健やかな海を残すために"持続可能な漁業"
漁業の割合について
漁業における世界全体の
養殖業の割合いをご存じでしょうか
食糧農業機関(FAO)の調べによると
2022年の世界の
漁業・養殖業の生産量は
全体の「51%」とのことです
世界の水生動物生産において
養殖業が捕獲漁業を
初めて上回ったと発表されました
ここからさらに養殖業の生産は
2032年までに10%ほど
上昇する見込みでいるようです
養殖業は日本でも多くの方が
その恩恵を受けているかと思います
寿司ネタで人気の
サーモンのほとんどは
チリ産のもので輸入の
6割がそれに当たります
カツオやマグロなども台湾や中国から
エビはベトナムやインドからの
輸入の割合が多かったりします
日本の魚介類の自給率というと
全体の6割は国内産で賄っており
それ以外は輸入に頼っています
6割というと思ったより
高い割合のように感じましたが
1964年の東京五輪
パラリンピックの年は
日本では魚介類をほぼ輸入せずに
食用魚介類自給率を
113%も賄っていました
持続していける漁業とは
利益を優先して
生態系や自然のバランスまで
崩すような養殖業は
見直すべきなのは
言うまでもありませんが
魚の繁殖の早さを上回るような
スピードと量の乱獲をしなければ
一定の海の恩恵を
受けさせて頂くことが叶います
漁業だけに課題が
あるわけではありませんが
人間が海の環境破壊をせず
健全に海と関わっていくことで
大方の海の平穏は
保たれるということです
とある漁師の取り組み
持続していける漁業を目指して
岡山県玉野市で完全受注型の
漁をはじめた会社がありました
完全受注漁とういのは
InstagramなどのSNSで
魚の注文が入った分だけ魚を獲って
お客さまにお渡しするという
仕組みです
必要以上は取らずに
足りない分は他の漁業の方から
買い取ることもあるようで
獲れば獲るほど経済になるという
漁業の慣習とは一線を画している
発想と言えます
長い就業時間と安定しない収入は
漁業の長らくの課題だった
ようですが
この完全受注漁の
仕組みに変えてからは
労働時間が短くなるだけでなく
市場に魚を出していた時より
収入も2倍に増えているそうです
その邦美丸さんのHPです
この仕組みに変えるにあたって
周りの反対もあったでしょうし
大きな決断があったかと想像できますが
漁業が抱える労働時間と
不安定な収入という
大きな課題を
クリアできただけでなく
人間による魚介類の
乱獲を防ぐことができる
ひとつの成功事例と言えそうです
この取り組みは持続可能な
ビジネスモデルとしても認められて
首相官邸にて表彰までされて
いる漁師さんです
漁業が抱える課題について
世界の水産物の漁獲量は
過去50年で2倍以上に膨れています
魚を乱獲した結果1990年頃から
養殖業が一斉にスタートします
1950年頃から現在に至るまで
養殖業の割合は
右肩にあがる一方です
国連食糧農業機関(FAO)の
発表によると
世界の水産資源の
3分の1が獲りすぎの状態で
漁獲枠に余裕があるのは
わずか10%未満に
留まっているようです
日本での養殖業の割合は
全体の23%という
数字が出ていますが
この養殖業にもいろいろと
問題がありまして
①エサの問題
ほとんどの養殖魚は海で獲れた
魚を食事としています
ということは養殖魚が
増えれば増えるほど
その食事となる天然の
イワシやニシンの
乱獲が懸念されます
最近では代替食として昆虫を
食事に与える準備をしている
会社もあるようです
②水質汚染
養殖魚が増えれば増えるほどに
食物の食べ残しや魚の排せつ物は増えます
それらが窒素やリンなどの
栄養素として
水中微生物の栄養になるので
植物プランクトンが
大量発生する事例や
海底に溜まって水質を
変えてしまうこともあるようです
また、養殖魚を育てるという事は
その分に養殖場を必要とします
養殖場を作るために
長い時間をかけて作られた
干潟やマングローブなど
沿岸の自然を壊したり
抗生物質や消毒剤などの
化学薬品や与えた餌で周りの海を
汚して生態系を
変えてしまうこともあります
干潟にはプランクトンや
魚・貝など多くの生物が生息しており
さまざまな生き物の
食事の場となっています
③混獲による水に関わる生き物への被害
混獲とは誤って狙った
魚以外の生き物を
捕獲してしまうことを言いますが
それによる被害は
推計は観測されたデータ数が
少なかったり
不確実性を含んでいることを
ご了承ください
それでもなお表にあがってこない
相当数の混獲が起きていると
みられています
詳しくは↓↓↓
漁業による問題点は列挙していくと
切りがありませんが
日本を含めた世界が
養殖に頼る割合が上昇する一方で
それにより被害を被っている
生き物や自然たちが多くいるということ
自分たちの選択ひとつで
海の自然を守れるということを
自覚してもらえると幸いです
海を守るためにできる身近なこと
では身近なことでできる
海の自然を守る取り組みには
どんなものがあるでしょうか
①買い物
できることなら
養殖に頼りすぎることなく
特に安価な外国産の水産物より
天然ものの水産物の選択を
乱獲されている魚を知って
それを選ばないという
買い物もできます
乱獲されている魚には
ホッケ
ホッケの漁獲高はピーク時の9割減
サバ
ピーク時の7割減
ミナミマグロ
2021年にクロマグロなどの
指定が外れましたが
ミナミマグロは絶滅危惧種に
指定されたままです
二ホンウナギ
国際自然保護連合(IUCN)により
絶滅危惧種に区分されました
以下は漁獲量が激減した
水生生物のランキングです
1位・クジラ
2位・サンマ
3位・スルメイカ
4位・サケ
5位・スケトウダラ
漁獲量が減っている魚を知って
それらを選ばない選択をすることも
需要を減らすことで乱獲を防ぐ
一つの手になるかと思います
②マイクロビーズを手放す
マイクロビーズとは目に見えないほど
小さな球状のプラスチックビーズ
のことを指します
大きさは数ミクロン
(0.001mm)から
数百ミクロン(0.1mm)
程度とされており
主に化粧品や洗顔料(スクラブ)
歯磨き粉やボディーシャンプー
ファンデーションや口紅にも
含まれているものが中にはあります
洗い流されたそれらは
いとも簡単に洗面所やお風呂場での
家庭の排水溝から下水に流れて
排水処理施設のフィルターを通過して
海や川に流れでていきます
毎分トラック一台分の
マイクロビーズが海に流れていると
言われるほどです
マイクロビーズにより
最も懸念されるのは
海洋生物が呑み込んで
血管や消化器系を傷つけて
しまうのはもちろんのこと
さらに魚などを食料源としている
生物全般が水生生物を
食べることにより
体内にマイクロビーズを
取り込んでしまうことです
もちろん人間も含めてのことです
プラスチックが胃に入ると
海洋生物は満腹になったと錯覚し
他のものを食べなくなると言います
マイクロビーズは
自然分解されることなく
数百年間残留する可能性が
あるとまで言われています
また日焼け止めも物によっては
マイクロビーズが
入っているだけでなく
海の環境にとって良くない成分が
含まれていることもしばしばです
天然のものなら良いのですが
日焼け止めは肌から海に溶けて
サンゴの白化現象に影響を
及ぼしていることが懸念されています
③肉や魚介類の漁を少しでも減らす
畜産も実は海の環境に
密接に関わっています
人間の食糧のために
飼育されている動物は
人口の何倍もの
排泄物を生み出します
また工業型畜産と呼ばれる畜産では
動物を屋内過密飼育するため
病気の治療や予防のために
抗生物質やホルモン剤などを
投与する場合がしばしばです
薬で汚染された動物の大量の糞尿が
水路から川や海を汚染していることも
問題にあげられています
家畜の飼料のために
栽培された作物も
大量の化学肥料、除草剤
農薬などを使って生産されたものが多く
その多くは小川や川に流れ込み
水質を汚染しています
一見、畜産と海の関係性は
離れているようにも見えますが
自然は常に循環しているので
やはり部分は全体に
全体は部分に干渉していきます
魚の食だけに限らず
肉食という選択を
意識的に減らすことで
地球の健康にも繋がっている
ことが分かってきます
(総括)人間が自然を立てる
人間だけに都合の良い
仕組みやビジネスは
利益優先になっていたり
地球全体の健康を考えていない場合が
往々にあることが多いです
人間が得をして
自然や人間以外の生き物たちが
その犠牲になっている
そのような考え方や仕組みに
持続可能な地球の未来はありません
これは多くの方が
気付いていることかと思います
人間たちが便利さを追求するあまり
多くの犠牲の上で成り立つ
現代社会を作ってしまったのが
ここ数百年の歴史です
ここからはいかに元通りの大地に
健康的な地球に戻していくかが
今を生きる人間の
役割りであるとも感じています
海や山、自然や万物たちの
悲鳴にきちんと耳を傾けて
自然を穢すような愚かな行為は
もう終わりにしなければ
人間の未来はない
ところまで来ています
知らぬ存ぜぬではなく
どうやったら環境に良い
循環の中で人間も生きていけるか
そのようにアンテナを張りながら
生活を送っているならば
自ずとそこのチャンネルに
あってくるものではないでしょうか
それぞれがそれぞれの立場で
できることを取り組んでいく
その先に自然と共に生かされる道は
必ずあると強く信じています
長い文章を最後までお読み頂き
ありがとうございました
人間も自然の一部なら
自然に寄り添うかたちで
その循環の中に
生かさせて頂けることを
願っています
前回の環境について
『循環する農』を選ぶことは
万物を健康にするはこちら
サポート費用はすべて巡り旅の 活動資金として大事に使わせて頂きます 温かい応援に心から感謝いたします