合わない。
日本は東日本大震災を経験しており、大量の瓦礫処理の知見や高い技術レベルを保有しているので今後の研修でも最先端の瓦礫処理の方法を学べることを期待している。
※要約 視察団はこのあと東北を訪問
この他にも、前線に近い都市では毎日のように砲撃や空爆などさまざまな攻撃を受けて本当に深刻な状況であるとのお話もいただき、心が痛かったです。
今回の研修および提供した破砕機がウクライナの復興に少しでも役立つことを祈っています。
(終)
ライター:SO
写真:東京石油興業株式会社様ご提供