見出し画像

サポート、観光、キッズ……タクシーの可能性は無限大【サポートタクシー乗務員インタビュー】

ご乗車ありがとうございます。
日本交通(株)新卒採用担当です。

今回は当社のサポートタクシー乗務員さんへのインタビュー記事です。
当社の『サポートタクシー』とは、車いすユーザーのお客様やご高齢のお客様の日々のご移動をサポートするサービスのこと。

お話を聞いたのは東洋交通の秋山さんです。車いすユーザーの中学生のお子様とそのお父様の東京観光の送迎を担当し、社内報に掲載されました。これは、サポートの業務範囲である車いすユーザーのご移動サポートに加えて、キッズ・観光と、当社のEDS(エキスパート・ドライバー・サービス)®すべてにまたがる仕事をした点が、社内で評価されたためです。

今回は、社内報に掲載した内容をさらにブラッシュアップしてお届けします。サポートタクシーの仕事内容ややりがいも含め、ぜひ当社以外の方にもこの仕事の魅力を幅広く知っていただきたいと思います。

日本交通のサポートタクシーとは?
ご高齢の方やお身体の不自由な方の、
・通院のお付き添い
・お買い物のお手伝い などを行う。
→通常のタクシーではカバー出来ない部分をサポート
・乗務員は介護職員初任研修やサービス介助士の資格を取得

お話を聞いた人

秋山英輝さん
所属 東洋交通
入社 2002年10月(乗務歴22年目)

乗り物好きな男の子のための1日観光コースを考案

【当日の観光プラン:予定5時間→延長後8時間】
宿泊先ホテル
↓ 道中、観光説明
警察博物館(中央区京橋3-5-1)
↓ 道中、警視庁・首相官邸を見る
バスタ新宿(渋谷区千駄ヶ谷5-24-55)
↓ 都庁・歌舞伎町を経由
消防防災博物館(新宿区四谷3-10)
↓ 東京駅で記念撮影
宿泊先ホテル

①警察博物館と本物の警察車両を見学

当日初めて会ったお客様のあつのぶ君は「おはようございます。よろしくお願いいたします」と元気に挨拶してくれました。今日の東京観光をとても楽しみにしていたとのこと。

最初の目的地である警察博物館では、パトカーの前で記念撮影をして、あとは入口で館内のご説明をした後、お父様と2人で中を見学していただきました。あつのぶ君、お目当てのお土産が売り切れで、私がおすすめしたピーポ君のキーホルダーを買ってきて「かわいいの買えたよ~」と喜んでいるのがとても印象的でした。

そして、実は怪しい車も大好きなあつのぶ君、大好きな覆面パトカーを警視庁を周りながら一緒に探したのですが、残念ながら発見できませんでした。覆面だけに発見するのは容易ではありません。私自身がもう少し怪しい走り方をしながら警視庁を周回すれば中から出撃してきたかもしれませんが、そこまでサービスする勇気は私にはありませんでした(笑)。

でも、首相官邸の前で沢山の警備車両を見た時は「すごーい」ととても喜んでいたので、私も嬉しかったです。あつのぶ君がスマホで官邸前の警備車両の写真をたくさん撮っていて、その時は岸田総理(当時)と官邸警備隊の皆様に、警備車両たくさんありがとうと感謝しました(笑)。

②バスタ新宿でバス見学

麹町を通過している時、あつのぶ君が「早くたくさんバスが走っているとこ、見たい」との事だったので、当初の予定を変更して消防博物館より先にバスタ新宿をご案内する事にしました。

走ってくるバスが見れるポイントをご案内したのですが、たくさん出入りするバスを見て、とても興奮している様子でした。私も童心に戻って、1日に1000台以上のバスが通るんだぞ!スゲーなー!と一緒に興奮して見てました。また「一番遠いとこから来たバスはどこからだった?」など会話を途切れさせない事も観光案内ではすごく大事です。

一緒に見ていて初めてわかったのですが、バスタ新宿ってバスが好きな子供にはたまらない場所だと思います。目の前を沢山のバスがすごい迫力で突進してくるんですよ。普段はただの大きなバスターミナルとしか思っていなかったのですが、一緒に観光していて、今まで気がつかなかった新たな発見があるのも、この仕事のとても面白いところですね。

③新宿~東京の街並み

その後は都庁の車寄せに止めて車内から「ここにプロジェクションマッピングでゴシラが来たんだよ~!」と小学生レベルのご案内でしたが「見てみたいです!」と興味津々。

歌舞伎町では、独特の雰囲気にあつのぶ君とても興奮していました。お父様も、歌舞伎町の中に区役所があるのを見て驚かれていましたね。私的にはご案内していてお二人の目が点になっている様子を見るのが楽しかったです。

お父様が道中、東京タワーと東京駅も見てみたいとおっしゃられて、東京駅はご覧いただけて記念写真をお撮りする事もできたのですが、私が得意の東京タワーは時間的に無理だったのが悔やまれました。最終的に浅草でご家族との合流場所までご案内して終了となりました。

暑さのせいもあり、最後はペースがどことなく落ちてしまいましたが、とにかく自分自身もご案内していて楽しくてとても勉強になりましたし、あつのぶ君がお別れの時「色々見れたしとても楽しかった~! ありがとうございます」と最後に言ってくれたのがとても嬉しかったです。自分も楽しかったのだからそりゃ楽しかったでしょ! ご対応完了した後は、EDSってなんか楽しいね!と1人ですごい達成感に包まれてました(笑)

東京タワー(時間があればご案内したかった)

今回のご依頼に対しての準備

今回のご依頼は、車いすユーザーの男の子のサポートに加え、お父様と「都内を色々観光したい」とのご要望でした。

ご対応するにあたり、事前に知ることができた情報は「乗り物が大好き」な事だけでした。お父様に事前にご挨拶をした時は、見たいところが「警察博物館」「消防博物館」、あと子供がバスが好きなので「バスタ新宿」も見たい。5時間くらいでコースはお任せで、とのことでした。

ところが「警察博物館」「消防博物館」は場所がわかっている程度で、私自身、見学した事すらありませんでした。しかし、ご案内する以上はしっかり勉強しておかねば!となりますよね。

そこで、実際に仕事の明けの日にご案内するコースの下見に行きました。まず、男の子がジャパンタクシーに車椅子ごと乗車いただくので、目的地に着く都度、乗り降りのためのスロープを設置しなくてはいけません。近隣の駐車場の場所や道路の状況を確認しますが、都内で停車出来る場所は大抵ガードレールや植込み等があります。

スロープ設置可能箇所を確認

車両の後方から乗降する福祉専用車両と違い、車両の横にスロープを設置するジャパンタクシーの場合は、スロープ設置場所や駐車場の横幅スペース等、現地の状況を事前に確認しておく事がスムーズにご案内するためにも非常に重要です。

消防博物館の下見

そして、実際に博物館の中も見学して、バリアフリーの状況やエレベーターの基数の確認、車椅子のお客様の立場になって館内を見学するのにどのくらいの時間がかかるのかイメージしながら、実際に自分の目で見てご案内するコースを、自ら体験しておきました。

車椅子のお客様の立場、観光客の目線になって、自分だったらどんな事をしてほしいか、トイレの場所やご案内する内容等、現地を見ておかないとわからない事もたくさんあります。

エレベーター内の下見

警察博物館では入口のパトカーの前で、消防博物館では消防ヘリコプターの前で記念撮影をしたのですが、映える写真が撮れる場所も下見の時に決めていて、スムーズに記念撮影に入ることができました。

「お昼ごはんもおすすめがあればお願いします」とのご依頼でしたので、車椅子で入れてハンバーガー等の軽いお食事ができるお店をいくつかピックアップしておきました。近くに駐車可能で、お客様のシチュエーションにあったバリアフリーの飲食店を探すのって結構難しいのですが、それもまた勉強になりますし楽しいですよね!

また、実際に走るコースを想定して「麹町にはコウジさんが住んでいたから麹町で、工事現場も多い!」等のうんちくや、日本橋では石造の橋の構造や市場時代からの歴史、首都高地下化計画のお話、中央通りの高島屋前では中学生だからポケモンの話題にしよう!など、ご案内する内容もイメージしておきました。

とにかくあつのぶ君がすごく楽しめて、時間内にご要望にすべて応えられるルートを考えました。自分で作った行程表を見て、5時間でコースを完走出来るのか一抹の不安はあったものの、あとは当日臨機応変にご対応しよう!為せば成る!という勢い任せの準備万端でご予約にのぞみました。

サポート乗務員として、車いす対応のみならず、観光案内やお子様向けの対応も行った秋山さん。サポートタクシー乗務員になったきっかけであるお父様とのエピソードや、今後EDSを目指していきたい方へのメッセージ等も伺ってみました。

サポートタクシーのやりがい

サポート乗務員になって初めてのご依頼は、車いすユーザーのお客様の通勤利用の送迎でした。西台から江戸橋まで高速道路を使用するルートだったのですごく緊張しましたね。当時はジャパンタクシーが普及したばかりで、車いす講習会(※後述)もまだなく、すべてを自分で考えて対応して覚えていくしかない状態でした。

ジャパンタクシーの場合、車いすのまま直接乗り入れることができる構造。スロープ設置や車輪の固定など、スムーズに対応するには練習が不可欠(※写真はイメージ)

無事ご依頼が完了した時、そのお客様に「秋山さん運転すごく上手だね!」と褒められてすごく嬉しかったのを覚えています。お客様からお褒めの言葉や感謝の言葉をいただけると、やりがいを感じますよね。

また、お客様から色々嬉しい物をいただける事も多いです。お客様と一緒にスーパーでカートを押しながらお買い物をしている時、お値段4桁のお高いお弁当を買っていただいたり、美味しそうな蜂蜜を買っていただけたり、少ないですけど……とお心付けまでいただいてしまうことも(超笑顔)。

お客様からいただいたお弁当

あと、最近はキッズタクシーの塾送迎を担当させていただくこともあります。前回、ご自宅までお送りした男の子が「お支払はイモ虫で~!」と緑色の動いてるイモ虫を出してくるんですよ。

これ、普通の営業中だったら「え~イモ虫じゃ乗れないよ~!💦」ってなりますけど、キッズタクシーだったら事前決済ですので「お~イモ虫か、かっちょいいイモ虫だな! ありがとう!」って言えるわけですよ! すごく楽しいじゃないですか。

ゲームの話とかお子様たちの相手をするのは大好きなのでキッズタクシーもとても楽しいですね。楽しく仕事してれば、一緒に乗っているお子様たちもきっと楽しいはずですよね。

なぜタクシー乗務員に?

前職は製紙関連で働いていましたが、世の中のペーパーレス化の流れと不況の煽りで担当していた工場が閉鎖に。その当時、私の父は日本交通の常盤台営業所の班長乗務員で、子供のころから父の運転するタクシーによく乗せてもらっていました。

その運転している姿はかっこ良くて、自分も車の運転が大好き。その上自分の好きな場所を走れるというタクシーの仕事に憧れもあり、この来たるべき来た機会にタクシーの世界に飛び込みました。

サポートタクシーを目指したきっかけ

父の定年退職までの3年間は、営業所は違えど一緒の車庫で仕事をする機会に恵まれました。しかし父は退職後、喉頭がんにかかり寝たきりに。妻も病気持ちでしたので、仕事終わりに実家と自宅で介護する日々が始まりました。

しかし、リハビリの仕方等、周りに聞いてもどうしたら良いかわからない事も多々あり、自己啓発と将来的な事も考えて、乗務のかたわら介護職員初任者の資格を取得。受講期間中は、車椅子の扱い方、障害を持つ方との接し方などを学び、介護生活で生かす事ができたのはもちろん、EDSサポート乗務員になるきっかけともなりました。

父は最期は静かに他界しましたが、一生懸命介護したので親孝行はできたかなと思います。一段落した段階で、この経験を生かした仕事もしてみたいと思っていたところ、日本交通でサポートタクシーをやっている事を掲示板で知り「こんな自分でもお役に立つ事が出来るのならば」と思い説明会に参加・応募し、現在に至ります。

桜とタクシー

EDS・サポートタクシーを目指す方へ

大変そうだな~と思われがちですが、そんな事はないです。イケメンでもないし、トークが苦手な自分でもできるのですから(笑)、やる気さえあればどなたでもエキスパートになれると思います!

中には大変なこともありますが、何があっても乗り切ってやるぞ!と前向きな考えで走っていると、自然と面白くなります。とにかく楽しい事尽くめですので、たくさんの方が自分もEDSになりたいって言ってくれると、とても嬉しいですね。

個人的にはEDSに興味があって自分もやってみたいと思うのであれば、まずは気軽に説明会に参加してほしいなと思います。我々サポートメンバーがやっている事は、これからの高齢化社会時代のニーズにあった需要が伸びる分野を補っていく事になりますので、今後の新たなタクシー像を垣間見れてきっと感動しますよ。

サポートチームの懇親会の様子

サポート乗務員に必要なスキルや資質

まず、サポート「タクシー」ですので当然運転技術に自信がある人。
お客様はお身体のどこかを痛めてるかもしれないですし、車のシートに座っているわけではないので、普段営業している時よりも、さらにお客様とシンクロできるくらいの優しい運転が必要ですね。エアコンの風向きが直接当たってないかなど、ちょっとした気遣いも大切です。

研修・勉強会の内容

基本的に年間2回の任命式と平行してサポート会議が行われます。城南・城北・城東・城西と地区別に行われるエリア会議も別途年2回実施します。議題はエリアリーダーを中心にみんなで決めますが、主に案件対応時の問題点、解決に向けての提案、討論などをします。

新任された方は入会者講習で仕事の流れを覚えていただく。そして、車椅子講習会も定期的に実施して、新しくチームメンバーになられた方も安心してサポート業務につけるような体制を整えています。

車椅子もリクライニングタイプやスポーツ用等、今は色々な種類があり、それぞれ扱い方は異なるので、詳しい人に講師になってもらい、全員が上手に扱える様になるよう講習会に取り組んでいます。

また、サポートのお客様でご利用している方も多い電動車椅子『WHILL』の講習も、WHILL社と日本交通が提携して、新任者や希望者に対して随時講習会を行っております

各講習会はお菓子等を食べながら和気あいあいとした雰囲気で楽しくやっていますね。メンバーだけでなく、サポートタクシーを目指す新卒の後輩たちにも見てほしいなと思ってます。

車いす講習会の様子

今後の抱負や目標

近い将来実現する自動運転時代のタクシーの事を考えたりするのですが、人工知能の運転には絶対負けたくないですし、そのためのEDSだと思います。まずはサポートを必要とされているお客様のために目的地までお送りする事以外にも自分が出来る事を精一杯頑張るだけです。

そして、すべてのタクシー乗務員さんがEDSを目指してくれれば、タクシーが自動運転になっても、暖かいハートを持った、また新たな時代のタクシーが走り出すと信じています。たくさんの子供達が将来はタクシーのエキスパートドライバーになりたい!っていう未来になると良いですね。

観光サポート以外でも、技能五輪や車椅子ラグビー大会の選手の送迎などでも、サポートタクシーが活躍できる場が増えてきているのがとても嬉しく思います。選手の方と直接お話できる機会があるのは、EDSならではと思います。

真のサポートとは?

サポートと一言に言っても、お客様の移動のお手伝いだけではなく、お客様と一緒にお花見したり、お子様の面倒を見たり、実は色々な可能性を秘めていて、我々サポートタクシーにできる事の可能性は無限大だと思います。

サポートタクシーを一度ご利用いただいてから、感動してリピーターになるお客様も多く、サポートチームのメンバー全員が、それだけ真剣に取り組んでいる証だと思いますし、メンバーの皆様を尊敬すると同時に私もお客様と一緒に感動しちゃってます。これからもどんどんサポートタクシーのファンを増やしていきたいですね。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
本noteでは日本交通で活躍する社員を、今後もたくさん発信していきますので、ぜひ♡(スキ)を押して応援よろしくお願いいたします!

そして、EDS(キッズ、サポート、観光)は一緒に働く仲間を募集しております。当社のEDSに関心を持っていただけましたら、ぜひ日本交通へのエントリーを、そしてご入社後は「EDS説明会」への参加を、お待ちしております!

Text : 秋山 英輝さん
協力:東洋交通、EDS事業部
Edit:飛田

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?