区切るための、おいしい贈り物
2024年10月20日日曜日。
仕事に向かう電車の中。お出かけに行くのかなという雰囲気のを漂わせた人たちが、止まる駅止まる駅で乗車する。
窓の向こう。
前日にズボンが絞れるほど大雨が降ったのが嘘みたいな雲ひとつない青空。
辞めることを決めた掛け持ちのアルバイト。
ほとんど逃げるように辞めるから、何かを渡そうなんて正直考えていなかった。
でもこれは、私が次に進むための「やめる」だから。違う道に進もうと思わせてくれたのはそこでの経験だから。
自分のためにも、もやもやを残さず区切りをつけるために、贈ろう。
昨日は「あそこのスタッフさんみんな、無印でよく買って職場に置いてくれてたから、無印でよいかな」と思っていた。
けれど、せっかくなら今働いているもう1つの職場で探してみるのもありかしら。
職場に着き、お客さんがいない静かな時間に、お店を回って探していた。
そしてふと、
「いやいや、もしかして、職場へのお菓子を別の職場で買ったら失礼なのでは」
と。
やめよう。
やっぱり無印が最適。
それから数日が経った。
仕事を終えたあと、無印に向かった。
個包装のお菓子が長持ちしていいだろうな。
目星をつけていたお菓子のエリアまですたすたすた。
安納芋のドーナツの前で足が止まる。
はあ〜、私の好み。
でも、さつまいも苦手な人とかもいるからなあ。
みんなが食べやすい味は…。
あった。
北海道牛乳のドーナツ。
パッケージの下半分からのぞく輪っかたちが、水分を含んでつやつやきらきらしている。
みちっと中身が詰まっているから、噛んだときに「ざぐぐ」と割れていくのだろうなあ。
これはきっと好き嫌いが分かれにくいはず。
あと、なによりも私が食べたい。
10個入りだし、職場に置く前に先に開けて1個もらっちゃお。うしし。
職場への贈り物。
これはもうもはや、自分が食べるための口実かもしれない。
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