兵役義務(徴兵制)は国家権力による男性のみを対象とした人権蹂躙であり苦役の強要である。最大にして最悪の "男性差別" である。残念ながら、たいていの軍隊組織は極めて不健全であり、理不尽ないじめ・シゴキや暴力が当たり前のように蔓延っているものである。国家権力が、ただ「男性に生まれた」という理由だけで、全ての男性を強制的にそのような組織へぶち込むのが兵役義務(徴兵制)である。これは極めて重大な人権蹂躙であり性差別であるが、そのことをまともに問題として議論されることすら無い。
折しも、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナにおいて、「18~60歳の全男性の出国禁止」という措置が当たり前のように取られている。もちろん、武器を持って国のために闘えというそういう意図であることは明白であろう。また、ロシアは徴兵制が健在の国であり、ウクライナへ出撃したロシア兵の中には、徴兵によって意に反して軍隊へ入隊させられたうえで、戦地へ連れてこられて破壊と殺戮に従事させられている者も少なからず居るのではないだろうか。考えるだけでおぞましいことだ。
日本の隣国である大韓民国にも兵役義務(徴兵制)がある。2022年6月に、朝鮮日報が大韓民国の兵役義務(徴兵制)によって人権を蹂躙されている若年男性の悲惨な状況について、最新の状況を報じた。ここではその内容を紹介してみたい。
記事をもう一つ。
個人的には、このような記事がきちんと出されるようになったということがまず喜ばしい。兵役義務(徴兵制)では明らかに男性のみが著しい不利益を受けている。心身の健康を害している。この重大な問題をきちんと認識しようとする動きが出てきていることは、(ようやくかという呆れもあるが)素直に嬉しい。
また、若年男性がきちんと弱音を吐けるようになってきている印象を受けて、これも大切なことだと思う。男性差別や男性の被害者性に目が向きにくいのは、そもそも男性が弱音を吐いたり被害を訴えたりしづらいということが大きな要因であろう。(そのような行為を「男らしくない」として禁じられるのが、男性に対するジェンダー抑圧なのである。なお、その抑圧には 女性も加担している。これは社会全体の問題である)
男性が弱音を吐いて何が悪いか。苦しい時に苦しいと言って何が悪いか。女性と同じ程度にそのようなことが許容されるべきだろう。法の下の平等が保障されているというのならば、当然のことだ。
この問題は根深くて、まだまだ是正には程遠いだろうと思う。いばらの道であることは間違いないだろう。そもそも女性にとっては "他人事" であり、徴兵対象から外れた中高年以上の男性にとってもまた "他人事" である。そのこともまた障壁を高くしていると感じる。
男性の中には暴力的で好戦的な人も確かに多くいるが、当然ながらそれが全てでは無い。体格が華奢で体力が乏しい虚弱な男性もいるし、乱暴なことが苦手で繊細な男性もいる。僕もまたその一人だ。徴兵制は、そのような男性たちにとって耐えられないような苦役を強要している、非人道的な営みだ。
僕は、「男性として生まれたから」というだけの理由で暴力と理不尽が蔓延る組織へぶちこまれて苦しい思いをする男性が、もうこれ以上出てこないようになることを心の底から願う。「男性だから」という理由だけで、意に反して武器を持って敵を殺すように国家権力に命じられ、心身を病んだり最悪の場合には生命を落としたりする男性がもうこれ以上増えないことを心の底から願う。
今も世界のあちらこちらで、乱暴なことが苦手な繊細な男性たちが、苦しんでいるだろう。それがただただ悲しいし、胸が痛むばかりだ。
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