環境設計のための最強のネタ本 『建築の環境価値BOOK』② ~読み方のコツ教えます~
建築×環境は次のステップへ
「環境に配慮した建築」というと、多くの方は省エネルギーやCO2排出削減など地球環境に対する負荷の削減をイメージされると思います。
しかし配慮されるべきは地球だけではありません。「環境価値BOOK」は更にもう一歩踏み込んだ「環境価値」、すなわち「人」に関する環境要素の再発見をめざしました。環境建築の次のステップ、地球だけではなく「人」にも配慮した環境価値を紹介しています。
この本の特徴は、紹介されている環境価値が、環境負荷のようなネガティブインパクトではなく、「人」にとってのポジティブな環境価値で、しかも定量的に示されているということです。
環境のエビデンスを手に入れる
建築が環境に与える影響を語る上で、「環境要素」を組み合わせて言葉で飾ることは簡単ですが、漠然としたイメージや定性的な環境の効果だけでは説得力がありません。
必要なのはそれらの根拠となるエビデンスです。この本には膨大な文献から抽出したエビデンスがぎゅっと詰まっています。
環境価値を知る
例えば「緑化」。地球環境負荷削減のために取り入れられることが多い建築要素ですが、視点を変えればここにも多様な「環境価値」が秘められています。
「短期記憶力が14%向上」
「死亡率が6%低下」
「うつのリスクが7%低下」
これらは既往の研究にて検証されたエビデンスで本文記載の一部です。緑化は「人」にとってもプラスであることは、建築だけでなく心理や病理などの分野から証明されているのです。
この本は、このような今まで建築計画で取り入れてきた「環境要素」に、
広範で豊富なエビデンスに基づく「環境価値」を与えた、全く新しい環境建築のためのバイブルです。
具体的な本の構成として、第2章では建築における緑化を含めた10の建築要素が人や環境にどのような効果をもたらすのか、先述のようなエビデンス満載で紹介されています。
第3章では更に具体的な環境目標を持った建築を想定し、環境価値の高い技術にはどのようなものがあり、実際の建築にそれらの要素をどうやって組み込んでいくのかを示しています。
コラボ募集します!
この2年間のコロナ禍で社会的にも人々の生活環境やウェルネスへの関心が高まるなか、研究分野としても年々注目度は高まっており、環境価値に関するエビデンスはどんどん蓄積されています。日建設計・日建設計総合研究所では、この本を最新の研究を取り入れ随時アップデートしていきたいと考えています。
「建築の環境価値BOOK」とのコラボレーションをお考え頂ける皆さまには、ぜひお声がけ頂けましたら幸いです!
中尾 理沙
日建設計 設計部門 ファサードエンジニアリング部
建築を彩り人の心を動かすような光環境設計、照明デザインを心掛けています。
東急プラザ銀座、明治大学グローバルタワー、成城学園中学校高等学校等を担当。
電算新本社ビルで照明デザイン賞最優秀賞、東急プラザ銀座で日本照明賞を受賞