【実像】大手生保、脱「銀行窓販頼み」へ 転機迎える外貨建て保険
国内銀行の窓口販売で好調な売れ行きを続けてきた外貨建て一時払い保険が、転機を迎えつつある。従来は高止まりする米国の金利水準が商品の魅力を支えてきたが、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が利下げ局面に転じたためだ。金融庁が金融機関の販売姿勢を厳しく監視するスタンスを強めていることも、今後の預かり資産営業に影響を与えそうだ。販売会社に保険商品を提供している生命保険会社は、この局面をどう乗り越えようとしているのか。銀行窓販チャネルに依存した収益構造からの脱却を目指す大手生保の動きを探った。
生保は販売急増を懸念?
「あまりよくないことに、(一時払いの)貯蓄性保険の販売が増えすぎている」「(銀行窓販領域が)少しうまくいきすぎた決算と考えている」――。いずれも、ここ数年の決算説明会で、大手生保の幹部から飛び出した発言だ。本来、販売増加は歓迎すべき事象のはずだが、こうした言い回しになったのには理由がある。
外貨建て保険は、資産運用商品としての性格が強い貯蓄性保険だ。銀行窓販チャネルでは、万一に備える保障性保険よりも、貯蓄性保険をメイン商品に位置づける金融機関が多い。外貨建て保険の売れ行きは海外金利に大きく左右される。そのため、貯蓄性保険の販売比率が高まるほど、大手生保の単年度業績は金利動向によって振り回されることになり、将来の反動減を考えると素直には喜べないという事情がある。
外貨建て保険の販売が急増し始めたのは2022年度から。FRBが急ピッチで利上げを進めた結果、米ドル建て一時払い終身保険の利回りが上昇し、投資妙味が生まれた。23年度以降も、FRBが政策金利を5%近辺に据え置いたため、直近まで好調な販売が続いてきた。
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